2026年相場のリスク候補になるかもしれない中国経済

2025/12/19

2025年も残すところあとわずかとなった今週の株式市場ですが、日経平均が節目の5万円台を下回るなど、これまでのところ軟調な推移が目立っています。相場の視点は、米FOMC後に公表される米経済指標の動向や、週末に控える日銀金融政策決定会合などに向かっていますが、その裏で、中国経済に対する「不安の火種」もくすぶっています。

これまでも中国経済の減速は指摘されてきましたが、そんな中、今週15日(月)に中国国家統計局が各種経済指標を公表しました。11月分の鉱工業生産や小売売上高、1月から11月分の固定資産投資がいずれも市場予想を下回ったほか、不動産開発投資も前年比で11%を超えるマイナスとなるなど、中国経済の不調を示す結果となりました。とりわけ、小売売上高については、11月は中国のネット通販セール「独身の日(W11)」期間を含んでおり、本来であれば盛り上がるはずの消費が冴えなかったことで、中国の景気回復が一筋縄ではいかない状況をあらためて意識させたと言えます。

しかし、単なる数字の悪化以上に警戒すべきなのは、「政治的な姿勢の変化」の方かもしれません。12月10日~11日に開催された、翌年の経済運営方針を決める最重要会議「中央経済工作会議」において、習近平国家主席が発したとされる2つの指示が注目されています。

ひとつめの指示は「成長率の水増し禁止」です。人民日報などの報道によれば、習氏は地方幹部に対し、見せかけのGDP目標達成のために行われる「虚偽の工事着工」や「統計データの改ざん」を厳しく批判し、実態に基づいた報告を強く求めたとされています。そして、ふたつめの指示は「内巻(不毛な過当競争)の禁止」です。EVや太陽光パネルなどの分野で、中国企業同士が利益度外視の値下げ合戦を行い、共倒れ寸前になっている現状に対し、消耗戦をやめて業界再編を進めるよう命じました。

つまり、中国のトップ自らが「数字の化粧」を禁じたことで、今後公表される経済指標が「不都合な真実(リアルな低い数字)」を示す状況が次々と表に出てくる可能性があります。また、「過当競争の禁止」は、競争力のない企業の淘汰、つまり倒産や統廃合が政府主導で加速する可能性も浮上することも考えられます。

さらに、足元では浙江省の「浙江金融資産取引センター」で償還トラブルが発生するなど、カネ詰まりの影響が企業から一般市民の財産へと波及する兆候も見られます。不動産価格の下落と金融商品の焦げ付きによって家計のバランスシートが傷つけば、消費の低迷が長期化してしまう恐れもあります。

そのため、中国経済の動向は2026年相場のリスク候補のひとつになり得そうです。

もっとも、中国政府が「見せかけの成長」を放棄し、長年蓄積された不良債権や過剰設備という「膿」を出し切るプロセスと捉えるのであれば、中長期的に見れば中国経済の健全化に必要な手術とも言え、株価が下落したところで買うという戦略も考えられます。

とはいえ、当面のあいだは経済指標や企業業績の悪化が相次ぎ、いわゆる「ハード・ランディング」に近い調整局面が始まることが想定されるため、中国発のニュースフローに対して、警戒レベルを上げておく必要がありそうです。

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