FM 今週のポイント( 5月14日)
* 11 日の米株式市場でダウ工業株30種平均が7営業日続伸となり、昨年10月末から11月8日(7営業日)の期間以来の連続上昇を記録しました(週間では3週ぶりに上昇し、1週間の上昇幅は568ドルと今年 3月下旬の569 ドル以来、6週ぶりの大きさ)。トランプ政権が8日にイラン核合意からの離脱を表明し、中東を中心に地政学的リスクの拡大を懸念した売りに不安定となる場面もありましたが 、原油高(一時、1バレル71.89ドル:3年5ヶ月ぶり高値)がむしろエネルギー株の上昇に作用したほか、好業績株( S&P500 社のうち 1 – 3 月期の決算発表を終えた454社中358社の EPSがアナリスト予想を上回り、ポジティブ・サプライズ比率は78.9%と昨年10 -12月期の73.9%を大幅に上回っている)への買いも継続しました。インフレ懸念の拡大から、米長期金利の上昇(一時、3.007 %)が懸念されましたが、CPI 統計の下振れ(4月CPI コア: 0.1 %)により沈静化しています。 VIXは12.65 、 MOVE(米 国債券ボラティリティインデックス)は 47.05まで低下して2月のVIXショック以前に戻っています。米国株式市場はまさに、一時的な反動修正から立ち直り、ゴルディロックス相場に回帰するものと思われます。
*決算発表が続いていますが、日本経済新聞社の集計によると、5月10日までに2018年3月期決算を発表した企業(対象企業の49.2 %が発表)を累計すると、2019年3月期予想の経常利益は2.4%増と事前に警戒された減益予想とはなっていません(ほぼ想定通り)。また、日本経済新聞社のまとめによると、2019年3月期の業績予想の前提となる為替レートを開示した188社の平均想定レートは1ドル=106円強となっています⇒ 1ドル=110円前後のレートが続けば、2019年3月期の業績予想は今後上方修正される期待が強まるものと思われます。ほぼガイダンスリスクが払拭(全体相場を大きく毀損させる要因にはならない)されている状況で、外国人投資家の売買動向が気になります。5月第1週(5/1 ~2 の2営業日のみ)の投資部門別株式売買動向によると、海外投資家は現物・先物合計で5週連続の買い越しになりました。しかし、海外投資家は1 – 3月に現物・先 物合計で約8兆6,600億円売り越しています⇒ 4月第1週~5月第1週で約1兆8,800 億円買い戻したに過ぎません。米国株式市場のゴルディロックス回帰、国内企業業績への過度な悲観論後退が外国人投資家のショートカバーを加速させる可能性があり要注意です。
*先週末の日経平均株価は2月初旬以来の22,700円台に回帰しました。当面は、外部環境が安定する中で、23,000円をうかがう展開が想定されます。物色動向は依然としてグロース株優勢がメインシナリオですが、外国人投資家のショートカバーが加速する場面では、割安に放置されているバリュー株、シクリカル株がアウトパフォームする可能性があり、ポートフォリオデザインには工夫が必要です。また、ゴルディロックス相場=過剰流動性相場であり、一段とボラタイルな状況を想定する必要があります(2月のVIXショックのような現象が頻発する可能性がある)。年度の序盤であり、リスクを抑えたポジションテイクに徹したいと思います。
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