株式会社メドレックス(4586 Growth)
「選択と集中」により谷を飛び越える

2022/09/14

ベーシック ・ レポート 改訂版
フェアリサーチ株式会社
鈴木 壯


2022年上期は開発が停滞
メドレックスは、2022年8月の会社説明会で、各パイプラインについて進捗状況を説明した。開発の失敗はない一方、大きな進捗は今後の予定のままである。チザニジンン・テープ剤MRX-4TZT(CPN-101)は、臨床第Ⅱ相試験(Ph2)の準備中のままであり、承認取得を目指しているリドカイン・テープ剤MRX-5LBT(Lydolyte)も、まだ追加試験の内容が確定していない。フェンタニル・テープ剤MRX-9FLTやメマンチン貼付剤MRX-7MLLでも、次の段階の試験は、今後スタートする予定である。開発資金が限定される中、今後は、複数の開発を同時に並行して開発するというよりも、順次、早期に収益化する開発品を選択し集中する方針へ転換するものと考えられる。収益化した開発品から一定の収益がもたらされるなかで、次の開発へ移行していく姿を予想する。


「選択と集中」
「選択と集中」作戦のトップ・プライオリティにあるものは、承認・上市に最も近づいているリドカイン・テープ剤(Lydolyte)であることは論を待たない。追加試験の費用は、FDAの回答次第で変動するが、現時点でメドレックスが提案している試験案では、2億円弱となり、既に2022年の予算に織り込み済みである。セカンド・プライオリティは、ここまでの開発状況と市場性から考えてチザニジン・テープ剤である。既に、チザニジン・テープ剤の開発を推進するために、第24回新株予約権を発行し、資金を調達することを決定している。次のプライオリティは、フェンタニル・テープ剤もしくはメマンチン・テープ剤である。市場性から考えると、NTCS®技術を用いたメマンチン貼付剤の方の期待が高いが、開発リスクも考慮すると、ITLS®技術のフェンタニル・テープ剤の方が選好されよう。フェンタニル・テープ剤のPivotal BE試験に今期2億円程度の資金が投下される見込みであるが、これも予算に織り込み済みである。


谷を飛び越えた後に大型開発品2つ
集中と選択の結果、向こう1年以内には、リドカイン・テープ剤(Lydolyte)の承認・上市の目処が確実なものとなり、DWTI社からのマイルストーン収入1億円のほか、販売権の導出も浮上し、収入の安定化も見えてくる。すると、フェンタニル・テープ剤に関する誤用防止機能等の検証試験を実行する資金が確保され、検証試験が成功した段階で、フェンタニル・テープ剤の導出も可能となろう。チザニジン・テープ剤のPh2開発は新規調達資金で遂行され、Ph2成功とともに再導出され、導出先でPh3の開発が行われる。再導出も、早ければ2024年頃と想定される。弊社では、メドレックスが、「選択と集中」によって、ベンチャーが直面する死の谷を乗り越え、導出が連続して浮上するステージに入り、そのステージ下で、2つの次期大型開発品(ジクロフェナック・リドカイン・テープ剤MRX-6LDTとマイクロニードル)の開発が進捗、さらに企業価値が拡大していくことを期待している。

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