日本社宅サービス (8945 東証マザーズ)
社宅アウトソーシング市場で業界トップの実力。大型投資で事業基盤強化へ
業種:不動産業
アナリスト:馬目 俊一郎
◆ 業界シェアトップの社宅管理事務代行事業が収益源
・同社は企業の社宅管理やマンション管理など、住宅に関するアウトソーシング受託が事業の柱。なかでも社宅の受託件数シェアは、同社推定で業界トップの23.8%を誇る。
・事業セグメントは「社宅管理事務代行事業」と「施設総合管理事業」の2 事業。社宅管理事務代行事業は、社宅や寮などの事務管理全般を受託するサービス。施設総合管理事業はマンション及びビルの管理全般を受託するサービスで、2006 年に買収した100%子会社(ダイワード社)が手掛ける。その他、12 年6 月期はホームセキュリティに関するセンサー機器製造やシステム開発のスリーS 社株式の25%を取得。前述した2 事業に加え、13 年1 月からは防犯・ホームセキュリティ分野にも進出する計画。
◆ 12 年6 月期は営業減益ながら会社計画を若干上回る着地
・2012 年6 月期決算は売上高が前期比3.8%増の61.4 億円、営業利益は同7.2%減の5.3 億円、当期純利益は特別損失と税負担の減少で同 8.0%増の3.0 億円。これは前期比で営業減益となるも、会社計画(売上高61.3 億円、営業利益4.7 億円)を若干上回る水準を確保。売上面では社宅受託件数と修繕工事案件の増加が寄与。一方、利益面では成長に向けた人員拡充が収益を圧迫。
◆ 大型システム投資で中期経営計画を見直し
・同社は社宅アウトソーシング市場の停滞と、将来の成長に向けた大型投資を背景に、中期経営計画をトーンダウンさせた。2013 年6 月期は投資負担増で営業減益が避けられないものの、投資負担が軽くなる15 年6 月期の営業利益は過去最高益を更新する見通し。
◆ 長期的な適正株価水準は660 円~900 円を想定
・同社株式は出来高に乏しく流動性リスクを抱えていることから、新興市場の平均的なバリュエーションをディスカウントする必要があろう。したがって、同社の適正バリュエーションをPBR1.0 倍、PER8.0 倍と仮定すると、当センターの16 年6 月期予想PBR658.3 円並びに予想PER112.4 円を前提にすると、同社の長期的な適正株価水準は660 円~900 円のレンジが想定される。