リグア<7090>患者の施術履歴、健保向けの療養費申請に用いるシステムが中心
接骨院の経営及び運営に関するソリューションを主に提供
患者の施術履歴、健保向けの療養費申請に用いるシステムが中心
業種: サービス業
アナリスト:松尾 十作
◆ 接骨院の経営及び運営に関するソリューションを主に提供
リグア(以下、同社)グループは、同社及び完全連結子会社であるFPデザインとヘルスケア・フィットの3社で構成されている。柔道整復術の施術所である接骨院及び整骨院(以下、総称して接骨院)に対して接骨院ソリューション事業と金融サービス事業を展開している(図表1)。
◆ 接骨院ソリューション事業
接骨院ソリューション事業は、接骨院の経営及び運営における様々な課題の解決に向けて、ソフトウェア、機材・消耗品、教育研修コンサルティング、請求代行といった製商品やサービスを提供している。請求代行サービスは、18年5月に子会社化したヘルスケア・フィットが提供し、それ以外は同社が提供している。
接骨院は全国に50,077院(18年末、厚生労働省調べ)あるが、一人の経営者が接骨院を複数経営している場合が多い。同社の顧客は複数の接骨院を経営している先が多く、50院以上経営しているところも複数ある。
ソフトウェアの売上高は、接骨院向け患者情報管理システムLigoo POS & CRM(以下、CRM)と健康保険組合等(以下、健保)向けの療養費支給申請書(以下、レセプト)を提出する際に使用するレセプト計算システムであるレセONEの売上高から成る。
CRMは、接骨院の顧客情報を施術師単位で管理するシステムである。接骨院は日々の施術内容をCRMに入力することで、自院の課題を分析することができる。CRMの導入院数は17/3期末の943院から20/3期第3四半期末には1,244院となり、患者データも同様に約297万人分から約410万人分へと拡大している(図表2)。各接骨院での日々の施術内容の蓄積により、様々なデータが集計されている。同社ではこうした集計データを指標として用いたコンサルティングを提供している。
CRMが接骨院の経営者にとって有用なのは、施術師別に療養費等を分析できることである。患者が接骨院に通わなくなった場合、技量やコミュニケーション力等を踏まえた分析を基に、担当した施術師に対して指導を行うことで、接骨院全体の療養費の増大に寄与している模様である。CRMの売上高は、接骨院が導入する際の初期設定費用、導入後のシステム利用をサポートする導入支援費用、月額利用料にあたるシステム利用料で構成されている。
接骨院で行われる施術には、健保の医療保険制度の適用対象となる施術もある。19年2月から販売を開始したレセONEはレセプトを提出する際に使用するレセプト計算システムだが、CRMとのデータ連携も可能である。CRM導入院への営業により、レセONE の導入院数は19/3 期末の69 院から20/3 期第3 四半期末には250 院へと拡大している。料金は、導入時に発生する初期
設定費用、月額利用料に相当するシステム利用料で構成されている。
同業他社はレセプトを提出するための書類作成の専用機を販売している。専用機を使用する場合、接骨院は5 年単位のリースで導入する場合が多い模様である。接骨院にとっては、5 年単位のリースで専用機を導入する総費用と、同社のCRM とレセONE をセットで5 年間使用した際の総費用がほぼ同じにしたいと同社は説明している。
取り扱う機材・消耗品のうち、主なものはEMS-indepth-、トムソンベッド、Inject Energy である。EMS-indepth-は、同社が企画し製造を外部委託している。トムソンベッド、Inject Energy はOEM 調達している。消耗品は接骨院で使用する仕入れ商品である。
EMS-indepth-は、外部から身体に電気刺激を与えることで、筋肉を運動させる電気的筋肉刺激装置である。一般的に鍛えにくいとされている身体の深い部分にある筋肉の総称であるインナーマッスルを運動させることが出来、全身運動が難しい人でも部分的なトレーニングを可能にするものである。
トムソンベッドは、骨盤や背骨の歪みが原因となる痛みへの対処と、効果的な施術を行い易くする油圧電動式の施術台である。Inject Energy は疼痛の軽減や筋肉の萎縮の改善等に用いられる低周波治療器である。
教育研修コンサルティングは各種コンサルティング、GRAND SLAM 等である。各種コンサルティングは、一定期間契約による継続型で接骨院の経営面、運営面での課題解決を主眼としている。GRAND SLAMは、接骨院の幹部や幹部候補生等を対象に技術講習等の複数回(5~6 回)の集合型カリキュラムである。
請求代行サービスは、接骨院の事務負担を軽減するサービスである。健保等の組合員に対する保険適用の施術の療養費を健保等に請求するために、レセプトを提出する必要があるが、その提出業務を代行している。
◆ 金融サービス事業
金融サービス事業としては、14 年10 月に子会社化したFP デザインが保険代理店と金融商品仲介業を営んでいる。
19 年末時点で生命保険20 社、及び損害保険会社5 社と業務委託契約を締結しており、保険代理店として各種保険の募集を行っている。売上高は、新規契約の獲得による初年度手数料と成立後1 年以上経過した契約の継続手数料で構成されている。保険代理店業務はFP デザインが行っている。金融商品仲介業では、証券会社金融サービス事業の顧客は、同社と取引のある接骨院経営者からの紹介に加えて税理士事務所からの紹介者もある。 3 社と業務委託契約を締結し、IFA 注1 として金融 商品の提案及び仲介を行っている。金融商品の取り扱い契約を締結している 証券各社からの販売手数料と信託報酬が売上となる。金融商品を販売する
IFA 要員は外注委託であり、成約に基づき報酬を支払っている。
金融サービス事業の顧客は、同社と取引のある接骨院経営者からの紹介に
加えて税理士事務所からの紹介者もある。