(9698)株式会社クレオ 事業モデル転換の成果が表れる

2019/11/28
 

柿﨑 淳一 社長

株式会社クレオ(9698)

 

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

情報・通信

代表者

柿﨑 淳一

所在地

東京都品川区東品川4-10-27 住友不動産品川ビル

決算月

3月

HP

https://www.creo.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,646円

8,299,086株

13,660百万円

12.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

34.00円

2.1%

81.94円

20.1倍

701.42円

2.3倍

*株価は11/11終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

10,305

348

368

413

47.79

15.00

2017年3月(実)

11,559

296

333

267

31.11

13.00

2018年3月(実)

12,268

410

457

305

36.79

15.00

2019年3月(実)

13,526

670

706

664

80.05

25.00

2020年3月(予)

15,000

1,000

1,030

680

81.94

34.00

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

 

株式会社クレオの2020年3月期第2四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期第2四半期決算概要
3.2020年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:CSR活動>
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20/3期上期は前年同期比10.5%の増収、同188.0%の営業増益。働き方改革関連の需要取り込み等でソリューションサービス事業と西日本事業が大きく伸び、受託開発やサポートサービスも堅調に推移した。利益面では、技術者の稼働率向上やベトナムの提携先を活用した外注費の削減で売上総利益率が改善。一方、残業代人件費の抑制等で販管費は小幅な増加にとどまり、営業利益率が6.4%と3.9ポイント改善した。 
  • 通期予想は中期経営計画の目標でもある売上高150億円(前期比10.9%増)、営業利益は過去最高となる10億円(同49.1%増)。豊富な受注残を抱えるソリューションサービス事業と西日本事業が中心に売上・利益が増加する。配当は9円増配の34円を予定(予想配当性向41.5%)。自己株式の取得と合わせた総還元性向は60%になる見込み。 
  • この上期は、2017年4月に行ったグループ再編による事業モデル転換の成果がはっきりと表れた。営業面では、アマノ社製品やその他の提携先の製品を組み合わせた統合ソリューションの受注が拡大し、これまで取りこぼしていたニーズの取込みも進んだ。開発面では、事業部間及びグループ間連携やベトナムのオフショア活用が軌道化し、収益性の改善につながった。検収の期ずれ等がない限り、中期経営計画の達成に不安は少ない。来期スタートする新中期経営計画では、サービスへのシフトを進め営業利益率10%を目指すことになる。 

1.会社概要

多様なソリューションを提供するシステムインテグレーター。2,000社を超える企業ユーザーを誇る業務用パッケージ「ZeeMシリーズ」(人事・会計・資産管理等を網羅するERP)や業務効率の向上・コスト削減に寄与するBPM(Business Process Management:ビジネスプロセス管理)「BIZ PLATFORM」等の業務ソリューション、官公庁・自治体・公益法人・大企業向けシステム開発、国内大手ポータルサイト事業者向けWebシステム開発・運用、更には優良顧客を有するコールセンターサービス等を手掛ける。
グループは、同社の他、(株)ココト、(株)クリエイトラボ、(株)アイティアイ、(株)アダムスコミュニケーションの連結子会社4社。アマノ(6436)とヤフー(4689)が、それぞれ同社株式の31.87%、13.25%を保有し、同社はアマノ(株)の持分法適用関連会社(30.58%)に当たる。また、19/3期はヤフー(株)向けが連結売上高の14.3%、(株)富士通エフサス向けが12.1%を占めた。

 

【企業理念】

私たちは、「人間の想像力」と「世界中のテクノロジー」を結合することで、「感動!」を生む変革を起こし、豊かな未来社会の実現を目指します。

 

【ロゴに込めた3つの思い】

 

「感動」を生むこと

期待を超え、驚きを提供する姿がロゴのエクスクラメーションマークに託されている。

「創造」し続けること

球体はクレオ自身を示し、人財、製品、サービスが生まれ育つ姿を表現している。

「永遠(とわ)」に寄り添うこと

クレオ自身である球体が、顧客や社会、株主に寄り添うイメージを表現している。

 

1-1.事業内容

事業は、ソリューションサービス事業、受託開発事業、西日本事業、及び子会社の事業領域であるシステム運用・サービス事業、サポートサービス事業の5事業に分かれる。

 

ソリューションサービス事業
2,000社以上のユーザー企業を抱える中堅企業向け業務用パッケージ(人事給与・会計・資産管理ERP)「ZeeMシリーズ」、業務効率の向上やコスト削減に寄与するBPM「BIZ PLATFORM」、更にはERPとBPMのノウハウと、ホワイトカラーの定型的な作業を自動化するRPA(Robotic Process Automation)技術を組み合わせた新サービスであり、人とロボットが混在した業務プロセスを実現するRPAソリューション等を提供している。

 

受託開発事業
大企業向けシステムの受託開発、官公庁・自治体向けのシステム、新聞社の組版システム、公営競技のオッズシステム等、信頼性と実績が重視される案件が多い。また、富士通経由の案件が多い事も特徴であり、短期的なぶれはあるが、安定成長が期待できる事業である。協力会社を含めた「人」の確保がポイントになる。

 

西日本事業
名古屋以西の顧客に対して、ソリューションサービスや受託開発サービスを提供する“mini クレオ”的な事業であり、安定成長が期待できる事業である。

 

システム運用・サービス事業
連結子会社(株)ココトの事業領域であり、主に国内大手ポータルサイト事業者(ヤフー:4689)とそのグループ企業に対して、ポータルサイトやWebサービスの基盤となるサーバシステムの開発、保守、ハッキング対策等も含めた運用サービスを提供している。従来、持株会社傘下の複数のグループ企業で対応してきたが、2016年4月に設立した(株)ココトに集約された。これにより営業・開発面でグループ力を発揮できるようになり、ヤフーのグループ企業に取引が広がっている。ヤフーの深堀とグループ企業の開拓で事業を拡大させていく考え。

 

サポートサービス事業
ヘルプデスクやテクニカルサポートを中心としたサポート&サービス、及び選挙の出口調査、社会調査、市場調査等、インバウンド・アウトバウンド両対応のコールセンターサービスを提供している。技術系では富士通系とNEC系にサービスを提供する等、優良顧客をバランス良く抱えている事が当事業の強み。安定成長が期待できる事業だが、課題は「人」の確保。このため、外国人採用にも力を入れている。

 

1-2.グループ企業

グループ企業

事業内容

議決権

(株)ココト システム運用・サービス事業。システムやネットワークの構築から、各種業務アプリケーションの開発、運用サポート、システム運用に伴う事務作業

100.0%

(株)クリエイトラボ サポートサービス事業(ヘルプデスク中心)。コンピュータに関するテクニカルサポート、ヘルプデスク等のサポートサービス、システムの構築及び販売支援

97.5%

(株)アイティアイ サポートサービス事業(システム開発・運用・保守中心)。コンピューターシステムの開発運用管理及び保守業務、ネットワークシステムの設計・構築・運用・保守。

90.0%

(株)アダムスコミュニケーション サポートサービス事業(マーケティングリサーチ・コールセンター中心)。世論調査・社会調査・市場調査の企画・実施・集計・分析、インサイドセールス、コールセンター事業の提供。

100.0%

※ (株)クリエイトラボは議決権の2.5%を従業員持株会が保有している。(株)アイティアイ及び(株)アダムスコミュニケーションは(株)クリエイトラボの子会社。

 

1-3.中期経営計画(18/3期~20/3期)

【基本方針】

実感できる成長力 20/3期目標、売上高150億円、営業利益10億円(営業利益率6.7%)。

営業利益は過去最高(「筆まめ」がけん引したWindows95発売後の8.8億円)更新。

グループ総合力 クロスセル強化、部門連携強化、新規事業創出
安定した株主還元 自己資本比率70%超過額を原資として自己株取得、配当性向40%維持
コーポレート・ガバナンス強化 株主との対話強化、役員報酬制度改定、独立役員(社外取締役又は社外監査役)選任

 

【成長戦略イメージ】

 

(同社資料より)

 

顧客拡大とビジネス領域の拡大による成長を目指している。ZeeM人事・給与、ZeeM会計、ZeeM固定資産管理、更にはアマノ社の就業管理システム等を統合したソリューションを展開して既存顧客を深耕する事で事業基盤を強化する。また、アマノ社やユーザー会との連携を強化する事で顧客やサービスの裾野を拡げていく。長期的にはベトナムのオフショア拠点を活かしグローバル展開を進める他、RPAサービスやAI型経営分析の展開、或いは介護業界大手ツクイグループのファンドとの連携による介護業界向けビジネスの創出等でビジネス領域を拡げていく。

 

【数値計画】

 

18/3期 実績(計画)

19/3期 実績(計画)

20/3期 計画

構成比

前期比

テーマ

課題の再設定

変化の期間

実力の証明

売上高

12,268(12,500)

13,526(13,100)

15,000

100.0%

+10.9%

営業利益

410(400)

670(570)

1,000

6.7%

+49.1%

親会社株主帰属利益

305(280)

664(400)

680

4.5%

+2.3%

* 単位:百万円

 

最終年度となる20/3期の上期実績は前年同期比10.5%の増収、同188.0%の営業増益。売上高がほぼ期初予想通りに推移し、営業利益は期初予想を91.5%上回った。通期予想に対する進捗率は、売上高45.5%(通期実績ベースの前年同期45.7%)、営業利益44.0%(同22.7%)。同社の業績が第4四半期偏重である事を考えると、極めて順調な進捗と言える。
売上面では、ERPパッケージ「ZeeM」や業務プロセス管理システム「BIZ PLATFORM」といった自社パッケージにアマノの就業管理システム等を統合したシステムの提案営業により、人手不足や働き方改革関連法への対応に伴う需要の取り込み等に成功している。利益面では、従来、パッケージの種類毎に、人事給与・会計システム「ZeeM」であれば、人事給与、会計、資産管理といった業務毎に特化していたエンジニアをマルチタスク対応(複数の業務に対応)に再教育した事やグループ企業の連携でエンジニアの生産性が向上した。ベトナムでのオフショア開発が軌道化してきた事も営業利益率の改善につながっている。

 

2.2020年3月期第2四半期決算概要

2-1.上期連結業績

 

19/3期 上期

構成比

20/3期 上期

構成比

前年同期比

期初予想

予想比

売上高

6,181

100.0%

6,832

100.0%

+10.5%

6,750

+1.2%

売上総利益

1,235

20.0%

1,539

22.5%

+24.6%

 -

販管費

1,082

17.5%

1,098

16.1%

+1.5%

 -

営業利益

152

2.5%

440

6.4%

+188.0%

230

+91.6%

経常利益

184

3.0%

474

6.9%

+156.7%

250

+89.6%

親会社株主帰属利益

129

2.1%

306

4.5%

+136.2%

150

+104.3%

* 単位:百万円

 

前年同期比10.5%の増収、同188.0%の営業増益
売上高は前年同期比10.5%増の68億32百万円。前期の大型案件の反動でシステム運用サービスが減少したものの、働き方改革関連の需要取り込み等で主力のソリューションサービス事業や西日本事業が大きく伸び、受託開発やサポートサービスも堅調に推移した。

 

営業利益は同188.0%増の4億40百万円。技術者の稼働率向上やベトナムの提携先を活用した外注費の削減により売上総利益率が22.5%と2.5ポイント改善。一方、残業代人件費の抑制等で販管費は小幅な増加(同1.5%増)にとどまり、営業利益率が6.4%と3.9ポイント改善した。

 

 

2-2.セグメント別動向

 

19/3期 上期

構成比

20/3期 上期

構成比

前年同期比

計画

計画比

ソリューションサービス

1,510

24.4%

1,923

28.1%

+27.4%

1,776

+8.3%

受託開発

654

10.6%

716

10.5%

+9.5%

803

-10.8%

西日本事業

665

10.8%

830

12.1%

+24.7%

715

+16.1%

システム運用・サービス

1,169

18.9%

1,065

15.6%

-8.8%

1,231

-13.5%

サポートサービス

2,276

36.8%

2,429

35.6%

+6.7%

2,366

+2.7%

調整額

-96

-134

-2.0%

-141

連結売上高

6,181

100.0%

6,832

100.0%

+10.5%

6,750

+1.2%

ソリューションサービス

183

12.1%

354

18.4%

+93.6%

225

+57.6%

受託開発

114

17.4%

126

17.6%

+10.6%

132

-3.8%

西日本事業

56

8.4%

127

15.3%

+127.3%

75

+70.1%

システム運用・サービス

78

6.7%

44

4.1%

-43.2%

70

-36.0%

サポートサービス

99

4.3%

175

7.2%

+77.5%

125

+40.8%

本社経費等

-379

-389

+2.6%

-397

連結営業利益

152

2.5%

440

6.5%

+188.0%

230

+91.6%

* 単位:百万円

 

ソリューションサービス事業
売上高(内部売上高を含む。以下同じ)19億23百万円(前年同期比27.4%増)、営業利益3億54百万円(同93.6%増)。当事業は、人事給与・会計システム「ZeeM」をはじめとするソリューションサービスを提供している。この上期は、働き方改革関連の統合ソリューションや「intra-mart」(NTTデータ イントラマート社のシステムの開発の統合フレームワーク)関連の受託システム開発での大型案件を複数受注する等で売上が増加。技術者の生産性向上やベトナムのオフショア活用による外注費の抑制で、営業利益率が12.1%から18.4%に改善した。

 

受託開発事業
売上高7億16百万円(前年同期比9.5%増)、営業利益1億26百万円(同10.6%増)。当事業は、富士通グループ、アマノ(株)をはじめとする大手企業に対して、システム受託開発サービスを提供しており、この上期は、主要既存顧客を中心に受注・売上が増加した。

 

西日本事業
売上高8億30百万円(前年同期比24.7%増)、営業利益1億27百万円(同127.3%増)。当事業は、名古屋以西の顧客に対して自社製品・サービスの販売及び受託開発サービスを提供しており、この上期はソリューションサービスが増収をけん引した。利益面では、好調な受注による技術者の稼働率向上とベトナムのオフショア活用による外注費抑制効果等で収益性が大幅に改善した。

 

システム運用・サービス事業
売上高10億65白万円(前年同期比8.8%減)、営業利益44白万円(同43.2%減)。当事業は、主に国内大手ポータルサイト事業者に対してシステム開発・保守・運用サービスを提供している。この上期は、前年同期に大型案件があった反動や前期末に契約終了となった案件があった事等で、売上・利益が減少した。

 

サポートサービス事業
売上高24億29百万円(前年同期比6.7%増)、営業利益1億75百万円(同77.5%増)。当事業は、ヘルプデスク、テクニカルサポートを中心としたサポート&サービス及び、社会調査、市場調査等のコールセンターサービスを提供している。前期下期から稼働率が改善傾向にある中、この上期は第25回参院選に関連した調査案件が寄与した。利益面では、原価削減の取組みが成果をあげ、収益性が改善した。

 

 

2-3.財政状態及びキャッシュ・フロー

財政状態

 

19年3月

19年9月

 

19年3月

19年9月

現預金

4,012

4,061

買掛金

671

565

売上債権

2,761

2,365

未払金

304

206

たな卸資産

240

471

未払法人税等

178

174

流動資産

7,192

7,107

前受金

180

363

有形固定資産

303

309

賞与・役員引当金

566

547

無形固定資産

276

265

負債

2,571

2,373

投資その他

660

654

純資産

5,861

5,963

固定資産

1,240

1,229

負債・純資産合計

8,433

8,336

* 単位:百万円

 

第2四半期末の総資産は前期末との比較で97百万円減の83億36百万円。売上債権・仕入債務が減少する一方、好調な受注を反映してたな卸資産、前受金が増加した。自己資本比率71.0%(前期末69.0%)。

 

自己株式の取得
2019年11月18日から2020年1月31日にかけて、140,000株(自己株式を除く発行済株式総数の1.7%)・200,000,000円を上限に、自己株式の取得を行う。
2016年10月に発表した自己株式取得に関する基本方針「財務安定性を維持する上で理想的な自己資本比率を70%と定義し、それを上回る自己資本については自己株式取得の原資に充てる」に沿ったもので、20/3期第2四半期末時点の自己資本比率が71.0%となり、自己株式の取得を行うのに適当な額の原資が確保された。
配当は、1株当たり9円増配の期末34円を予定しており(配当性向41.5%)、自己株式の取得と合わせた総還元性向は60%となる見込み。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

19/3期 上期

20/3期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー(A)

623

339

-284

-45.6%

投資キャッシュ・フロー(B)

-97

-76

+21

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

526

263

-263

-50.0%

財務キャッシュ・フロー

-130

-214

-84

現金及び現金同等物期末残高

3,879

4,061

+182

+4.7%

* 単位:百万円

 

税引前利益4億73百万円(前年同期1億84百万円)、減価償却費85百万円(同1億21百万円)、売上債権の減少3億96百万円(同5億43百万円)、たな卸資産の増加△2億31百万円(同△2億09百万円)、法人税等の支払い△95百万円(同89百万円)等で3億39百万円の営業利益CFを確保した。
投資CFは有形・無形固定資産の取得によるもので、財務CFは配当金支払いによる。

 

3.2020年3月期業績予想

3-1.通期業績予想

 

19/3期 実績

構成比

20/3期 予想

構成比

前期比

売上高

13,526

100.0%

15,000

100.0%

+10.9%

営業利益

670

5.0%

1,000

6.7%

+49.1%

経常利益

706

5.2%

1,030

6.9%

+45.7%

親会社株主帰属利益

664

4.9%

680

4.5%

+2.3%

* 単位:百万円

 

中期経営計画の目標達成を目指す通期予想に変更はなく、前期比10.9%の増収、同49.1%の営業増益
上期の実績が利益面で期初予想を大幅に上回り、通期予想に対する進捗率も、売上高45.5%(通期実績ベースの前年同期45.7%)、営業利益44.0%(同22.7%)、経常利益46.0%(同26.1%)、純利益45.0%(同19.4%)、と前年同期の実績を大きく上回っている。しかし、同社の業績が第4四半期偏重である事、豊富な受注残を有するが、大型案件が増えており、今後の進捗や検収の期ずれ等の可能性を完全に否定できない事等から通期予想を据え置いた。第3四半期末時点における受注状況及び開発中の案件の進捗状況等を見極めたうえで改めて対応する考え。

 

通期セグメント別予想

 

19/3期 実績

構成比・利益率

20/3期 予想

構成比・利益率

前期比

ソリューションサービス

3,510

26.0%

4,061

27.1%

+15.7%

受託開発

1,609

11.9%

1,900

12.7%

+18.1%

西日本事業

1,638

12.1%

1,650

11.0%

+0.7%

システム運用・サービス

2,355

17.4%

2,687

17.9%

+14.1%

サポートサービス

4,638

34.3%

4,800

32.0%

+3.5%

調整額

-226

-1.7%

-98

-0.7%

連結売上高

13,526

100.0%

15,000

100.0%

+10.9%

ソリューションサービス

593

16.9%

770

19.0%

+29.8%

受託開発

332

20.6%

350

18.4%

+5.4%

西日本事業

170

10.4%

190

11.5%

+11.8%

システム運用・サービス

160

6.8%

210

7.8%

+31.3%

サポートサービス

217

4.7%

250

5.2%

+15.2%

調整額

-804

-770

連結営業利益

670

5.0%

1,000

6.7%

+49.3%

* 単位:百万円

 

3-2. Business Strategies(今後の方針)

全社方針
20/3期の全社方針として、「安定と成長のハイブリッド経営」を掲げている。具体的には、経済産業省「DXレポート」で示された「2025年の崖」が意識される中、同社は、従来からの既存システムの課題解決型ビジネスを収益基盤としつつ、価値創造型のデジタルビジネスで成長を目指すハイブリッド経営を進めていく。

 

顧客環境
この上期は、「働き方改革(残業抑制、生産性向上)」と「基幹システムの刷新・バージョンアップ(人材不足、2025年の崖)」という2つの追い風を受けて、ソリューションサービス事業と西日本事業が伸びた。
働き方改革関連法など法令改正(過重労働抑制)による社会意識の変化を受け、ユーザー企業の人事関連システムへのIT投資意欲は高い。同社においては、人事給与・会計システム「ZeeM」、「CREO RPA」、業務効率の向上・コスト削減に寄与するBPM(Business Process Management:ビジネスプロセス管理)「BIZ PLATFORM」と、アマノ社の勤怠管理システム「TimePro-VG」や(株)プラスアルファコンサルティング(東京都港区、代表取締役社長 三室克哉)のタレントマネジメントシステム「Talent Palette」を組み合わせた統合ソリューションの売上が前年同期比約40%増加した。
また、経営環境の変化にわせて基幹システムを刷新する動きが活発化しており、コア機能を安定化させながら使い続けられるようにバージョンアップを図る企業が多い。同社においては、NTTデータ イントラマート社が開発・販売しているWebアプリケーションプラットフォーム「Intra-mart」のバージョンアップに伴う基幹業務システムの更新関連の売上が同約70%増加した。

 

(同社資料より)

 

尚、「Intra-mart」製品群は、NTTデータ イントラマート社が提供するシステム基盤である「Intra-mart」と、そのシステム基盤をベースに動作する様々な業務アプリケーション群から構成されている。(株)クレオは、「Intra-mart」の特約店として、ソフトウェアライセンスの販売から開発までの業務を手掛けている他、主要アプリケーションである、「原価管理システム」、「経費精算」、及び「工数・勤怠管理」の各アプリを提供している。また、内田洋行の「intra-mart」を基盤とするERPシステム「Super Cocktail Inova」のソリューション&セールスパートナーとしてSuper Cocktail Innovaの販売から導入、そしてカスタマイズも手掛けている。

 

上期実績・通期予想
この上期は、ソリューションサービス事業と西日本事業で「働き方改革」と「基幹システムの刷新・バージョンアップ」に関連する開発需要の取込みが進んだ。20/3期は中期経営計画の最終年度に当たり、「実力の証明」の期と位置付けている。売上高150億円、営業利益10億円、営業利益率6.7%(上期6.4%)を目標としており、既に説明した通り順調に進捗している。

 

 

 

課題及び施策
課題は、人財不足や大型プロジェクトのマネジメントであり、アマノ社との協業も更に拡大させる必要がある。

 

人財不足対策としては、製品サービスの導入役務の最適化とグループ会社連携による人財活用に取り組んでおり、ベトナムのオフショア活用も進めている。製品サービスの導入役務の最適化では、標準的な役務のテンプレート化による省人力化が進んでいる。グループ会社連携による人財活用では、(株)クリエイトラボ及びそのグループ会社の業務支援により導入役務パワーの拡大に取り組んでおり、ベトナムのオフショア利用と共に軌道に乗ってきた。
昨今、統合ソリューションの提案営業の成果で大型プロジェクトの受注が増えており、そのマネジメントが課題になっている。赤字プロジェクトの発生を防ぐべくプロジェクトの進捗管理を徹底しており、この上期は各プロジェクトが順調に進捗した。また、大型プロジェクトをマネジメントするリーダー(プロジェクトマネージャー)の育成にも力を入れている。
アマノ社との協業では、アマノ社の勤怠管理システム「TimePro-VG」とクレオの人事給与・会計システム「ZeeM」を連携させた統合ソリューションの営業を両社で行っており、大型プロジェクトの受注につながっている。更なる受注拡大に向け、連携営業を強化すると共に、SE・サポート連携の体制構築・強化に取り組んでいる。

 

(同社資料より)

 

新中期経営計画の考え方
現在、中期目標を策定中である。現在進行中の中期経営計画では新結合によるコア事業拡大と収益性向上で成果をあげた。来21/3期から始まる新中期経営計画(~23/3期)のテーマは、「持続可能性を意識した転換」。24/3期には50周年を迎えるが、100年企業を見据えて長期的な成長基盤の構築に取り組んでいく。2020年5月頃を目途に発表する予定。

 

(同社資料より)

 

4.今後の注目点

この上期は、2017年4月に行ったグループ再編による事業モデル転換の成果がはっきりと表れた。営業面では、自社製品とアマノ社との営業連携や、その他の提携先の製品も組み合わせた統合ソリューションの展開により提案の幅が広がり、これまで取りこぼしていたニーズも取り込めるようになってきた。受注案件も大型化しており、上期は30百万円~1億円超の大型案件を複数受注したと言う。
開発面では、事業部間及びグループ間連携やベトナムのオフショア活用が軌道に乗ってきた。グループレベルでの技術者の稼働率が向上すると共に外注費を抑制できた事で営業利益率が大幅に改善した。この上期のグループ間取引は前年同期比50%超増加したと言う。一方、ベトナムでは提携先3社合計で25名の開発体制が敷かれており、同社はオフショアへの発注を2倍、3倍に拡大させたい考え。
検収の期ずれ等がない限り、中期経営計画の達成に不安は少ない。同計画における20/3期の位置付けは「実力の証明」であり、その通りの決算になりそうだ。来期スタートする新中期経営計画では、サービスへのシフトを進め営業利益率10%を目指す事になる。

 

<参考:CSR活動>

同社グループは人と環境にやさしい会社の実現を目指し、様々な取組みを行っている。

 

ITチャリティ駅伝への協賛
NIPPON ITチャリティ駅伝とは、うつ病やひきこもりの方々の就労を支援するため、IT企業が中心となって参加するチャリティイベント。「『駅伝』というスポーツを通じて、同じ目的に向かって参加者同士が助け合い、励まし合い、そして、未来を担う若者たちを支え合い、つながり合い、今を乗り越えようとする若者を支援したい」という大会趣旨に賛同し、クレオグループもSpecial Zeichen Sponsorsとして協賛している。

 

(同社資料Webサイトより)

 

甲府プロジェクト
「社員やその家族が、楽しく自然に親しむ場をつくろう」
「農業体験を通して人間形成できたら」
「癒しの場として」
「自然に親しむ中で、生物からの恵みや自然の大切さを学べたら・・」

 

そんな複合的な目的で、クレオの子会社であるクリエイトラボで立ち上げたプロジェクトである。2012年4月に「信玄プロジェクト(休耕地活用プロジェクト)」として始まり、現在では「甲府プロジェクト」として活動を続けている。改修した古民家と畑を中心に地域の方との交流イベントや、社員の家族を交えての収穫祭、社内研修等にも利用され、交流の輪が広がっている。

 

(同社資料Webサイトより)

 

健康経営・ワークライフバランスへの取り組み
人材は「人財」、社員はクレオの最重要資産であるという考えから、心身共に健康で楽しんで仕事に取り組めるよう、様々な取り組みを行っている。例えば、グループ全社員に万歩計を配布して、個社ごとに平均歩数を競う「ウォークレース」。また、残業削減から生まれた時間で社員の人生を豊かにし、その視点の広がりや創造性の高まりから、新しい価値創造へつなげてほしいという目的から、グループ全体での残業削減コンテスト等も開催している。

 

地方の人財活用
2016年2月に、(株)ココトの唐津事業所を開設した。事業所の開設により、雇用の確保及び地域産業の発展に協力し、地域活性化に貢献する事を目指に地方での人財活用を行っている。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態 監査役会設置会社
取締役 6名、うち社外3名
監査役 3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2019年06月28日)
基本的な考え方
当社は適正なコーポレート・ガバナンス体制を構築し、不断の向上に努めることが経営の透明性・公正性を高め、企業価値の向上に寄与するものと考えております。特にコーポレートガバナンス・コードを遵守することが当社のより良いガバナンスの確立に寄与するとの基本的な考え方に基づき、基本5原則以外の原則、補充原則についても順次自主的に実施していくことを方針とし、既に実施しているものについてその内容を本報告書に記載しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由>
当社は、JASDAQ上場会社として、コーポレートガバナンス・コードの基本原則のすべてを実施しております。基本原則以外の原則、補充原則のうち、開示が求められ、当社が既に対応を行っている原則については、下記の「コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示」にその概要を記載しております。

 

<開示している主な原則>
【原則1-4 政策保有株式】
当社は現在政策保有株式に該当する株式の保有を行っておりません。

 

【原則3-1 情報開示の充実】
本原則に定められた開示事項のうち、「(ⅰ)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画」について以下の通り開示を行っております。

 

企業理念・行動指針
https://www.creo.co.jp/corporate/concept/
中期経営計画(2017年度~2019年度)
https://www.creo.co.jp/ir/plan/

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は株主との建設的な対話を通じて、株主との協働により株主価値の向上を図ることを目指します。
これを実現するため、以下の体制を構築し、各施策を実施しております。

 

1) 株主との対話は主にIR部門が担当するほか、決算説明会、個人投資家向け説明会、スモールミーティング等に代表取締役社長をはじめとする役員が出席、説明を行い、質疑応答にも対応することなどにより、株主と経営陣との直接対話の場を設けております。
2) 当社のIR部門は、株主との対話において得られた意見を逐次経営陣にフィードバックし、中長期の経営方針の検討に活かしております。

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