フェローテックホールディングス 減収減益も配当は前期と同額
 
![]() 山村 章 社長  | 
 株式会社フェローテックホールディングス(6890)  | 
 
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企業情報
| 
 市場  | 
 JASDAQ  | 
| 
 業種  | 
 電気機器(製造業)  | 
| 
 代表者  | 
 山村 章  | 
| 
 所在地  | 
 東京都中央区日本橋 2-3-4 日本橋プラザビル  | 
| 
 決算月  | 
 3月  | 
| 
 HP  | 
株式情報
| 
 株価  | 
 発行済株式数(自己株式を控除)  | 
 時価総額  | 
 ROE(実)  | 
 売買単位  | 
|
| 
 649円  | 
 37,116,134株  | 
 24,088百万円  | 
 3.6%  | 
 100株  | 
|
| 
 DPS(予)  | 
 配当利回り(予)  | 
 EPS(予)  | 
 PER(予)  | 
 BPS(実)  | 
 PBR(実)  | 
| 
 –  | 
 –  | 
 –  | 
 –  | 
 1,303.89円  | 
 0.5倍  | 
*株価は06/30終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
連結業績推移
| 
 決算期  | 
 売上高  | 
 営業利益  | 
 経常利益  | 
 親会社株主帰属利益  | 
 EPS  | 
 DPS  | 
| 
 2017年3月(実)  | 
 73,847  | 
 5,678  | 
 5,675  | 
 3,256  | 
 105.67  | 
 18.00  | 
| 
 2018年3月(実)  | 
 90,597  | 
 8,437  | 
 7,157  | 
 2,678  | 
 77.08  | 
 24.00  | 
| 
 2019年3月(実)  | 
 89,478  | 
 8,782  | 
 8,060  | 
 2,845  | 
 76.90  | 
 24.00  | 
| 
 2020年3月(実)  | 
 81,613  | 
 6,012  | 
 4,263  | 
 1,784  | 
 48.12  | 
 24.00  | 
| 
 2021年3月(予)  | 
 –  | 
 –  | 
 –  | 
 –  | 
 –  | 
 –  | 
* 2021年3月期会社予想は未定。単位は百万円、円。
(株)フェローテックホールディングスの2020年3月期決算の概要と2021年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期決算概要
3.2021年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 20/3期は前期比8.8%の減収、同31.5%の営業減益。売上面では、電子デバイス事業の売上が増加したものの、半導体・FPD投資及び同生産の減少で半導体等装置関連事業の売上が減少した他、太陽電池関連事業からの撤退の影響もあった。利益面では、太陽電池関連事業の撤退効果等による原価率の改善で前期並みの売上総利益を確保したものの、研究開発費や中国子会社の貸倒引当金の増加、及び子会社の本格稼働等による販管費の増加が負担になった。配当は前期と同様の年24円(上期末12円、期末12円)。
 - 「新型コロナウイルス感染症拡大により、経済見通しが極めて不透明である」として、21/3期の業績予想は上期6ヶ月間の予想にとどめた。上期予想は、1ドル108円の為替レートを前提に前年同期比4.4%の減収、同15.9%の営業減益。通期予想については、合理的な算定が可能となった時点で配当予想と共に速やかに開示する考え。
 - 7月31日開催予定の継続会後の取締役会決議を経て、山村 章 代表取締役社長が代表取締役会長に就任し、賀 賢漢 代表取締役副社長が代表取締役社長・グループCEO(最高経営責任者)に就任する。5G、IoT、電気自動車等、外部環境の変化にスピード感を持って対応すると共に、企業価値の更なる向上に取り組んでいく考え。山村社長と二人三脚で同社中国事業を立ち上げ、製造及び財務にも広い見識と知見を有する賀新社長の下での成長戦略に期待したい。 
 
1.会社概要
半導体やFPD製造装置等の部品、半導体の生産工程で使われる消耗部材やウエーハ、更には装置の部品洗浄等を手掛ける半導体等装置関連事業と、冷熱素子「サーモモジュール」を核とする電子デバイス事業の二本柱で事業展開しており、傘下に子会社等48社を擁する(連結子会社41社、持分法適用非連結子会社及び関連会社7社)。
1980年、NASAのスペースプログラムから生まれた磁性流体を応用した真空技術製品や冷熱素子として用途が広がっているサーモモジュール等、独自技術を核にした企業として誕生。創業から40年にわたって培われてきた多様な技術は、エレクトロニクス、自動車、次世代エネルギー等、様々な産業分野で応用されている。また、トランスナショナルカンパニーとして、日本、欧米、中国、アジアに展開し、マーケティング、開発、製造、販売、そしてマネジメントと、それぞれの国・地域の強みを活かした経営も同社の特徴。2017年4月、持株会社体制へ移行した。
【経営理念】
顧客に満足を
地球にやさしさを
社会に夢と活力を
フェローテックはグローバルな視点のもと国際社会や地域社会と調和を図り、あらゆる人々の生活に貢献できる製品とサービスを提供する企業として誠実に行動します。お客様から信頼されて満足を頂くこと、地球環境問題の解決に貢献すること、ものづくりを通して社会に貢献することを掲げます。
1-1 事業セグメント
事業は、半導体・FPD・LED等の製造装置に使われる真空シール、石英製品、セラミックス製品等の半導体等装置関連事業、サーモモジュールが中心の電子デバイス事業、及び報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、シリコン結晶やPVウエーハ、ソーブレード、工作機械、表面処理、太陽電池用シリコン製品等のその他に分かれる。
半導体等装置関連事業
半導体、FPD、LED、太陽電池等の製造装置部品である真空シール、デバイスの製造工程に使われる消耗品である石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、石英坩堝。この他、シリコンウエーハ加工や製造装置洗浄等も手掛け、エンジニアリング・サービスをトータルに提供している。
主力製品で世界シェアNo.1の真空シールは、製造装置内部へのガスやチリ等の侵入を防ぎつつ、回転運動を装置内部に伝える機能部品で、上記の製造装置に不可欠。真空シールの内部には創業からのコア技術である磁性流体(磁石に反応する液体)シールが使われている。ただ、いずれの分野も設備投資の波が大きいため、比較的需要が安定した搬送用機器や精密ロボット等、一般産業分野での営業を強化しており、真空シールを組み込んだ真空チャンバーやゲートバルブ等(共に真空関連の装置で使われる)の受託製造にも力を入れている。一方、石英製品、セラミックス製品、CVD-SiC製品、及び石英坩堝は共に半導体の製造工程に欠かせない消耗品。石英製品は半導体製造の際の高温作業に耐え、半導体を活性ガスとの化学変化から守る高純度のシリカガラス製品。材料や加工技術を核とするセラミックス製品は国内外の半導体製造装置メーカーを主な顧客とし、半導体検査治具用マシナブルセラミックスと半導体製造装置等の部品として使われるファインセラミックスが二本柱。CVD-SiC(※)製品は「CVD法(Chemical Vapor Deposition法:化学気相蒸着法)」(シリコンと炭素を含むガスから作る)で製造されたSiC製品の事。現在、半導体製造装置の構造部品として供給しているが、航空・宇宙(タービン、ミラー)、自動車(パワー半導体)、エネルギー(原子力関連)、IT(半導体製造装置用部品)等への展開に向け研究開発を進めている。シリコンウエーハ加工は、6インチ(口径)と8インチを手掛け、製造装置洗浄では中国で過半を超えるトップシェアを有する。

(同社資料より)
電子デバイス事業
事業の核となっているのは対象物を瞬時に高い精度で温めたり、冷やしたりできる冷熱素子「サーモモジュール」である。サーモモジュールは自動車用温調シートを中心に、半導体製造装置でのウエーハ温調、遺伝子検査装置、光通信、家電製品、およびその応用製品のパワー半導体用基板等、利用範囲は広い。高性能材料を使用した新製品開発や自動化ライン導入によるコスト削減と品質向上により、新規の需要開拓や更なる用途拡大に取り組んでいる。この他、スマホのリニアバイブレーションモーターや4Kテレビのスピーカー向け等で新たな用途開発が進んでいる磁性流体の収益も含まれている。
 
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 (同社資料より)  | 
その他
 
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 (同社資料より)  | 
2.2020年3月期決算概要
2-1 連結業績
| 
 19/3期  | 
 構成比  | 
 20/3期  | 
 構成比  | 
 前期比  | 
 2Q時修正予想  | 
 予想比  | 
|
| 
 売上高  | 
 89,478  | 
 100.0%  | 
 81,613  | 
 100.0%  | 
 -8.8%  | 
 85,000  | 
 -4.0%  | 
| 
 売上総利益  | 
 27,137  | 
 30.3%  | 
 26,928  | 
 33.0%  | 
 -0.8%  | 
 27,405  | 
 -1.7%  | 
| 
 販管費  | 
 18,354  | 
 20.5%  | 
 20,915  | 
 25.6%  | 
 +14.0%  | 
 20,880  | 
 +0.1%  | 
| 
 営業利益  | 
 8,782  | 
 9.8%  | 
 6,012  | 
 7.4%  | 
 -31.5%  | 
 6,500  | 
 -7.5%  | 
| 
 経常利益  | 
 8,060  | 
 9.0%  | 
 4,263  | 
 5.2%  | 
 -47.1%  | 
 4,500  | 
 -5.3%  | 
| 
 親会社株主帰属利益  | 
 2,845  | 
 3.2%  | 
 1,784  | 
 2.2%  | 
 -37.3%  | 
 2,500  | 
 -28.6%  | 
* 単位:百万円
前期比8.8%の減収、同31.5%の営業減益
売上高は前期比8.8%減の816.1億円。電子デバイス事業の売上が増加したものの、半導体・FPD投資及び同生産の減少で半導体等装置関連事業の売上が減少した他、太陽電池関連事業からの撤退の影響も大きかった。
利益面では、太陽電池関連事業の撤退効果等による原価率の改善で前期並みの売上総利益を確保したものの、研究開発費や中国子会社の貸倒引当金の増加、及び子会社の本格稼働等による販管費の増加で営業利益が60.1億円と同31.5%減少した。為替差損の増加や貸倒引当金繰入額の計上等で営業外損益が悪化する中、減損損失や災害による損失等で12.4億円の特別損失を計上したため最終利益は17.8億円と同37.3%減少した(前期は減損損失24.2億円など特別損失30.6億円を計上)。
期末配当は1株当たり12円を実施し、上期末配当と合わせて年24円(配当性向49.9%)。
2-2 セグメント別動向
| 
 19/3期  | 
 構成比・利益率  | 
 20/3期  | 
 構成比・利益率  | 
 前期比  | 
 2Q時予想  | 
 予想比  | 
|
| 
 半導体等装置関連  | 
 57,001  | 
 63.7%  | 
 52,880  | 
 64.8%  | 
 -7.2%  | 
 54,485  | 
 -2.9%  | 
| 
 電子デバイス  | 
 12,897  | 
 14.4%  | 
 13,489  | 
 16.5%  | 
 +4.6%  | 
 13,300  | 
 +1.4%  | 
| 
 その他  | 
 19,579  | 
 21.9%  | 
 15,243  | 
 18.7%  | 
 -22.1%  | 
 17,215  | 
 -11.5%  | 
| 
 連結売上高  | 
 89,478  | 
 100.0%  | 
 81,613  | 
 100.0%  | 
 -8.8%  | 
 85,000  | 
 -4.0%  | 
| 
 半導体等装置関連  | 
 9,143  | 
 16.0%  | 
 4,192  | 
 7.9%  | 
 -54.2%  | 
 –  | 
 –  | 
| 
 電子デバイス  | 
 2,365  | 
 18.3%  | 
 2,768  | 
 20.5%  | 
 +17.0%  | 
 –  | 
 –  | 
| 
 その他  | 
 -1,930  | 
 –  | 
 260  | 
 1.7%  | 
 –  | 
 –  | 
 –  | 
| 
 調整額  | 
 -796  | 
 –  | 
 -1,208  | 
 –  | 
 –  | 
 –  | 
 –  | 
| 
 連結営業利益  | 
 8,782  | 
 9.8%  | 
 6,012  | 
 7.4%  | 
 -31.5%  | 
 –  | 
 –  | 
* 単位:百万円
半導体等装置関連事業
売上高528.8億円(前期比7.2%減)、営業利益41.9億円(同54.2%減)。新工場の稼働で半導体製造装置や有機ELパネル製造装置等の部品洗浄の売上が伸び、シリコンウエーハ加工も堅調に推移したものの、半導体や有機ELパネルメーカーの設備投資の減少による真空シールと受託加工の減少、及びデバイスメーカー各社の在庫調整に伴うマテリアル製品(石英・セラミックス等)の減少をカバーできなかった。
電子デバイス事業
売上高134.8億円(前期比4.6%増)、営業利益27.6億円(同比17.0%増)。主力のサーモモジュールは、北米市場及び中国市場での自動車販売台数の減少で自動車温調シート向けが減少した他、米中貿易摩擦の影響で産業用途も減少したものの、5G用の移動通信システム機器向けやPCR等の医療検査装置向けが増加した。この他では、パワー半導体用基板(DCB基板)が伸びたものの、スピーカー向け及びスマートフォン向けの減少で磁性流体が減少した。パワー半導体用基板では、AMB基板の認定取得を進めている。
2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
財政状態
| 
 19年3月  | 
 20年3月  | 
 19年3月  | 
 20年3月  | 
||
| 
 現預金  | 
 31,555  | 
 23,709  | 
 仕入債務  | 
 20,887  | 
 18,251  | 
| 
 売上債権  | 
 21,460  | 
 20,435  | 
 短期有利子負債(リース債務含む)  | 
 20,475  | 
 26,169  | 
| 
 たな卸資産  | 
 16,276  | 
 17,269  | 
 流動負債  | 
 60,180  | 
 61,074  | 
| 
 流動資産  | 
 77,271  | 
 71,059  | 
 長期有利子負債(リース債務含む)  | 
 41,032  | 
 55,245  | 
| 
 有形固定資産  | 
 76,133  | 
 110,840  | 
 固定負債  | 
 53,069  | 
 78,418  | 
| 
 無形固定資産  | 
 3,557  | 
 500  | 
 純資産  | 
 49,848  | 
 50,147  | 
| 
 投資その他  | 
 6,136  | 
 7,241  | 
 負債・純資産合計  | 
 163,098  | 
 189,641  | 
| 
 固定資産  | 
 85,827  | 
 118,582  | 
 有利子負債合計  | 
 61,507  | 
 81,414  | 
* 単位:百万円
期末総資産は前期末との比較で265.4億円増の1,896.4億円。中国での積極的な設備投資により有形固定資産と有利子負債が増加した。自己資本比率25.5%(前期末30.3%)。
尚、アドバンテッジアドバイザーズ(株)と業務提携契約を締結すると共に、アドバンテッジアドバイザーズ(株)がサービスを提供するファンドに対して転換社債型新株予約権付社債を発行し約37億円を調達した。アドバンテッジアドバイザーズ(株)からは、新規事業策定支援、M&A・事業提携支援、収益最適化支援、生産性向上支援、及び組織基盤強化支援を受け、企業価値向上と持続的な成長につなげる考え。
キャッシュ・フロー(CF)
| 
 19/3期  | 
 20/3期  | 
 前期比  | 
||
| 営業キャッシュ・フロー(A) | 
 11,466  | 
 8,902  | 
 -2,563  | 
 -22.4%  | 
| 投資キャッシュ・フロー(B) | 
 -37,063  | 
 -34,472  | 
 +2,590  | 
– | 
| フリー・キャッシュ・フロー(A+B) | 
 -25,597  | 
 -25,569  | 
 +27  | 
– | 
| 財務キャッシュ・フロー | 
 34,507  | 
 17,996  | 
 -16,511  | 
 -47.8%  | 
| 現金及び現金同等物期末残高 | 
 31,555  | 
 23,709  | 
 -7,846  | 
 -24.9%  | 
* 単位:百万円
税前利益35.4億円(前期56.4億円)、減価償却費76.0億円(同57.5億円)、及び法人税等の支払額△18.8億円(同△36.0億円)を含めた運転資金の増加等で89.0億円の営業CFを確保した。
参考:ROEの推移
| 
 16/3期  | 
 17/3期  | 
 18/3期  | 
 19/3期  | 
 20/3期  | 
|
| ROE | 
 5.58%  | 
 8.36%  | 
 5.92%  | 
 5.65%  | 
 3.65%  | 
| 
 売上高当期純利益率  | 
 3.11%  | 
 4.41%  | 
 2.96%  | 
 3.18%  | 
 2.19%  | 
| 
 総資産回転率  | 
 0.88回  | 
 0.86回  | 
 0.86回  | 
 0.64回  | 
 0.46回  | 
| 
 レバレッジ  | 
 2.04倍  | 
 2.19倍  | 
 2.33倍  | 
 2.79倍  | 
 3.60倍  | 
3.2021年3月期業績予想
3-1 上期連結業績
| 
 20/3期 上期 実績  | 
 構成比  | 
 21/3期 上期 予想  | 
 構成比  | 
 前年同期比  | 
|
| 売上高 | 
 41,849  | 
 100.0%  | 
 40,000  | 
 100.0%  | 
 -4.4%  | 
| 営業利益 | 
 3,566  | 
 8.5%  | 
 3,000  | 
 7.5%  | 
 -15.9%  | 
| 経常利益 | 
 2,472  | 
 5.9%  | 
 2,500  | 
 6.3%  | 
 +1.1%  | 
| 親会社株主帰属利益 | 
 1,539  | 
 3.7%  | 
 1,500  | 
 3.8%  | 
 -2.6%  | 
* 単位:百万円
上期予想のみ開示し、通期予想は未定。上期予想は前年同期比4.4%の減収、同15.9%の営業減益
「新型コロナウイルス感染症拡大により、経済見通しが極めて不透明である」として、21/3期の業績予想を、2020年4月から9月末までの6ヶ月間の開示にとどめた。業績予想の前提となる為替レートは1ドル108円。
通期予想については、合理的な算定が可能となった時点で配当予想と共に速やかに開示するとしている。
3-2 21/3期の取り組み
半導体等装置関連事業では、前期に新工場が稼働した半導体・FPD製造装置の部品洗浄サービスの拡大に力を入れる。また、シリコンウエーハやマテリアル製品(石英・セラミックス等)で顧客要望に対応した製造ライン(OEM)の増設を計画している。電子デバイス事業では、成長が見込める移動通信機器分野、DNA増幅装置(PCR検査装置)・血液分析装置等の医療分野、及び安定した需要が見込める家電・民生品用途でのサーモモジュールの販売を強化する。また、省エネ化の流れから需要増が見込めるパワー半導体向けDCB基板の増産も計画している。
3-3 代表取締役の異動
2020年7月31日開催予定の株主総会継続会後の取締役会決議を経て、山村 章 代表取締役社長が代表取締役会長に就任し、賀 賢漢 代表取締役副社長が代表取締役社長・グループCEO(最高経営責任者)に就任する。
5G、IoT、電気自動車等、変化する外部環境へのスピード感ある対応と更なる企業価値の向上が必要との考えから、社長を交代することとなった。賀新社長は、徹底した現場主義のもと、中国事業の黎明期から中国子会社の責任者の要職を経て、2001年6月に同社の取締役に就任した。2011年6月からは代表取締役副社長兼執行役員事業統括担当として、既存事業の変革と事業領域の拡大に取り組み、今日の同社グループの成長の礎を築いてきた。また、製造及び財務にも広い見識と知見を有しており、今後は、代表取締役社長兼グループCEOとして、同社グループ全体の業務を執行すると共に、企業価値の向上に取り組んでいく。一方、山村新会長は、成長戦略を進める賀新社長を、創業会長として支援していく。
尚、事業環境の変化を踏まえて、2019年5月27日に発表した中期経営目標(20/3期~22/3期)を見直すこととした。
4.今後の注目点
中国では入国禁止措置が続いており、設備立上げ人員が入国できず、現地の半導体デバイスメーカーは設備投資の延期を余儀なくされていると言う。また、サプライチェーンの混乱が部品の納期遅延や輸送費の高騰を招いており、一部の顧客には過度な在庫積み増しが見受けられ、年後半に在庫調整の発生が危惧されると言う。半導体以外では、自動車業界やホテル向けリネン業界の苦戦が予想され、同社の21/3期業績への影響が懸念される。
ただ、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics:世界半導体市場統計)によると、2020年の世界半導体市場は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が懸念される中で前年比3.3%の増加が見込まれ、続く2021年も同6.2%増と2年連続のプラス成長。在宅勤務や巣ごもり需要等、ライフスタイルの変化による需要の増加が期待できると言う。半導体投資(半導体製造装置向け投資)については、米国金融機関によると、19年比で4.2%減少する見込みだが、フェローテックホールディングスの主戦場である中国では長期産業政策「中国製造2025」において半導体産業を重要産業と位置づけ、国策として半導体の国産化に取り組んでいる。
以上、先行きの不透明感はあるものの、必ずしも悪い材料ばかりではない。賀新社長・グループCEOの経営手腕に期待したい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
| 組織形態 | 監査役会設置会社 | 
| 取締役 | 8名、うち社外2名 | 
| 監査役 | 3名、うち社外2名 | 
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2019年07月17日)
基本的な考え方
当社は、企業価値を高め、株主、顧客、取引先、地域社会などステークホルダーに信頼され支持される企業となるべく、経営の健全性を重視し、併せて、経営環境の急激な変化にも迅速かつ的確に対応できる経営体制を確立することが重要であると考えております。当社の提出日現在における企業統治の体制の模式図は、Ⅴその他 2.その他のコーポレート・ガバナンス体制等に関する事項に記載しております。
当社の取締役会は、代表取締役社長山村章が議長を務めております。その他メンバーは代表取締役副社長山村丈、代表取締役副社長賀賢漢、取締役若木啓男、取締役鈴木孝則、取締役宮永英治、社外取締役中村久三、社外取締役柳澤邦昭の8名(うち社外取締役2名)で構成されており、毎月の定例取締役会のほか、重要案件が生じたときは、機動的にその都度、臨時取締役会を開催しております。取締役会は、法令・定款に定められた事項のほか、取締役会規則に基づき重要事項を決議し、各取締役の業務執行の状況を監督しております。取締役会には、すべての監査役が出席し、取締役の業務執行の状況を監視できる体制となっております。また、経営環境の変化に迅速に対応できるよう取締役の任期は1年としております。
当社は、監査役会制度を採用しております。常勤社外監査役樋口隆昌、社外監査役藤本豪、監査役吉田勝の常勤監査役1名及び非常勤監査役2名で構成されており、うち2名が社外監査役であります。監査役会は、監査役会規則において年8回以上開催することを定められており、原則毎月1回開催し、必要に応じて随時監査役会を開催しております。常勤監査役は、取締役会のほか、執行役員会等の重要な会議に出席し、必要に応じて意見陳述を行う等、常に取締役の業務執行を監視できる体制となっております。また、内部監査室及び会計監査人と随時情報交換や意見交換を行うほか、定期的にミーティングを行う等連携を密にし、監査機能の向上を図っております。
業務執行につきましては、現在、執行役員9名[内、男性8名、女性1名/内、取締役5名(内、男性5名)]をそれぞれ担当職務・部門責任者として配置し、業務執行上の役割分担を明確にしており、毎月執行役員会を開催し、取締役会付議事項を含む重要案件について審議しております。
当社は、後藤法律事務所との法務顧問契約に基づき、業務上必要に応じて法務に関わる助言を受けております。会計監査人であるEY新日本有限責任監査法人とは、監査契約に基づき会計監査を受けており、監査の過程及び監査終了後において指摘等に関する報告を受けております。東京証券取引所JASDAQスタンダードに上場する企業として、開示規定に定める事象がおきた場合は、遅滞なく情報の開示に努めております。





