円安をめぐる「ギャップ」

2014/10/09

今週の国内株式市場ですが、先週末に公表された米雇用統計の結果による米株高と円安の流れを受けて日経平均は一段高でスタートを切ったものの、水曜日には米株安と円高の流れを受けて一段安、そして翌木曜日は再び反発スタートとなるなど、値動きの大きい米国市場に振り回されているような印象となっています。

別の見方をすれば、国内発の材料に乏しいとも言えます。とはいえ、今週は日銀の金融政策決定会合が開催されるなど、注目のイベントがなかったわけではありません。黒田総裁が国会の参院予算委員会に出席するため、会合の途中で異例の中断となったことも一部で憶測を呼びましたが、声明文に「生産面を中心に弱めの動きが見られている」との文言が追加された以外は、会合そのものに大きな動きや変化はありませんでした。

また、会合後に開かれた黒田総裁の記者会見では円安に関する質問が多く見られました。これまでにも何度か触れた通り、円安の国内景気へのデメリットが意識される動きがある中で、これまで強気の景気認識・円安容認だった黒田総裁の見解に変化があるのかという点が注目されましたが、黒田総裁の口からは特に弱気に傾いた発言はありませんでした。

とはいえ、会合が開催中の国内株市場の取引時間中は円安の景気に対する評価を材料に動いていました。特に火曜日(7日)は、会合を中断して国会に赴いた黒田総裁から「一般論として円安はプラス」との認識を示すと、日経平均が下げ幅を縮小し、前日比でプラスを回復する場面もありましたが、その後、安倍首相が同じ場で「円安は家計や中小企業の負担になる」と発言したのをきっかけに、日経平均は再び下げに転じ、結局、前日比で100円を超える下落で終了しました。

足元では、「円安をどう評価するか?」という点において、政府、日銀、市場の間で認識のギャップが生じているような印象で、追加の金融緩和期待は残っているものの、買い材料として織り込みづらくなっていると思われます。また、金融緩和期待以外にも、円安に対する評価のギャップによって、これまで政府と日銀が一体となって進めてきたイメージのアベノミクスの「足並みが揃わなくなっているのでは?」という見方にもつながって買いにくくなっている面もありそうです。

一方で、国内景気への円安デメリットが意識されながらも、「儲かる輸出企業銘柄は買える」視点は健在です。先週の日銀短観で公表された大企業製造業の想定為替レートは1ドル=100.73円でしたので、現在の為替水準はかなりの円安となっているため、実際に業績を大きく伸ばす企業も出てくるものと思われますが、今週は小売など内需関連企業の決算発表が多く、業績を先取りする動きはもう少し先になりそうです。

なお、今週は米国で前回(9月開催分)のFOMC議事録が公表されましたが、その中にドル高の影響(物価や企業業績など)を警戒する内容がありました。最近の為替レートの動向に対して、日本だけでなく、米国でも議論が行われているようです。

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