イーブックイニシアティブジャパン (3658 東証一部)
コミックの品揃えに強みを持つ電子書籍配信事業のパイオニア
競争激化から販売促進費の大幅増加が見込まれ利益予想を見直し
業種:情報・通信業
アナリスト:松尾 十作
◆ 独立系の電子書籍配信専業大手
・イーブックイニシアティブジャパン(以下、同社)は、電子書籍配信事業 のパイオニアで、コミックの品揃えは業界最大規模を誇る。小説などのラ インアップを拡充して総合電子書籍No.1 を目指している。
・スマートフォンやタブレット端末と言った電子書籍を閲覧できる端末の普 及も追い風となり、電子書籍業界は本格的な成長期に入っている。一方 で大手企業の新規参入により、競争は激化している。
◆ 14 年1 月期は販促費増が顕著で営業利益横ばい
・14/1 期決算は、売上高4,155 百万円(前期比36.5%増)、営業利益450 百万円(同1.2%増)であった。販売促進活動を積極的に展開したため大 幅増収となったものの、当初想定以上の新規購入者獲得コスト増加によ る販促費増大等から利益は横ばいであった。
◆ 15 年1 月期は粗利益率の低下と販促費増で営業大幅減益へ
・15/1 期について同社は、売上高5,007 百万円(前期比20.5%増)、営業 利益250 百万円(同44.4%減)を見込んでいる。大幅減益となるのは、版 権使用料の増大、競争激化による値下げの実施、販売促進費の積み増 しを想定しているためである。
・証券リサーチセンターの業績予想は、同社予想とほぼ同じ水準とした。 KPI として注目している15/1 期末累積登録会員数は、前期末比140 千 人増の1,021 千人を想定している。
◆ 投資に際しての留意点
・米国で定額書籍読み放題のサービスが始まった。日本国内では既に音 楽や動画の分野で定額配信モデルが普及しているが、定額書籍読み放 題のサービスも普及する可能性が高まっている。将来に亘って同社が現 在のビジネスモデルを維持できるのかという点に留意すべきであろう。