来週の金融市場見通し(2025年12月22日~2025年12月26日)

2025/12/19

■来週の見通し

ようやく発表された11月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比対比で6.4万人増加したものの、10月は10.5万人減、8月、9月も下方修正され、失業率は4.6%と50か月ぶりの水準まで上昇し、市場では米労働市場の減速を示したと受け止められた模様です。国内では日銀が予想通り政策金利を0.75%に引き上げました。来週はクリスマス休暇などで市場参加者が少なくなる中、12月の東京都区部消費者物価指数や7-9月期の米実質国内総生産(GDP)なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

 

◆株価 :落ち着いた動きか

今週の日本株は、軟調な動きとなりました。オラクルなど米ハイテク株の急落を受けて、指数の組入れ比率が高いアドバンテストなどの株価が下落したことが重しとなりました。また、週末の日銀金融政策決定会合への警戒感も、相場の重しとなりました。

来週は、目立った材料がなく、落ち着いた動きとなることが想定されます。週初の株価は、今週末に開催された日銀会合後の植田総裁の記者会見の発言を受けて、荒い動きとなる可能性があります。その後は海外市場がクリスマス休暇に入ることで、海外投資家の取引量が減少することが見込まれるため、株式市場の値動きは落ち着くとみられます。ただし、半導体関連株は、人工知能(AI)に関する期待と警戒感から、荒い値動きが続く可能性があります。

◆長期金利 :落ち着き待ち

今週の長期金利は、高市政権のもとでの財政悪化懸念が強まる中、日銀の利上げは織り込み済みだったものの、声明文で実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されると説明され、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げていく姿勢が示されたことから、2.0%を超える水準まで上昇しました。

来週も不安定な動きが続きそうです。今後も利上げが続くとの市場参加者の受け止めは、長期金利の低下を抑制しそうです。来年度の国債発行計画で中長期債が増額されると、金利上昇圧力がかかることも想定されます。とはいえ、米連邦準備理事会(FRB)は今後も利下げを継続する姿勢であること、国内の長期金利も1999年8月以来およそ26年ぶりの水準まで上昇していることから、市場が落ち着いてくると上昇一服となりそうです。

◆Jリート :上値は重いか

今週のJリート市場は、週末に控える12月の日銀会合での追加利上げがほぼ確実視され、長期金利も2%に向けて上昇する中、堅調に推移しました。今週末の分配金利回りは4.565%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。

来週は、海外投資家のクリスマス休暇等で市場の出来高が減少することが想定される中、上値の重い展開を想定しています。日銀会合後の植田総裁の発言を受け、市場が想定する利上げの終着点が高くなると、長期金利の先高観がさらに強まる可能性があり、Jリート市場を下押ししそうです。一方、値下がりした局面では下値を拾う買いや分配金利回りに着目した買いが期待されることから下値も限定的になると見込んでいます。

◆為替:上値の重い展開

今週のドル円相場は、ほぼ横ばい圏での推移となりました。労働市場の冷え込みを示す11月の米雇用統計を受けて、一時は1ドル=154円台半ばまでドル安・円高が進行しましたが、週末の日銀金融政策決定会合を控えた持ち高調整のドル買い・円売りにより、1ドル=156円前後まで値を戻しました。同会合では、0.25%ポイントの追加利上げが決定されましたが、市場では織り込み済みであったため、ドル円相場への影響は限定的でした。

来週のドル円相場は、上値の重い展開が予想されます。米GDPなど経済指標が公表されますが、次期FRB議長のもとでの利下げ推進の可能性が意識されるなか、ドル高圧力は強まりにくいとみられます。一方、日銀については、植田総裁の講演などを受けてさらなる利上げ観測が高まった場合、円高が進行する可能性があります。 

◆米国株 :落ち着いた動きか

今週の米国株は、軟調な動きとなりました。オラクルの株価が急落したことで、投資家心理が悪化したことが相場を押し下げました。オラクルは、米ミシガン州で建設予定のデータセンターを巡り、ファンドが資金拠出をやめると報じられたことを受けて、同社の財務に対する不安が高まり、大幅安となりました。また半導体株は、先週の決算発表で利益率が悪化する見通しを示したブロードコムの株価下落を受けて、軟調でした。

来週は、クリスマス休暇に入ることから、落ち着いた動きとなることが想定されます。ただし、半導体関連株は、AIに関する期待と警戒感から、荒い値動きが続く可能性があります。また、ロシアとウクライナが停戦で合意するなど、予想外のイベントが発生した場合、値動きが荒くなる展開も想定されます。

 

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(12月) 12月26日(金)発表

11月の東京都区部・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比2.8%上昇と、前月から伸びが横ばいで推移しました。食料品価格の伸びがピークアウトした一方、政府による電気・ガス代の補助が終了したことで、エネルギー価格が上昇しました。

12月のコアCPIの伸びは鈍化する見通しです。比較対象となる前年同月に、電気・ガス代の補助金の終了によりエネルギー価格が上昇したため、エネルギー価格の伸びの縮小が見込まれるほか、食料品の値上げの動きも一服する見通しです。ただし、足元で為替が円安圏で推移しているため、来年以降は輸入コストの上振れに起因するインフレ圧力が再び強まるリスクがあります。

米GDP統計(25/7-9月期、速報値)  12月23日(火)発表

2025年4-6月の実質国内総生産(GDP)成長率は、前期比年率3.8%増加と、2四半期ぶりのプラス成長となりました。関税を控えた駆け込み輸入の反動減が成長率を押し上げたことに加え、設備投資などが底堅く推移しました。

7-9月期の実質GDP成長率は、前期比年率3%増程度の伸びになるとみられます。株高の恩恵を受けやすい高所得者層を中心に個人消費が増加したとみられるほか、人工知能(AI)関連投資が牽引し、設備投資も堅調になったとみられます。

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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