ECB理事会について~今後の金融政策とユーロ相場の展望

2018/12/14 <>
  1. 政策金利は据え置きです。APPは、年内終了と利上げ再開後も当分は残高維持の方針が示されました。
  2. 景気、物価見通しは小幅な下方修正が目立ちました。外需の減速、経済外的リスクが反映されました。
  3. 19年夏まで低金利維持の方針も、実際はより慎重化し、利上げは19年末以降を予想しています

政策運営はより慎重化

ECB(欧州中央銀行)は13日、定例理事会を開きました。政策金利は据え置き、資産購入プログラム(APP)は改めて年内終了が示されました。低金利は少なくとも19年夏まで維持の方針、APPは終了後も残高を維持し、現時点では利上げを再開した後も当分はそれを続けるとしています。

ECBスタッフの景気・物価見通しが発表されました。前回(9月)からの変化を見ると、実質GDP成長率は、18、19年が下方修正、20年は据え置き、21年は減速方向が示されました。米国による自国優先の通商政策の影響のほか、ドル金利上昇で新興国経済が若干減速気味で、ユーロ圏からの輸出が減速しました。また、地政学的リスクや、ユーロ圏内の政治リスク増大で、企業や消費者の景況感が冷え込みました。これらが見通しに反映されました。また、HICPは、総合は18年が上方修正された一方、19年は下方修正、コアは18~20年共に上方修正されました。21年は総合、コア共に上昇が示されました。

全体的に、長期的な見方に大きな変化はないものの、来年の見通しは慎重化したと見られます。ECBは19年夏以降は、利上げを含む金融政策正常化を指向すると期待していますが。利上げ再開時期については、これまでの19年後半以降から19年末以降へ後ずれしたと考えます。

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まずは政治リスクの軽減が待たれる

ユーロ相場は、対米金利差の拡大が続いていることや、欧州の様々な政治リスクが重しとなり、対ドルを中心に年初から軟調な展開が続いています。当面は重苦しい展開を余儀なくされそうです。

しかし、米国が利上げ打ち止め、ユーロ圏が金融政策正常化という、金融政策の位置関係の方向は変わっていないと見ています。夏場以降、対米金利差縮小への期待から、対ドル中心に底堅さが増し、1ユーロ1.2ドル台を回復する局面もあると予想しています。まずはユーロ上昇を抑えている政治リスクの軽減が待たれますが、5月のEU(欧州連合)議会選挙後は徐々に軽減されると期待しています。

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