米雇用統計後の相場の動き

2014/01/16

連休明けとなった今週の日経平均は慌しい展開を辿っています。連休中に米株安と円高が進行したため、週初は前週末比で500円近く下落し、節目の15,500円を割り込む大幅反落となりましたが、その霍乱要因となったのは米雇用統計の結果です。とりわけ、NFP(非農業部門雇用者数)が前月比で7.4万人増と、市場予想を大きく下回りました。ただし、その後は下げ幅の戻りを試す動きとなっています。

今回の米雇用統計の結果による相場への影響について、市況コメント等で色々指摘されていますが、あまり深く考え過ぎない方が良いかもしれません。元々、今回の雇用統計については、「強い結果だったら量的緩和縮小のペースはどうなる?」といった具合に、強気前提のムードだったことは確かです。ところが、いざ蓋を開けてみたら予想外の結果だったため、マーケットが消化不良を起こしたと見る方が自然のような気がします。

実際に、米雇用統計後のNYダウ終値の動きを見ると、発表当日はほぼ横ばいで結果を織り込みきれず、翌日は不安が高まって大幅下落、そして冷静になったところで、2日続けての大幅上昇となっています。結果的にNYダウは雇用統計発表前の水準を上回っているほか、S&P500も過去最高値を更新するなど、米雇用統計インパクトは「往って来い」の格好です。

同時期の日経平均は米株指数以上の値動きとなりましたが、TOPIXや新興株指数に比べても、日経平均の値動きの大きさが目立っており、米雇用統計をきっかけに、NT倍率の修正に伴うポジション整理が進んだと思われます。

米雇用統計のNFPの下振れは、あくまでも寒波の影響などによる一時的なものとの見方や、その後に発表された米経済指標が良好なものが続いていることもあり、今回の雇用統計でマクロ環境が大きく変化したという見方は少なく、依然として日米ともに株の先高感は持続していると言えます。ただ、今回の雇用統計で予想外の事が起こり得ることを再認識させられたこともあり、これまであまり意識されなかった悪材料に敏感に反応したり、今後の上値追いには慎重になっていくことが考えられます。

また、米国の景況感と金融政策のバランスを市場がどう織り込んでいくのかについてはまだ方向性が定まっていない可能性があります。具体的には、今回の失業率が6.7%まで低下し、フォワード・ガイダンスの基準(6.5%)が迫る中、ガイダンスの変更があるのか、また、どのくらいの景況感の改善で量的金融緩和縮小のペースが加速するのか、量的緩和縮小による新興国への影響があるのか、そもそも、景況感の改善と量的緩和の縮小、長期金利の抑制の「三つ巴の同時進行」が可能なのかといった点です。

そのため、バーナンキ議長による最後のFOMCが手掛かりになりそうなのですが、1月28日~1月29日に行われますので、約2週間後となります。それまでは、日米の企業決算をにらんだ個別物色の相場展開が想定され、相場全体の方向性については次の展開を待つというのがメインシナリオになると思われます。

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