イー・ガーディアン株式会社(6050) グループシナジーによる大幅成長

2021/12/09

 

高谷 康久 社長

イー・ガーディアン株式会社(6050)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表者

高谷 康久

所在地

東京都港区虎ノ門1-2-8 虎ノ門琴平タワー8F

決算月

9月

HP

https://www.e-guardian.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

3,515円

10,033,718株

35,268百万円

23.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

135.54円

25.9 倍

489.38円

7.2倍

*株価は12/1終値。各数値は2021年9月期決算短信より。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2018年9月(実)

5,902

1,039

1,049

736

72.05

8.00

2019年9月(実)

6,535

1,167

1,201

824

81.01

9.00

2020年9月(実)

7,785

1,285

1,326

889

87.82

10.00

2021年9月(実)

9,933

1,968

2,040

1,086

107.44

14.00

2022年9月(予)

11,012

2,170

2,207

1,360

135.54

* 予想は会社予想。単位:百万円、円。

 

 

イー・ガーディアン(株)の2021年9月期決算の概要と2022年9月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2021年9月期決算概要
3.2022年9月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 21/9期の売上高は前期比27.6%増の99.33億円。ゲームサポートは苦戦したものの、ソーシャルサポートが同55.5%増と高成長が継続。また、アド・プロセスが同12.4%増、グループシナジーを強みにサイバーセキュリティも大幅成長を見せている。営業利益は同53.2%増の19.68億円。同社は5月10日付で通期予想を上方修正しているが、営業利益及び経常利益段階において、修正予想値をさらに上回る好調な業績推移となっている。

     

  • 22/9期の売上高は前期比10.9%増の110.12億円、営業利益は同10.2%増の21.70億円を計画。監視及びカスタマーサポートの継続的な成長による収益貢献を見込む一方で、総合ネットセキュリティ企業としてのさらなる飛躍を目指し、戦略的投資を行う計画。既存事業においては、規模拡大に応じ拠点の拡大を実施していく。また、2021年10月にはサイバーセキュリティ業務のシナジー強化のため、EGセキュアソリューションズ、グレスアベイル及びジェイピー・セキュアを統合し、シナジー発揮が進んでいるが、さらにソフトウェア型WAFとクラウド型WAFの技術を融合及び拡販に向け体制を整えていく方針を示している。

     

  • 苦戦が続いていたゲームサポート事業では、四半期毎の推移で見た際に、ようやく2021年9月期の第4四半期で下げ止まった格好。同社はフィリピン(マニラ)に続いて2つ目の海外拠点として、2021年7月にE-Guardian Vietnamを設立。両拠点を軸に海外案件の獲得、特に中国案件を狙う戦略を推進していく方針を示しており、同事業の本格的な底打ちとなるか、需要の獲得状況を追っていく必要があるだろう。また、今期はサイバーセキュリティ事業で、同社のオペレーション力をさらに付加した新WAFサービスを開始する方針だと決算説明動画の中で社長が言及している。新サービスの詳細次第では成長の一段の加速に繋がる可能性もあり、こちらも会社側の発表を楽しみに待ちたい。

     

1.会社概要

経営理念として「We Guard All」を掲げ、グループでサイバーセキュリティからデバッグ、運用まで、上流から下流までを、ネットセキュリティのワンストップサービスを提供している。20年以上にわたる運用実績を誇り、国内外に拠点を展開。顧客数は1,000社を超える。グループは、投稿監視・カスタマーサポート・広告審査等を手掛ける同社の他、連結子会社6社。サイバーセキュリティ・脆弱性診断等のEGセキュアソリューションズ(株)、クラウド型セキュリティ製品の開発・販売を行う(株)グレスアベイル、ソフトウェア型Web Application Firewall(WAF)の開発・販売を行う(株)ジェイピー・セキュア、Webシステム・IoTのデバッグ(第三者検証)を手掛けるEGテスティングサービス(株)、投稿監視を中心に展開し、ローコストオペレーションを強みに低単価案件の収益化能力に優れるイー・ガーディアン東北(株)、及びグローバル展開の拠点であるE-Guardian Philippines Inc.。

 

 

 

(同社資料より)

 

1-1 事業区分と成長戦略

事業は、ソーシャルサポート、ゲームサポート、アド・プロセス、サイバーセキュリティ、その他の5業務に区分され、いずれも件数に応じた課金体系を採用しており(一部サービスを除く)、高品質なサービスをリーズナブルな価格で提供している。

 

ソーシャルサポート
ソーシャルネットワークサービス(SNS)やECメディア等のソーシャルメディアへの投稿を監視する投稿監視や問い合わせ対応を24時間365日体制で提供しており、多様なニーズを取り込むべく、風評調査、多言語対応、サイト運用、分析等にサービスの幅を広げている。人による目視監視(ヒューマンリソース)に加え、投稿監視システム「E-Trident」や人工知能型画像認識システム「ROKA SOLUTION」の活用で対応している。低単価案件等には、ローコストオペレーションを強みとするイー・ガーディアン東北(株)が対応している。
決済事業者の加盟店審査を代行する「加盟店審査・登録申請サポートサービス」やリアルタイムAI動画監視フィルタの開発等も行っている。

 

ゲームサポート
ゲームの開発から運用までをワンストップでサポートしている。デバッグを手掛けるEGテスティングサービス(株)と連携したサービス、プロモーション、ソーシャルアプリやオンラインゲーム等のカスタマーサポート、更にはフィリピン現地法人E-Guardian Philippines Inc.が海外企業の日本進出支援(ローカライズ、デバッグ、脆弱性診断、運用等)と日本企業の第3国への進出支援を行っている。カスタマーサポートでは、バグ(苦情)、機能の使い方(質問)、更にはゲーム内での不正行為の通報等について、チャットボット(「チャット」と「ロボット」を組み合わせた自動会話プログラム)、メール、電話で対応している。

 

アド・プロセス
広告審査業務に加え、広告枠管理、入稿管理、広告ライティング及び広告運用代行等の業務受託を行っており、顧客のもとに常駐して業務を実施する常駐型のサービスも提供している。また、画像内物体検知システム「Kiducoo AI(キヅコウ エーアイ)」を活用し、マーケティング支援及び著作権侵害のパトロール等のサービスも提供している。

 

サイバーセキュリティ
EGセキュアソリューションズ(株)が提供する、ウェブアプリケーション等の脆弱性診断(脆弱性検査)や各種サイバーセキュリティに関するコンサル・支援、(株)グレスアベイルが提供するクラウドセキュリティやサイバー攻撃対策に関するソリューション、(株)ジェイピー・セキュアが提供するソフトウェア型WAF「SiteGuard(サイトガード)シリーズ」によるWebサイトの脆弱性を悪用した攻撃を防御するソリューション等の収益が計上されている。

 

なお、次世代クラウド型WAF「GUARDIAX SaaS版」が、独立行政法人情報処理推進機構(以下「IPA」)が行う「セキュリティ製品の有効性検証の試行」において対象製品として選定され、「製品機能・性能」、「運用性」、「導入容易性」の3つの観点での検証が行われた。その結果、以下4つの差別化ポイントについて有効性の確認を受けている。
(1)強固な防御ルールであること
(2)偽陽性が少ないこと
(3)攻撃状況が判るダッシュボードが用意されていること
(4)防御ルールをWebサイト単位でチューニングできること

 

その他
EGテスティングサービス(株)によるWebシステム・IoTのデバッグ(第三者検証)等の収益が計上されている。

 

1-2 強み - 人とシステムによる低コスト・高品質の実現、リスク高度化とサービス多様化への対応力 ―

TVゲーム・携帯ゲームがソーシャルゲーム・クラウドゲームに、電話問い合わせがメール・チャットに、現金決済・クレジットカード決済が電子決済・仮想通貨・Fintechにそれぞれ代わり、SNSやブログ等のソーシャルWebサービスが、CtoC、シェアリングサービス、VR、ARと多様化している。これに伴い、標的型攻撃、ランサムウェアによる被害、脆弱性対策情報の悪用、インターネットバンキングの不正利用、スマートフォンへの攻撃、個人情報の窃取、更にはサービスの妨害を目的とした攻撃等、リスクも高度化しており、セキュリティ侵害は年々深刻化している。

 

こうした中、同社は、セキュリティのワンストップサービスを構築し、ネットの安心・安全に必要なものを全て提供している。強みは、「①人とシステムによる低コスト・高品質の実現と②リスク高度化とサービス多様化への対応力」。①人とシステムによる低コスト・高品質の実現では、人による目視監視(ヒューマンリソース)と、人工知能型テキスト監視システム、人工知能型画像認識システム、画像内物体検知システム、及びRPAによる低コスト・高品質なサービスを24時間・365日提供している。②リスク高度化とサービス多様化への対応力では、18/9期に、IoTセキュリティ・コンサルティング、セキュリティ診断サービス、及びスマホ脆弱性診断を導入した。また、仮想通貨の広告パトロール、シェアリングエコノミー本人認証、IoTセキュリティ・コンサルティング、ゲームコンシェルジュ、e-Sports、インフルエンサーパトロール、ライブコマースパトロールといった新領域に参入した。

 

1-3 ESGの取り組み

Environmental(環境)の観点からは、e-KYC(本人認証の電子化)による環境負荷の低減や書類の電子化、ペーパーレス化、資源の有効活用を実施。
Social(社会)の観点からは、インターネットセキュリティ事業を通じて貢献する他、働く環境づくりにも注力。具体的には、短時間勤務制度、時差出勤、在宅勤務など様々な働き方を取り入れる他、残業削減や誕生日休暇などの制度を導入することで労働環境の整備やワークライフバランスに取り組んでいる。また、若手社員の抜擢人事などにも積極的。
Governance(企業統治)については、新たに任意の指名委員会および報酬委員会を設置している他、社外取締役の構成比50%、社内取締役の任期を1年とするなど、客観性・透明性の確保に努めている。また、株主の権利・平等性の確保という観点から株式の持ち合いも行っていない。

 

2.2021年9月期決算概要

2-1 連結業績

 

20/9期

構成比

21/9期

構成比

前期比

期初予想

予想比

売上高

7,785

100.0%

9,933

100.0%

+27.6%

8,862

+12.1%

売上総利益

2,618

33.6%

3,540

35.6%

+35.2%

 -

販管費

1,332

17.1%

1,571

15.8%

+18.0%

 -

営業利益

1,285

16.5%

1,968

19.8%

+53.2%

1,526

+29.0%

経常利益

1,326

17.0%

2,040

20.5%

+53.8%

1,557

+31.0%

親会社株主帰属利益

889

11.4%

1,086

10.9%

+22.2%

1,043

+4.2%

* 単位:百万円

 

前期比27.6%の増収、同53.2%の営業増益
売上高は前期比27.6%増の99.33億円。ゲームサポートは苦戦したものの、ソーシャルサポートが同55.5%増と高成長が継続。また、アド・プロセスが同12.4%増、グループシナジーを強みにサイバーセキュリティも大幅成長を見せている。

 

営業利益は同53.2%増の19.68億円。売上の増加に加え、販管費の抑制も寄与し大幅な増益となった。また、同社は5月10日付で通期予想を上方修正しているが、営業利益及び経常利益段階において、修正予想値をさらに上回る好調な業績推移となっている。

 

2-2 業務別動向

 

20/9期

構成比

21/9期

構成比

前期比

ソーシャルサポート

3,396

43.6%

5,283

53.2%

+55.5%

ゲームサポート

2,493

32.0%

2,154

21.7%

-13.6%

アド・プロセス

1,008

13.0%

1,134

11.4%

+12.4%

サイバーセキュリティ

642

6.5%

その他

885

11.4%

718

7.2%

売上高合計

7,785

100.0%

9,933

100.0%

+27.6%

* 単位:百万円。サイバーセキュリティ業務の拡大に伴い、その他業務の売上を「サイバーセキュリティ」と「その他」に区分。

 

ソーシャルサポート
売上高52.83億円(前期比55.5%増)。新型コロナウイルスの影響によるリモートワークの増加や外出自粛によって、インターネットサービスは需要の増減等、様々な影響が出た。こうした中、同社は、これまでに蓄積したノウハウとリアルタイムAI動画監視フィルタの活用による高効率な監視サービスの強みを活かして、コロナ禍においても成長が続く動画領域に注力したことが奏功し、売上が大きく伸びた。また、新型コロナウイルスの感染防止の観点から非接触決済需要が増加したことに伴って、キャッシュレス、特に「eKYC(インターネット本人確認)」関連の売上が支えに。さらに、予約受付のカスタマーサポート等を受注したことでワクチン接種関連の売上も増加した。

 

なお、リアルタイムAI動画監視フィルタは、動画市場での監視サービスの展開に向け、イー・ガーディアン(株)の画像検知AI・テキスト認識AI関連の技術と、国立研究開発法人産業技術総合研究所発のベンチャー企業であるHmcomm(株)のAI音声認識システムを連携させることで、映像だけではなく、動画ファイル内の音声をテキスト化し、切り出したテキストデータのフィルタリングを可能にする。音声・映像の双方でモニタリングするため、アダルトや問題のある表現を含むコンテンツ検知、誹謗中傷、ユーザー間トラブル、著作権侵害等、多様に対応できる。

 

ゲームサポート
売上高21.54億円(前年同期比13.6%減)。第2四半期及び第3四半期の苦戦もあって、全体としては売上が減少した。一方、グループ会社であるEGテスティングサービスが、ゲーム開発・運営の品質向上サポートを目的に、基準通りの設計であることを検査する「開発レギュレーションテスト」を開始。また、グループシナジーを活かし、デバッグ業務とカスタマーサポート業務の営業戦略を連携して行い、受注拡大に努めたことも奏功し、前期の第1四半期から四半期売上が継続して切り下がってきていたものの、今第4四半期で下げ止まる格好となっている。

 

(同社資料より)

 

アド・プロセス
売上高11.34億円(前期比12.4%増)。広告審査業務を中心に幅広く広告関連の需要を取り込んだ。2020年4月に(株)サイバー・コミュニケーションズとの合弁会社(株)ビズテーラー・パートナーズを設立しており、同社関連の案件も引き続き堅調。さらに、企業領域だけでなく、消費者庁より健康食品の虚偽・誇大広告監視案件の他、気象庁より広告一次審査業務を受託する等、事業認知が広がっていることで、官公庁案件の獲得も出来るようになってきており、こちらも業績に寄与した。

 

サイバーセキュリティ
売上高6.42億円(前期比129.0%増 ※組み替えにより算出)。2020年10月に子会社化したジェイピー・セキュアは、100万サイトを超える導入実績がある国内利用サイト数1位のソフトウェア型WAF(Web Application Firewall)を提供。同じくグレスアベイルは、国内初のコンテナ型WAFである「GUARDIAX」などを提供。

 

ソフトウェア型WAFの老舗であるジェイピー・セキュアの知名度とグレスアベイルの営業活動の相乗効果により、EGセキュアソリューションズの売上も増加するなどシナジー効果の発揮が見られている。

 

その他
売上高7.18億円(前期比18.7%増 ※組み替えにより算出)。ハードウェアに対するデバッグ業務が主なサービスとなっており、EGテスティングサービスが既存顧客への深耕営業や新規開拓に注力した結果、堅実な伸びを見せた。

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

20年9月

21年9月

 

20年9月

21年9月

現預金

3,369

3,693

未払金・未払費用

553

757

売掛金

983

1,255

未払法人税・未払消費税等

477

653

流動資産

4,418

5,020

賞与・役員株式給付引当金

196

214

有形固定資産

517

485

有利子負債

無形固定資産

186

819

負債

1,314

1,922

投資その他

409

506

純資産

4,217

4,910

固定資産

1,114

1,811

負債・純資産合計

5,532

6,832

* 単位:百万円

 

期末の流動資産は前期末との比較で6.02億円増の50.20億円。現預金や売掛金の増加などがあり、流動資産は増加。のれんの増加を主な理由として無形固定資産も大きく増加した。負債・純資産では未払金及び未払法人税等の増加に加え、好業績を反映して利益剰余金が増加した。自己資本比率は71.9%(前期末76.2%)。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

20/9期

21/9期

前期比

営業キャッシュ・フロー(A)

1,013

1,629

+615

+60.8%

投資キャッシュ・フロー(B)

-195

-837

-641

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

817

792

-25

財務キャッシュ・フロー

-175

-470

-295

現金及び現金同等物期末残高

3,369

3,693

+324

+9.6%

* 単位:百万円

 

税前当期純利益18.12億円(前期12.74億円)、減価償却費0.70億円(同0.89億円)、法人税等の支払い△5.12億円(同△3.68億円)等で16.29億円の営業CFを確保した。投資CFは連結の範囲変更を伴う子会社株式の取得による影響で、財務CFは主に自己株式の取得、配当金の支払い等が背景。

 

参考:ROEの推移

 

17/9期

18/9期

19/9期

20/9期

21/9期

ROE

29.2%

28.9%

26.4%

23.3%

23.8%

売上高当期純利益率

11.3%

12.5%

12.6%

11.4%

10.9%

総資産回転率

1.83回

1.69回

1.56回

1.54回

1.61回

レバレッジ

1.31倍

1.37倍

1.33倍

1.32倍

1.35倍

* ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ

 

3.2022年9月期業績予想

3-1 連結業績

 

21/9期 実績

構成比

22/9期 予想

構成比

前期比

売上高

9,933

100.0%

11,012

100.0%

+10.9%

営業利益

1,968

19.8%

2,170

19.7%

+10.2%

経常利益

2,040

20.5%

2,207

20.0%

+8.2%

親会社株主帰属利益

1,086

10.9%

1,360

12.4%

+25.1%

* 単位:百万円

 

前期比10.9%の増収、同10.2%の営業増益予想
売上高は前期比10.9%増の110.12億円、営業利益は同10.2%増の21.70億円を計画。監視及びカスタマーサポートの継続的な成長による収益貢献を見込む一方で、総合ネットセキュリティ企業としてのさらなる飛躍を目指し、戦略的投資を行う計画。既存事業においては、規模拡大に応じ拠点の拡大を実施していく。また、2021年10月にはサイバーセキュリティ業務のシナジー強化のため、EGセキュアソリューションズ、グレスアベイル及びジェイピー・セキュアを統合し、シナジー発揮が進んでいるが、さらにソフトウェア型WAFとクラウド型WAFの技術を融合及び拡販に向け体制を整えていく方針を示している。

 

ソーシャルサポート 通期戦略
広告収入モデルの動画配信プラットフォームの増加に加えて、Youtuber・Vtuber・タレントマネジメント会社など、動画配信プレイヤー自体も拡大する中、引き続き動画市場は成長市場となっている。eコマース、メタバース、キャッシュレス、NFT、DX、自動運転、ギガスクール、マッチング等、動画以外のマーケットも広がる中、全方位営業戦略で臨む。

 

(同社資料より)

 

ゲームサポート 通期戦略
2021年7月、マニラに続いて2つ目の海外拠点としてE-Guardian Vietnamを設立。こちらで、中国語対応はもちろん、日本語対応もより低価格・高品質で行うことができる体制を構築済み。両拠点を軸に海外案件の獲得、特に中国案件を狙う戦略を推進。

 

(同社資料より)

 

アド・プロセス 通期戦略
サイバー・コミュニケーションズとの合弁会社(株)ビズテーラー・パートナーズを広告BPOのトータルソリューションを提供する専門企業として戦略に組み込み、市場拡大が続く動画広告や合弁会社関連の案件獲得に引き続き注力していく。

 

(同社資料より)

 

サイバーセキュリティ 通期戦略
コンテナ型WAF(次世代型)及びクラウド型WAFを有するグレスアベイル、ソフトウェア型WAF「SiteGuard(サイトガード)シリーズ」を提供するジェイピー・セキュア、セキュリティ第一人者の徳丸氏を擁するEGセキュアソリューションズという3社のグループシナジーを引き続き追求していく方針。

 

(同社資料より)

 

4.今後の注目点

苦戦が続いていたゲームサポート事業では、四半期毎の推移で見た際に、ようやく2021年9月期の第4四半期で下げ止まった格好。同社はフィリピン(マニラ)に続いて2つ目の海外拠点として、2021年7月にE-Guardian Vietnamを設立。両拠点を軸に海外案件の獲得、特に中国案件を狙う戦略を推進していく方針を示しており、同事業の本格的な底打ちとなるか、需要の獲得状況を追っていく必要があるだろう。

 

また、今期はサイバーセキュリティ事業で、同社のオペレーション力をさらに付加した新WAFサービスを開始する方針だと決算説明動画の中で社長が言及している。サイバーセキュリティ事業はグループシナジーも発揮され、好調に推移しているが、新サービスの詳細次第では成長の一段の加速に繋がる可能性もあり、こちらも会社側の発表を楽しみに待ちたい。

 

なお、調査委員会の報告書では、同社及びグレスアベイル社内の組織的共謀、関与があったものとは認められなかったものの、グレスアベイル元代表取締役による不正行為が発覚して、過年度決算の修正を行っている。コーポレート・ガバナンスの一段の強化に向けた会社の取り組みについても、市場の注目が集まるだろう。

 

(同社資料より)

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

6名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2020年12月23日)
基本的な考え方
当社は、コーポレート・ガバナンスの基本的な目的を企業価値の安定的な増大と株主重視の立場に立って経営の健全性の確保と透明性を高めることであると認識しております。そのために、財務の健全性を追求すること、タイムリーディスクロージャーに対応した開示体制を構築すること、取締役及び独立性の高い社外取締役が経営の最高意思決定機関として法令に定める重要事項の決定機能及び各取締役の業務執行に対しての監督責任を果たすことを経営の最重要方針としております。また、コーポレート・ガバナンスの効果を上げるため、内部統制システム及び管理部門の強化を推進し、徹底したコンプライアンス重視の意識の強化とその定着を全社的に推進してまいります。

 

また、当社は、以下の5点をコーポレート・ガバナンスの基本方針として掲げております。

 

・全ての株主に対して実質的な平等性を確保するとともに、株主の権利の確保と適切な権利行使に資するための環境整備を行います。
・株主をはじめとする全てのステークホルダーとの適切な協働を実践するため、ステークホルダーの権利・立場や企業倫理を尊重する企業風土の醸成に努めます。
・法令に基づく開示以外にも、株主をはじめとするステークホルダーにとって重要と判断される情報(非財務情報も含む)を、様々な手段により積極的に開示を行います。
・取締役会は、取締役の職務執行に対する独立性の高い監督体制を構築し、経営の健全性の確保と透明性の高い経営の実現に取り組みます。
・最高財務責任者を中心とするIR体制を整備し、株主や投資家との対話の場を設けます。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則4-1-2 中期経営計画】
当社では、激しく変化するインターネットビジネス分野において、中期的な業績予測を掲げることは、必ずしもステークホルダーの適切な判断に資するものではないとの立場から、数値目標をコミットメントする中期経営計画は公表しておりませんが、経営陣は中期経営計画を定めるとともに、その進捗状況の確認、分析を行っております。取締役会は、その中期経営計画を決議するとともに、進捗状況や分析結果について報告を受け、監視、監督をすることとしております。

 

<開示している主な原則>
【原則1-4 政策保有株式】
当社は、事業戦略、取引関係などを総合的に勘案し、中長期的な観点から当社グループの企業価値の向上に資することを確認したうえで上場株式を新規保有し、また、継続保有する場合は毎年判断することとしております。その議決権行使は、中長期的な視点で企業価値向上につながるか、または当社の株式保有の意義が損なわれないかを判断基準として行うこととしております。なお、現在、当社は政策保有に係る株式は保有しておりません。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社では、最高財務責任者である総務部担当役員が、IR担当部署である総務部を統括し、IR活動を行うこととしております。
株主や投資家に対しては、個別面談に加えて、経営トップが出席する決算説明会を半期に1回行っております。加えてこれらの動画配信及び資料の公開をWebサイト上にて実施し、積極的に情報開示を行うこととしております。なお、株主との対話においては、インサイダー情報の漏洩防止に留意しております。

 

 

 

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