松風(7979)「企業レポート」:海外市場開拓の着実な進捗

2013/12/26

株式会社ウォールデンリサーチジャパン
室谷吉行

自社開発の歯科用材料の製造・販売を最大の収益源とする松風では、海外市場開拓が着実に進捗している。同社が自社製品に深く関与している人工歯類、研削材類、化工品類、セメント類他の海外売上高は、前年同期に対して30%近く拡大しており、ここでの海外売上高比率は40%近くにまで上昇している。為替が円安に振れていることが大きく影響していることは否めないものの、現地通貨ベースで7%近くの増収と、着実な売上高の拡大が達成されている。市場の成熟化を受けて、自社製品の国内売上高が伸び悩んでいることに鑑みれば、海外市場開拓の着実な進捗が同社の成長ドライバーとなっていると考えられよう。同社は、今後に向けても開拓余地が大きい海外市場の開拓を持続的に進めることを通して、中長期的な利益成長を達成することを計画している。数値目標としては、2022年3月期に対して、売上高50,000百万円(国内17,000百万円、海外33,000百万円、海外売上高比率66.0%)、営業利益7,500百万円、営業利益率15.0%を達成することが挙げられている。

2014年3月期第2四半期累計期間は、売上高8,639百万円(前年同期比11.2%増)、営業利益403百万円(144.1%増)、営業利益率4.7%(2.5%ポイント上昇)での着地となった。増収効果及び為替変動の影響もあり、前年同期に対して損益が大きく改善している。主力のデンタル関連事業に関しては、売上高7,708百万円(11.8%増)、営業利益372百万円(90.8%増)、営業利益率4.8%(2.0%ポイント上昇)となり、同社の営業利益(調整前)の91.9%を占めた。また、同事業セグメントにおいては、国内売上高5,511百万円(6.4%増)、海外売上高2,196百万円(27.9%増)、海外売上高比率28.5%である。また、為替変動の影響を除いた現地通貨ベースでの海外売上高は、前年同期に対して5.6%増加した。一方、国内売上高の拡大に大きく寄与したのは、実質的に国内のみで展開されている機械器具類その他での大幅増収である。ここでの同社は、基本的に仕入れ販売に関与しており、自社製品との比較では相対的に売上総利益率が低く留まっている。ただし、円安効果もあり、同社の売上総利益率は55.4%(0.3%ポイント上昇)と、漸増傾向を示した。

2014年3月期に対する会社予想では、売上高17,694百万円(前年比10.4%増)、営業利益725百万円(0.0%減)、営業利益率4.1%(0.4%ポイント低下)が見込まれている。第2四半期累計期間から下半期に向けて、同社の損益は悪化することになるが、ここで大きな影響を及ぼすのは、先行投資の増加である。2013年3月期より実質的に先行投資を開始した同社においては、ここからの費用負担が未だ大きい状態にあると考えられよう。ただし、今迄の先行投資の成果として、海外市場の開拓が着実に進捗し始めていることに鑑みれば、2015年3月期及びそれ以降に向けての同社の損益は、徐々に向上傾向を示していくと考えられる。

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