ポールトゥウィン・ピットクルーホールディングス(3657 東証マザーズ)
ゲームソフト等のデバッグ工程や、インターネットのウェブサイトへの不正行為検知業務をわが国で初めてアウトソーシング事業化。グローバル展開等で成長持続を狙う。
業種:情報・通信業
アナリスト:高坂 茂樹
◆ゲームソフトのデバッグやウェブサイトへの不正行為検知業務を受託
・コンピュータゲームソフト開発の後工程で行われるデバッグ作業等を受託するポールトゥウィン(1994 年設立)、インターネットのウェブサイトへの不正侵入や有害な投稿等の検出サービス(ネット看視)を提供するピットクルー(同2000 年)を中心とする企業グループの統括会社。
・両事業ともに国内では同社がトップシェアを有すると推察される。成長戦略は、両事業共に需要家であるSNS アプリベンダーとの取引拡大、ノウハウのシステム化による業務効率化、事業の海外展開などである。
・デバッグ、ネット看視の両事業は、いずれも専業会社として同社がわが国で初めて事業化した。当該事業では、経験を積んだコア人材と実作業に従事する質の高いスタッフ、ノウハウの蓄積、セキュリティ対策、海外展開への対応力等が必要であり、先行した同社は競争優位にある。
・同社の弱みは、統括会社の人材の厚みに欠けること、システムに頼らず人手を掛ける事業であるため、収益性が向上しにくいこと等。主なリスク要因は、人材の流出、スタッフ拡充や海外拠点へのノウハウ移植が難航すること等であろう。
◆ 業績動向~ネット看視・サポート業務を中心に成長続こう
・2013/1 期は、前期に続きパチンコ・スロット(特に後者)、ソーシャルゲーム等のデバッグ業務の受注が高伸長へ。ネット看視事業も新規顧客の獲得が進む見込み。今期売上高は99 億円(前期比18%増、会社予想は 9,609 百万円)、営業利益17 億円(同33%増、1,602 百万円)、当期純利益970 百万円(同49%増、921 百万円)と予想する。
・14/1 期は、デバッグ・検証事業の増収率こそ鈍化するものの、海外事業の貢献、ネット看視事業の売上拡大及びシステム活用による収益性の改善等により、2 桁の増益率を維持すると想定。売上高110 億円(前期比 11%増)、営業利益20 億円(同18%増)と予想する。
◆ 保守的な会社予想でも株価に割安感あり、今後水準訂正ありと判断
・収益性の低いネット看視事業の併営で株価バリュエーションはディスカウントされている模様。しかし業界トップ企業として競争優位にあり、現在の株価には割安感があると判断。
・妥当な予想PER レンジは13~16 倍、担当アナリストの収益予想に基づく中期的な適正株価は4,000~5,700 円と判断。割引率10%で現在価値に引きなおすと3,300~4,200 円となる。