FM 今週のポイント(11月30日)

2015/11/30

*日経平均株価は2万円大台を前に利益確定売りに押されています。前週末は感謝祭で米国市場が休場で動き難かったこともありますが、現場の世界の景気状況を考えると、これ以上上値を追うことを躊躇する投資家も多いと思われます。世界景況感の下振れを示す指標は枚挙に暇がありません。例えば、バルチック・ドライ・インデックス(石炭、鉄鉱石、穀物等をバラ積みする不定期船運賃指数)、CRB インデックス(穀物等のコモディティ指数)はリーマンショック後の安値を大きく下回っています→現場の世界景況感が一部の指数から見ると、あのリーマンショク時よりも悪いことを示しています。おそらくは中国等の新興国の需要急減が背景になっていると思われます。ヨーロッパも予断を許しません。パリの同時テロに続き、トルコによるロシア軍機撃墜で両国間の対立が地政学的リスクを大きく高めています(欧米とロシアはそもそもシリアに対するスタンスが違う。同時テロにより欧米とロシアの歩み寄りが考えられたが、NATO 加盟国であり中東の要であるトルコとの対立はIS の勢力を助長し新たなテロを誘発するリスクが高まる)。ヨーロッパは難民問題に続き、景況感の足枷を増やした格好です。ECB は12 月3日の理事会で中銀預金金利を0.1%下げてマイナス0.3%にするものと思われます。また緩和効果拡大を狙って毎月600 億ドル実施している資産購入の期限を、現在の16 年9月までの予定から1年程度延長することも考えられます。加えて日本は2四半期連続のGDP マイナス成長で、形の上ではリセッションです(在庫減が主因であり、貿易統計から見ても循環的には上向き→日銀の強気姿勢にブレはなく12 月17 日、18 日の金融政策決定会合でも追加金融緩和は無いと想定される)。

*そのような中で世界景況感を辛うじて支えているのは米国です。米国経済の強さの背景は個人消費です。ガソリン価格の下落は年間14 兆円個人消費を押し上げる計算になります。また株高、不動産高により家計資産はこの2年間で1800 兆円増加しています→米国において住宅、自動車の需要が旺盛な背景となっています。FRB は12 月15 日、16 日のFOMC で利上げを決定する見込みです(12 月4日に公表される11 月の雇用統計で非農業部門雇用者数の増加が事前の市場予想では20 万人前後→市場では15 万人程度の増加でもFRB の利上げは正当化されるとの見方が広がっている)。現状の米国個人消費の強さは利上げ前の駆け込み需要との見方もあり、実際に利上げが行われた場合の実体経済への影響はマーケットの楽観的思惑を覆す可能性もあります。また前述の通り下向きの世界景況感を一段と圧迫することは間違いなく、再度、中国リスクが高まることも考えられます。

*当面はFOMC 待ちの相場が続くものと思われます。今週は日経平均株価2万円を再挑戦すると思われますが、利益確定の壁が大きく立ちはだかります。トレンドが出るのはFOMC で利上げが実施された後、米国実体経済への影響、世界景況感への影響を吟味してからだと思われます(その意味では例えクリスマスラリーがあったとしても真のトレンドかどうかは判らない)。トレンド発生までは好業績中小型株の循環物色がアノマリー的にも有効です。

 

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