企業の声が語る景気の実態

2025/10/24

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◆定性情報の活用で景気の現状を複合的に分析

10月1日以降、米国では政府の一部閉鎖により、経済統計の公表が中止されています。FOMC(米連邦公開市場委員会)が近づく中、政策決定に関わるエコノミストなどの関係者は、公表されない経済指標を補完すべく、各種の情報収集に追われているものと思われます。

景気の情勢判断においては、金融・経済に関する幅広い情報を複合的に分析することが重要です。国内外の経済指標をはじめとする定量的な情報だけでなく、家計・企業の「生の声」、すなわち定性的な情報も重要な材料となります。定量情報と定性情報を合わせて分析することで、数値だけでは読み取れない実態の把握が可能となり、金融・経済環境の変化をいち早く察知することにもつながります。そのため、各国の中央銀行や政府機関などは、経済統計の作成、分析に加えて聞き取り調査なども行っており、その結果が政策決定にも活かされています。

こうした定性情報を取りまとめたレポートの一つに、日銀の「さくらレポート」(地域経済報告―さくらレポート―)があります。これは、日銀の支店が行っている、各地域の企業や経済団体への聞き取り調査の結果がまとめられたものです。巻末には、短観(全国企業短期経済観測調査)を地域ごとに集計した結果(「地域別業況判断DI」)も掲載されています(下図)。聞き取り調査から得られた定性情報と、短観で定量的に示される景況感を合わせてみることで、各地域の金融・経済の実態や、政策効果の各地域への浸透度合いなどの把握も可能となります。

◆主要企業から聞かれる前向きな声、慎重な声

6日に公表された2025年10月の「さくらレポート」では、「一部に弱めの動きもみられる」としつつ、すべての地域で、景気は「緩やかに回復」、「持ち直し」、「緩やかに持ち直し」と、総じて前向きな景気判断となりました。その中で個別のコメントをみると、AI(人工知能)関連の生産や設備投資について前向きな見方が示されているほか、関税によるコスト増加を納入先の米国企業に求める動きがあることがうかがわれます。一方で、インバウンドが好調を維持する中、物価高が地元客の消費を下押ししているとの指摘もみられます(下表)。

金融・経済環境の変化をいち早く察知するためには、企業の生の声に耳を傾けることも重要です。

(シニアエコノミスト 藤本 啓)

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