ドラフト<5070> オフィスの環境づくりの支出を投資と捉える顧客企業の経営意識が追い風

2020/03/19

デザインを基軸にオフィスや商業施設等の空間開発を行う企業
オフィスの環境づくりの支出を投資と捉える顧客企業の経営意識が追い風

業種: 建設業
アナリスト: 藤野 敬太

◆ オフィスや商業施設の内装のデザイン・施工を行う
ドラフト(以下、同社)は、オフィスや商業施設等の空間開発を手掛ける企業である。最大の特徴である高いデザイン性をもって、企業のブランディングに資するオフィスや、そこで働くワーカーの満足度の高いオフィスに仕立てることを得意としている。その根底には、単なるコストとして認識されていたオフィスを、経営者が抱える経営課題を解決するためのオフィスとして再定義するというコンセプトが存在している。

こうしたコンセプトに基づくデザインは高い評価を受けており、若い人材の採用に積極的な新興企業のオフィスに多く採用され、実績を積んできた。また、アワードの受賞や、国内外のメディアでの掲載も多く、デザイン業界における同社の知名度は高い。

その結果、現在はオフィスだけでなく、商業施設や、エントランスやロビー等のビル共用部を対象とする環境設計、街区全体を対象とする都市開発の領域でのデザイン・施工も手掛けるようになっている。さらに、サンフロンティア不動産(8934東証一部)が手掛ける不動産再生案件で協業することが増え、19/3期の売上の15.2%を占めるに至っている。

また、同社のデザインに調和し、オフィスでの新しい働き方に対応した「201°」というブランドのオリジナルオフィス家具の企画・販売も行っている。

同社は、企画・設計・施工事業の単一セグメントだが、サービスの対象領域別に、オフィス、商業施設、都市開発・環境設計・その他の3領域に分類される(図表1)。オフィスが売上高の7 割程度を占めるが、都市開発・環境設 計・その他の売上構成比が上昇してきている。

◆ デザインを中心に据えた運営体制
同社はデザインを基軸として事業を展開しているが、著名デザイナーがトップダウンでプロジェクトを統括する体制は採用していない。

顧客企業からの引き合いから引き渡しまで、「コミュニケーション(ヒアリングや現地調査等)→企画・設計(デザイン)→家具や内装材の選択→施工→ 検査」というプロセスをたどっていく。プロセスごとに異なるスタッフが担当する分業体制によってプロジェクトは遂行されていく。これにより、一部のデザイナーに依存することがない運営体制となっている。

また、施工については、同社は元請けとしてプロジェクトマネジメント(以下、PM)及びコンストラクションマネジメント(以下、CM)を行い、工事自体は協力会社に外注している。

なお、主力とするオフィスのプロジェクトでは、デザインから施工までを一貫して行うプロジェクトが大半であり、設計のみというものは少ない。受注から引き渡しまで3~4 カ月のプロジェクトが多くを占める模様である。

デザインに基軸を置いていることは同社の従業員の構成からもうかがうことができ、同社の従業員の56%がデザイン部門に属している。

◆ 収益構造
プロジェクトの売上高は、「坪単価×坪数」の掛け算に分解される。坪単価は、顧客企業がどこまでデザインにこだわるかの意向によって左右される部分もあるが、プロジェクトの現場のオフィスの地価とある程度の連動性があるものと推察される。坪数については、同社は施工のプロセスではPM またはCM を担当し、実際の工事の作業は外注に出すため、坪数が多くなっても同社の手間はさほど大きくならない。そのため、プロジェクトが大型化するほど、プロジェクトの利益率は上昇する傾向にある。

実際、同社は、売上高から直接外注費と材料費を差し引いた利益を管理会計上の利益としてKPIのひとつとしているが、その利益率は年々上昇してきている(図表2)。

顧客企業に対してプレゼンテーションを行う際に使用する3Dイメージパース(建物の外観や室内の完成予定画像)の作成は、フィリピンにある連結子会社D-RAWRITE INC.で行っている。3Dイメージパースを製作するエンジニアをフィリピンに集約して内製することでノウハウの集積を進めるとともに、デザイン作業の生産性の向上も図っている。なお、D-RAWRITE INC.にかかる費用は連結業績の中では、販売費及び一般管理費(以下、販管費)として計上されている。

◆ デジタルテクノロジーの活用
同社はデジタルテクノロジーの活用にも積極的である。最たる例は、単純作業の自動化のためのRPA(Robotic Process Automation)の技術と、多様なデータを一元化するBIM(Building Information Modelling)の技術を活用し、3Dでスキャンした空間データから面積を測定して素材の数量を自動算出し、見積もり作成を行う仕組みである。この仕組みにより、作業時間の短縮やデータの正確性向上を図っている。

>>続きはこちら(1.16 MB)

一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。