(6033) 株式会社エクストリーム デジタル人材事業飛躍 増収

2022/06/01

 

佐藤 昌平 社長CEO

株式会社エクストリーム(6033)

 

 

企業情報

市場

東証グロース市場

業種

サービス業

代表者

佐藤 昌平

所在地

東京都豊島区西池袋1-11-1 メトロポリタンプラザビル21F

決算月

3月

HP

https://www.e-xtreme.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

975円

5,495,976株

5,358百万円

13.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

16.00円

1.6%

80.06円

12.2倍

641.14円

1.5倍

*株価は5/20終値。
*発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。EPS、DPSは22年3月期決算短信より。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2019年3月(実)

6,286

945

851

560

104.48

21.00

2020年3月(実)

7,161

1,379

1,295

966

177.69

36.00

2021年3月(実)

6,230

703

750

491

90.14

18.00

2022年3月(実)

7,231

592

714

452

82.61

17.00

2023年3月(予)

7,700

600

660

440

80.06

16.00

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。2018年11月、1株を2株に分割(EPSは遡及修正、DPSは分割前の実額)。

 

(株)エクストリームの2022年3月期決算の概要と2023年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2022年3月期決算概要
3.2023年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 22/3期は前期比16.1%増収、15.8%営業減益。前期にコロナ禍の影響を受けたデジタル人材事業はテレビCM効果等で前期比23.9%増収、受託開発事業とともに過去最高の売上高となった。利益面では、デジタル人材事業でプロジェクト数、稼働単価とも好調に推移したものの、テレビCM投入に伴うコスト発生により9.8%減益となった。受託開発事業では国内の回復により損失が縮小した。コンテンツプロパティ事業は依然として高い利益率を維持したが減収に伴い減益となった。

     

  • 23/3期は前期比6.5%増収、1.3%営業増益を見込む。デジタル人材事業はWEB系顧客拡大・積極採用により14.6%増収を見込む。受託開発事業は2.1%減収、コンテンツプロパティ事業は18.5%減収を計画する。デジタル人材事業においては引き続きテレビCM等の広告宣伝費も一定程度の計上を見込む。受託開発事業ではベトナム事業の立て直しが見込まれるが、予想には織り込んでいない。コンテンツプロパティ事業におけるラングリッサー効果は保守的に見積もった。

     

  • 22/3期はデジタル人材事業が成長を取り戻し、2桁増収を確保した。受託開発事業でも国内は回復している。ラングリッサー効果の剥落やテレビCM投入により、2桁減益となったが見通しは明るくなっている。23/3期の会社予想は6.5%増収予想だが、かなり保守的といえる。特にデジタル人材事業では売上高48.0億円が会社予想だが、3月単月の売上を年換算しても53億円に達する。UI・UXに対するニーズが高まっているということは、同社にとってフォローでもある。また、同事業で目を引くのは離職率の低さにあり、オンライン社員ケアシステムが有効に働いているようだ。また、受託開発事業でもベトナムオフショア事業で苦戦していたが、新型コロナも落ち着きを見せており減収予想はかなり保守的といえる。加えて、株式会社角川ゲームスの子会社化は、累計販売本数100万本超のゲームタイトルも譲渡資産に含まれているため、今後、コンテンツプロパティ事業の成長における大きなトピックになると予想する。

     

1.会社概要

クリエイティブな開発スキルを有するデジタルクリエイター(プログラミングやグラフィックの開発スキルを持ったクリエイター&エンジニア)のプロダクションである。法人向けにゲーム・スマートフォンアプリ・Web・IT企業等へソフトウエア開発サービスを派遣契約または請負契約にて提供するデジタル人材事業、法人向けにスマートフォンアプリ開発案件、クラウドプラットフォーム構築、CRM(Customer Relationship Management)の構築から導入・運用等、案件を持ち帰り形式にて受託・納品する受託開発事業、及び同社が保有するゲーム・キャラクター等の知的財産を活用し、様々な事業を展開するコンテンツプロパティ事業を展開している。

 

グループは、同社の他、連結子会社(株)EPARKテクノロジーズ(出資比率58.3%)、オフショア開発拠点を活用したITサービスの開発等を行う(株)エクスラボ(同100%)及びEXTREME VIETNAM Co., LTD.(同100%、ベトナム国ハノイ市)、及び持分法適用関連会社(株)EPARKペットライフ(同23.8%)、(株)ネクストン(同15.0%)。(株)EPARKテクノロジーズは飲食店・病院・美容院・時間貸駐車場・エステサロン等の順番予約サイト「EPARK(イーパーク)」の基幹システム開発・保守を手掛けており、(株)EPARKペットライフはペットサロン・動物病院のポータルサイトを運営(予約・送客サービス)している。(株)ネクストンはPC向けゲームソフトの開発・販売を行っており、TVアニメ化された「恋姫†無双」などの著名IPを保有する。
 なお、2022年5月26日付で「株式会社角川ゲームスの会社分割による吸収分割会社への第三者割当増資引受(特定子会社化)に関する基本合意締結のお知らせ」を発表しており、株式会社角川ゲームスが保有する知的財産権(著作権・商標権・ゲームデータ・ソースコードなど)、固定資産、仕掛品及び販売権を譲受する予定となっている。

 

【企業コンセプトと行動指針】
企業コンセプトは、「まじめに面白いをる会社。未来の楽しいをる会社。」。行動指針を、「スピード×クオリティ×チャレンジ」としている。スピード。常にフルスピードを意識する。今日できる事は今日やる。今出来る事は今やる。後回しにしない。クオリティ。妥協せず常に最高のクオリティを目指す。量は質に転化する。多くのアイデア、多くの成果、多くの挑戦など、多くを生み出すことが、クオリティの高いものに結実する。全ての成果はお客様のためにある。お客様が満足するクオリティを目指す。チャレンジ。失敗を恐れずに前に踏み出す。現状に満足せず、常に改善を心がける。

 

1-1 事業の概要

事業は、デジタル人材事業、受託開発事業、及びコンテンツプロパティ事業に分かれる。各事業の概要は次の通り。

 

22/3期 セグメント別売上高・利益

 

売上高

構成比

営業利益

利益率

デジタル人材事業

4,822

79.0%

752

15.6%

受託開発事業

2,565

13.6%

-52

コンテンツプロパティ事業

491

7.4%

439

89.4%

調整額

-648

-547

合計

7,231

100.0%

592

8.2%

* 単位:百万円

 

デジタル人材事業(21/3期までソリューション事業)
ゲーム・スマートフォンアプリ・WEB・IT企業等に対し、ソフトウエア(プログラミングやグラフィック等)開発サービスを派遣契約または請負契約にて提供する。クリエイター&エンジニアを持続的に強化・拡充していく事ができる自社養成システム(研修・教育システム)を有し、登録型派遣会社とは異なり、タレント性や独自スキルを持った人材を柔軟に供給する事ができる事が強みである(⇒競合他社が少ない)。充実した研修・教育制度の下、社員はデバイスの流行廃りに左右されない技術を維持し、同社は社員の技術力を企業として担保している。また、クリエイター&エンジニアは営業マンとしての側面も持ち、常駐先での取引拡大にも貢献している。

 

顧客分布の推移

 

20/3期

21/3期

22/3期

エンタメ系顧客

51.0%

55.8%

48.9%

スマーフォンアプリ

81.4%

74.1%

77.5%

家庭用ゲーム

9.8%

11.0%

10.5%

オンラインゲーム

7.4%

10.1%

7.1%

遊戯機器

1.0%

0.0%

2.3%

業務用ゲーム他

0.4%

4.8%

2.6%

非エンタメ系顧客

49.0%

44.2%

51.1%

IT

53.9%

45.4%

41.6%

Web

46.1%

54.6%

58.4%

 

21/3期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、20/3期まで伸びてきた非エンタメ系顧客の新規開拓が停滞した。エンタメ系既存顧客への深堀り営業(単価アップ施策)が主体となったことから、若干エンタメ系顧客へのウェイトが増加した。
22/3期には再び非エンタメ系顧客が増加に転じ、初めて50%を上回った。今後も、ゲーム等のエンタメ開発で培った視覚表現力、演出力などのクリエイティブな開発スキルをセールスポイントとして、市場規模が大きいネットビジネス・WEBサービス事業者などへ応用的に展開させ、事業規模を拡大させていく方針。

 

受託開発事業
子会社(株)EPARKテクノロジーズが手掛けるEPARKプラットフォームに関わる各種開発・保守、(株)エクストリームのテックファンド事業本部とベトナムのオフショア子会社を活用して開発を行う(株)エクスラボによるナショナルクライアントからのシステム開発・保守・追加案件等の受託開発(持ち帰り型の開発)を手掛けている。ナショナルクライアント向けでは、ビッグデータ分析での分析基盤の設計開発及び分析、AIを活用したシステム開発、リアルタイムコミュニケーションを実現する技術を活用した映像配信プラットフォーム開発、遠隔地にある設備をデバイス上の操作でオペレーション支援システムの開発等を手掛けている。

 

(株)EPARKテクノロジーズ

WebやIoT技術とAR/VR、AI(機械学習)など最新のデジタルテクノロジーを活用し、DX(デジタルトランスフォーメーション)サービスの企画立案、データの検証、PoC、開発、運用まで一気通貫で提供。

(株)エクスラボ

受託開発事業におけるオフショア開発拠点として、品質の高い技術サービスを適切な価格で提供。また、クライアントの要望に応じ、柔軟な開発体制を構築する「ラボ型サービス」や現地進出のサポートを行う「インキュベーションラボサービス」を提供。

EXTREME VIETNAM Co., LTD.

日本人技術者の他、開発、安定運用の実績が豊富な現地技術者が100名弱、日本語対応可能なスタッフも40名在籍。高い日本語力と経験で顧客の企業文化・開発意図まで考慮し、最高の開発環境で高品質のサービスを提供。

 

コンテンツプロパティ事業
ゲーム運営事業や同社が保有するゲームタイトルやキャラクター等の使用許諾を行うライセンス事業を行っている。

 

ライセンス許諾による「ラングリッサー」の海外配信
中国のゲーム会社である天津紫龍奇点互動娯楽有限公司(中国・北京市)を通して、2018年8月に中国でスマートフォン版ゲームアプリ「ラングリッサー」の使用許諾による配信が始まり、同年10月には、台湾、香港、マカオでの配信を開始した。その後、許諾地域が広がり、日本(2019年4月)、韓国、及びロシア(共に同年6月)で配信が開始された。

 

各許諾地域における売上集計作業はライセンス許諾先である天津紫龍奇点互動娯楽有限公司(中国・北京市)が行っており、同社からの収益報告に一定の時間を要する事と契約上収益に係る報告サイクルが定められている事から、現地での実際の収益計上と(株)エクストリームの収益計上にはタイムラグがある。

 

2.2022年3月期決算概要

財務基盤は盤石
デジタル人材事業における堅実なビジネスモデル及びラングリッサー関連のロイヤルティ収益により、営業CFは4億円超の黒字を確保し、フリーCFは1.3億円の黒字。有利子負債が減少したものの、期末のキャッシュポジションは前期末並みの水準にある。現預金及び流動性の高い投資有価証券(高格付外債等)の保有残高は31.0億円。自己資本比率は70.0%(前期末66.2%)と財務基盤は盤石。

 

財政状態

 

21年3月

22年3月

 

21年3月

22年3月

現預金

1,777

1,670

未払金

521

634

流動資産

2,995

3,059

有利子負債

343

195

無形固定資産

154

91

負債

1,331

1,206

投資その他

1,540

1,832

純資産合計

3,416

3,824

固定資産

1,752

1,971

負債・純資産合計

4,747

5,030

* 単位:百万円

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

21/3期

22/3期

前期比

営業キャッシュ・フロー(A)

846

449

-396

-46.8%

投資キャッシュ・フロー(B)

-358

-316

+41

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

487

132

-355

-72.8%

財務キャッシュ・フロー

-313

-243

+69

現金及び現金同等物期末残高

1,796

1,731

-64

-3.6%

* 単位:百万円

 

2-1 連結業績

 

21/3期

構成比

22/3期

構成比

前期比

2月予想

予想比

売上高

6,230

100.0%

7,231

100.0%

+16.1%

7,220

+0.2%

売上総利益

1,858

29.8%

1,878

26.0%

+1.1%

販管費

1,155

18.5%

1,286

17.8%

+11.4%

営業利益

703

11.3%

592

8.2%

-15.8%

520

+13.9%

経常利益

750

12.0%

714

9.9%

-4.9%

610

+17.1%

親会社株主帰属利益

491

7.9%

452

6.3%

-7.9%

355

+27.5%

* 単位:百万円

 

前期比16.1%の増収、同15.8%の営業減益
売上高は前期比16.1%増の72.3億円。前期にコロナ禍の影響を受けたデジタル人材事業はテレビCM効果等で2Q以降に売上高、プロジェクト数とも飛躍的に伸び、前期比23.9%増となる売上高を達成した。正社員、協力会社要員、フリーランスの3軸で需要増に対応した。デジタル人材事業と受託開発事業は過去最高の売上高となった。コンテンツプロパティ事業は14.7%減収となったものの、ラングリッサー効果が安定的に持続した

 

営業利益は同15.8%減の5.9億円。デジタル人材事業では、プロジェクト数、稼働単価とも好調に推移したものの、テレビCM投入に伴うコスト発生により9.8%減益となった。受託開発事業では前期1.2億円から0.5億円へ損失が縮小した。コロナの影響で現地稼働率が低下したベトナムオフショア事業以外は黒字に転じている。コンテンツプロパティ事業は依然として高い利益率を維持したものの、減収に伴い15.2%減益となった。

 

セグメント別売上高・利益

 

21/3期

構成比・利益率

22/3期

構成比・利益率

前年同期比

デジタル人材事業

3,892

57.9%

4,822

61.2%

+23.9%

受託開発事業

2,249

33.5%

2,565

32.6%

+14.1%

コンテンツプロパティ事業

576

8.6%

491

6.2%

-14.7%

調整額

-488

-648

連結売上高

6,230

100.0%

7,231

100.0%

+16.1%

デジタル人材事業

834

21.4%

752

15.6%

-9.8%

受託開発事業

-121

-52

コンテンツプロパティ事業

518

89.9%

439

89.4%

-15.2%

調整額

-528

-547

連結営業利益

703

11.3%

592

8.2%

-15.8%

* 単位:百万円

 

2-2 デジタル人材事業の動向

(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

22年3月は、前年同月比19%増、単月売上も過去最高を記録。TV-CM、動画広告を21年8月より開始、10月には月商が4億円を突破。今後も費用と収益のバランスを鑑みながら販促活動を展開予定。

 

(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

プロジェクト稼働数はコロナ禍の影響を受けた前期から大きく回復、22年3月は前年同月比18.7%増。稼働単価も単価施策が引き続き好調に作用し、22年1月においては過去最高平均稼働単価を記録した。以後も670千円台の高水準を維持した。今後も高い価水準が継続する見込み。

 

* プロジェクト稼働数は、人材ソリューションサービス及び受託開発サービスを合算した期中累計から算出
* 取引先数は、期中において取引(売上)が発生した顧客企業数を1とした通期合算から算出
* クリエイター&エンジニア数は、期末日または四半期末時点における社外常駐プロジェクトに従事したクリエイター&エンジニア数
(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

3.2023年3月期業績予想

3-1 通期連結業績

 

22/3期 実績

構成比

23/3期 予想

構成比

前期比

売上高

7,231

100.0%

7,700

100.0%

+6.5%

営業利益

592

8.2%

600

7.8%

+1.3%

経常利益

714

9.9%

660

8.6%

-7.6%

親会社株主帰属利益

452

6.3%

440

5.7%

-2.8%

* 単位:百万円

 

前期比6.5%の増収、同1.3%の営業増益を見込む
23.3期は売上高が前期比6.5%増の77.0億円、営業利益は同1.3%増の6.0億円を見込む。引き続き「まじめに面白いを創る会社。未来の楽しいを造る会社。」を企業コンセプトに、「クリエイター&エンジニアのプロダクションカンパニー」を標榜し、「デジタル人材事業」「受託開発事業」「コンテンツプロパティ事業」を有機的に結び付けることで、経営基盤の安定化を確保しながら、高い成長性を実現すべく、スピード・クオリティ・チャレンジの行動指針を常に実行しながら事業展開を図る。
具体的な今後の見通しについては以下のとおり。
デジタル人材事業の売上高は14.6%増の48.0億円を見込む。WEB系顧客拡大・積極的採用によりプロジェクト数の増加を見込む。部門毎の前期末稼働プロジェクト数をベースに、今期採用予定数及び離職率予想などを勘案して算出したもの。受託開発事業の売上高は2.1%減の25.0億円を見込む。前期の受注実績をベースに、新規・保守案件に大別して積み上げにより予想値を算出している。EPARKテクノロジーズの売上高については、業務委託契約の内容を勘案し予想値を算出している。コンテンツプロパティ事業では、保守的な独自予測を参考に算出した。利益面では、デジタル人材事業及び受託開発事業における売上原価は、1プロジェクト当たりの受注金額に対する労務費割合を主要な原価として見積もり算出している。販管費は、過去実績値を元に今期も一定程度計上予定の広告宣伝費、決済 手数料等をベースに予想値を算出した。尚、受託開発事業においてベトナムオフショア事業の立て直しで利益回復を目指しているが、業績予想には織り込んでいない。営業外収益では前期に計上した為替差益や有価証券売却益を見込んでないことから経常利益は前期比7.6%減の6.6億円、親会社株主帰属利益は同2.8%減の4.4億円を見込む。

 

セグメント別売上高(連結調整後)見通し

 

22/3期 実績

構成比

23/3期 予想

構成比

前期比

デジタル人材事業

4,187

57.9%

4,800

62.3%

+14.6%

受託開発事業

2,552

35.3%

2,500

32.5%

-2.1%

コンテンツプロパティ事業

491

6.8%

400

5.2%

-18.5%

連結売上高

7,231

100.0%

7,700

100.0%

+6.5%

* 単位:百万円

 

3-2 株主還元

配当は1株当たり16円の期末配当を予定している(予想配当性向20.0%)。同社は、配当性向20%を目安として株主還元を実施していく方針。

 

3-3 戦略

①プライム市場への移行を目指す

事業間シナジーの最大化を通じた売上・利益成長を目指し、売上高100億円超、営業利益率20%超、 プライム市場への移行を中期目標とする。

 

(同社資料より)

 

②デジタル人材事業
具体的な成長戦略

人材戦略

 

顧客戦略

IT人材材流動化に対応する採用強化

・コンテンツプロパティ事業など自社プロダクトを通じた採用

・フリーランス人材などの活用

・採用部門、採用活動への積極投資

・社員ケア、サポートシステムによる定着率向上

 

エンタメ系既存顧客の深堀り

・ゲーム系顧客は、1社当たりの取引額を拡大させる

・技術社員が顧客の他部門案件を当社へフィードバック

・実績の積み上げによるチーム常駐の拡大

・IT技術者をゲーム開発プロジェクトへ参画

教育・研修制度の拡充による人材力強化

・当社独の研修システムによる人材力の相対的強化

・バディシステム(*)の活用

*顧客先にて先輩社員が後輩社員をケア

×

WEB業界など対象顧客の多様化

・ゲーム開発で培った技術(UI/UX)を他業界へ展開

・WEBサービスのアプリ化に伴う開発需要の取り込み

・単純派遣ではない、企画提案型開発ソリューションの提供

外国人技術者の活用

・ベトナム人材の将来的な活用

・日本からベトナムへの技術支援制度の構築

 

提供サービス(職種)の多様化

・開発工程だけではなく、プロモーション、データサイエンティスト、デバッグなど周辺業務の提供

・業界によっては、更に専門性の高い職種への展開

(同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

③受託開発事業
具体的な成長戦略
・EPARKなど主に大規模プラットフォームに関わる各種開発・保守実績を踏まえ、ナショナルクライアントから直接案件を受注し、開発ノウハウを海外含めグループ内に蓄積していくことで業容拡大を目指す。
・大規模プラットフォームをメインとしたソリューション提供は、運用型サービスがセットとなるケースが多く、新規受注〜保守・運用開発〜追加開発と安定的な受注が獲得できるサービスラインを構築する。

(同社資料より)

 

④コンテンツプロパティ事業
具体的な成長戦略
・100タイトル超のゲームタイトルやキャラクターに関するIPをベースに、ゲームサービスやライセンスサービスなど収益源をマルチに展開し、利益率の高いプロジェクトを積み上げていく。
・また、他社IPとの相互連携、事業提携なども視野に入れ、知的財産活用の機会を積極的に広げていく。
・同事業は、事業環境・景気動向などによって業績のボラリティが大きいため、状況に応じた事業戦略を立案しスピーディーに実行していく方針。

 

 

(同社資料より)

 

 

今後の成長イメージ

(同社資料より)

 

・基盤事業である「デジタル人材事業」を堅実に成長させるとともに、顧客基盤を強化。
・広げた顧客基盤を活用し「受託開発事業」へ展開、売上規模を拡大。また、子会社オフショアも活用し、「受託開発事業」の利益率を向上。
・「デジタル人材事業」、「受託開発事業」で培った企画・開発ノウハウを「コンテンツプロパティ事業」へ展開。新しい収益源確保を目指す。

 

4.今後の注目点

22/3期はデジタル人材事業がしっかりと成長を取り戻し、2桁増収を確保した。受託開発事業でもベトナムオフショア事業で課題を残したものの、国内は回復している。コンテンツプロパティ事業におけるラングリッサー効果の剥落やテレビCM投入により、2桁減益となったが、見通しは明るくなっている。特に直近発表された「株式会社角川ゲームスの会社分割による吸収分割会社への第三者割当増資引受(特定子会社化)」については、累計販売本数100万本超のゲームタイトルも譲渡資産に含まれているため、今後、コンテンツプロパティ事業の成長における大きなトピックになると予想する。

 

23.3期の会社予想は6.5%増収予想だが、かなり保守的といえる。特にデジタル人材事業において、売上高48.0億円が会社予想だが、3月単月の売上を年換算しても53億円に達する。同事業で目を引くのは採用を積極的に進める傍ら、1%台(6ヶ月平均)にとどまる離職率の低さにある。業界での人手不足は深刻な状況、一部企業では下方修正をもたらす要因にもなっており、同社のオンライン社員ケアシステムが有効に働いているようだ。また、受託開発事業ではベトナムオフショア事業で苦戦していたが、新型コロナも落ち着きを見せており減収予想はかなり保守的といえる。
近年、デザインの需要が高まっている。例えば、SIerはプログラムをつくることはできるが、画面でどう表現していくか、言い換えると、UI・UXに関する部分は苦手だ。一方、同社の強みは、ゲームを通じて、取扱説明書がなくても使うことができるソフトウエアを開発してきたこと。ゲームは遊びながら使い方を理解できるような作り方をしないといけないが、スマートフォンも同じ。ただ、今の日本にはこうした技術を持つ企業は必ずしも多くない。UI・UXに対するニーズが高まっているということは、同社が持っている技術に対するニーズが高まっているということであり、ライバルも少ない。同社が、非エンタメ系(ITやWeb関連)の売上を伸ばしている背景には、時代のニーズと同社の強みが合致しているためだ。
株価は見直されたものの、保守的な予想に対してPERは低位にとどまっている。デジタル人材事業の成長が具現化し、保守的予想が顕在化すれば市場の見方も大きく変わってくるだろう。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

3名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2021年6月24日)
基本的な考え方
当社グループは、企業活動を支えるあらゆるステークホルダーの利益を重要視しており、長期的、継続的また効率的な株主価値の最大化を実現する上でも、コーポレート・ガバナンスの確立を重要な経営課題であると認識しております。企業の社会的責任については、株主のみならず、多くのステークホルダー、また直接的な利害関係者でない社会全般に対してもコーポレート・ガバナンスを基盤として会社全体で使命を共有し、事業の根幹たる「お客様を幸せにする」においてたゆまぬ付加価値創造に注力すべく、従業員に対し基本的な心構え・指針となるよう「社内規程」の整備・徹底を図っております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
当社グループはコーポレートガバナンス・コードの基本原則を実施しております 。

 

株式会社インベストメントブリッジ
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