株価はEPSとPERの掛け合わせ
今週の日経平均は、節目の16,000円を挟んだ動きが続いています。2月24日(水)取引終了時点の日経平均採用銘柄の予想PER(株価収益倍率)は13.77倍でした。一般的に、株価はこのPERとEPS(一株あたり利益)の掛け合わせで決まるとされています。足元の日経平均採用銘柄のEPSは1,150円ぐらいですので、1,150円×13.77倍で15,835円となります。PERが14倍まで上昇すれば、1,150円×14倍で16,100円になりますので、ほぼ最近の値動きの範囲と一致します。
日経平均は昨年6月26日の取引時間につけた高値(20,952円)が直近のピークですが、この当時のPERは19倍を超えていましたので、約8カ月の間にPERが大きく低下したことになります。また、ここからEPSを逆算すると、20,952円÷19倍で1,102円でしたから、足元のEPSは当時から4%ちょっと増えたことになります。
繰り返しになりますが、「株価=EPS×PER」というのがセオリーです。EPSは企業の稼ぐ力、PERはそれに対する投資家の期待や評価というイメージです。EPSもしくはPERのどちらかが上昇すれば株価は上昇しますし、両者ともに上昇すればさらに株価も上昇していくことになります。成長企業株のPERは高い傾向がありますが、業績の伸びに加え、それに対する投資家の期待値の高さが反映しているためと言えます。
昨年6月につけた日経平均の高値は、「足元の企業業績は好調で、円安傾向も日銀の金融緩和や米国の利上げでさらに加速していくだろう」という観測のもと、さらなる企業業績の上振れ期待でPERが上昇していった結果と考えられます。確かにPER19倍は高めですが、仮に企業業績が15%増益となれば、EPSは1,102円×115%で1,267円となり、当時の日経平均20,952円÷1,267円でPERは16.5倍まで低下し、21,000円近くまで上昇した日経平均の割高感はある程度緩和されて株価が正当化されるというリクツです。
ところが、その後に発生したチャイナショックや原油安、為替の円高傾向など、現在の外部環境は昨年6月と比べて悪化しました。足元のPERの低下はそれに伴う企業業績への楽観と、投資家の期待の後退の表れと言えます。
また、PERの低さで株価の割安度合いを探るとされていますが、その要因として、(1)相場全体のムード悪化に引きずられる、(2)業績悪化が懸念されて株価が下落している、(3)業績は伸びているが、投資家からあまり注目されずに放置されている、ことなどが挙げられます。(3)による低PERは迷わず買いですが、(1)と(2)については一時的なものなのかどうかなどを見極める必要があるため、すぐに「割安だから買い」とはなりません。そのため、足元の日経平均に関してはPER14倍台でひとまず落ち着き、方向感を探っているという見方が自然なのかもしれません。
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