ツクルバ<2978> 自社開発したシステムを活用し高い生産性と顧客満足度を確保

2019/08/02

リノベーション住宅の流通プラットフォームcowcamo(カウカモ)が中心
自社開発したシステムを活用し高い生産性と顧客満足度を確保

業種: 不動産業
アナリスト: 副島 久敬

◆ リノベ住宅の流通プラットフォームcowcamo(カウカモ)が中心
ツクルバ(以下、同社)は、「『場の発明』を通じて欲しい未来をつくる。」という企業理念のもとに、村上浩輝氏と中村真広氏によって設立された。同社の社名は、「人と人、人と情報が交錯する「場」をつくりたい」という想いからつけられており、デザインとビジネス、テクノロジーを融合させて、新しいスタンダードとなる「場の発明」に挑んでいる。

事業のアプローチは、主に生活領域の社会変化の兆しに着目し、デザインとビジネス、テクノロジーを融合し、これまで生み出せなかった価値を社会に届けることを目指している。そのために、従来の競争型のアプローチでなく、異なる領域を“和える”編集型のアプローチにより、産業を再定義していく独自の手法で事業創造を行うとしている。

18/7期の売上高構成比は、リノベーション・中古住宅の流通プラットフォームであるcawcamo(カウカモ)事業が72.1%、オフィスのシェアリングサービスを展開しているシェアードワークプレイス事業が27.9%となっている(図表1)。

18/7期は営業利益の赤字が拡大しているが、事業拡大に伴う人員の増加による給与の増加、cowcamo事業のwebマーケッティングを中心とした先行投資によるものである。

◆ cowcamo事業
cowcamo事業は、ITを活用したリノベーション・中古住宅流通プラットフォームcowcamoにおいて、オンラインメディアを通じた物件情報サービス及び同社エージェント(物件紹介等を行う同社所属の不動産仲介者)による仲介サービス、顧客ニーズや物件のデータを活用した売主・事業者向け支援サービス等を提供している(図表2)。

主な収益源は、リノベーション・中古マンションの売買に関して、売主及び買主から受領する売買仲介手数料、その他付随する手数料等、住宅取引の流通総額に対して課せられる手数料であり、広告手数料等は受領していない。また、一部在庫リスクをコントロールできる場合に限定して、買主の要望により一時的に物件を仕入れ、販売することもあるが、仲介取引が大多数を占めている。

個人のユーザー向けに、ウエブサイトやスマートフォンのアプリで物件情報が提供されており、19/7期第3四半期末の会員数は約9万人である(図表3)。会員のうち、80%から90%がアクティブユーザーとなっている。平均して9ヵ月程度で物件の購入に至っている。また、メインのユーザー層は30歳代から40歳代であり、ユーザーの獲得は主にSNS等の広告を通じて実現している。エリアは、主として都区部が中心となっており、売主は中小事業者が中心となっている。

◆ シェアードワークプレイス事業
シェアードワークプレイス事業では、リノベーションしたオフィス空間に様々なサービスを組み合わせた「働く場」を提供するワ-クスペースのシェアリングサービスとワークスペースの仲介・設計等の受託サービスを展開している。

ワークスペースのシェアリングサービスはサブスクリプション型(サービスや製品を一定期間の利用に対して、代金を払う)の収益モデルである。主にスタートアップ、個人事業主、クリエーター等を主要顧客とした「co-ba(コーバ)」と、スタートアップ向けに企業の成長や変化に合わせて柔軟にオフィススペースをレンタルすることができる「HEYSHA(ヘイシャ)」を展開している。

主にスタートアップ、ベンチャーや個人事業主に対して、サービス型のワークプレイスの提供と、オンライン会員サービスを組み合わせた事業展開により、従来の不動産の物理的な面積や空間のサイズに制約された収益モデルではなく、潜在的な顧客のニーズを正確に把握し、それを上手く実際のオフィススペースに企画し設計することで、各案件に個別に最適化された効率的な物件開発を可能とすることで、より収益が見込まれるビジネスモデルを狙っている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。