来週の金融市場見通し(2025年10月27日~2025年10月31日)
■来週の見通し
高市早苗・自民党総裁が10月21日、首相に指名され新政権が発足しました。高市氏は「責任ある積極財政」を掲げていますが、今後の政権運営などを見極めたいとの声も聞かれます。来週の日銀金融政策決定会合では利上げは見送られるとみられますが、植田総裁の発言などで利上げ時期を探ることになりそうです。他方、米連邦公開市場委員会(FOMC)では追加利下げが決定されることが見込まれます。さらなる利下げについて、何らかの示唆があるかが注目されます。米中首脳会談も要注目です。
◆株価 :不安定な動きか
今週の日本株は、堅調な動きとなりました。21日に高市政権が発足し、政権が掲げる積極的な財政政策が経済を刺激するとの期待から同日には一時日経平均株価が5万円に迫る場面がありました。ただ、その後は利益確定売りが優勢となり、上げ幅を縮小しました。
来週は、不安定な動きが予想されます。来週は日米の金融政策に関する会合が予定されているほか、日米の企業の決算発表も本格化します。また、日米首脳会談や米中首脳会談も予定されています。これらのイベントを受けて、不安定な動きが続く可能性があります。高値警戒感が強まっていることから、一時的に調整局面を迎える場面もありそうです。ただし、海外投資家の資金流入が3週間連続で続くなど、日本株の需給は良好であり、株価が下落してもその幅は限定的になるとみられます。
◆長期金利 :日米金融会合を確認
今週の長期金利は、レンジでの動きが続きました。日銀の追加利上げへの思わくが強まり、長期金利は一旦上昇しました。ただ、積極財政を掲げる高市氏が首相に就任しましたが、自民党と連立を組む日本維新の会が財政規律を重んじるとの見方などから、低下に転じました。その後、原油価格が大きく上昇したことから、米金利が上昇し、国内の長期金利も低下幅を縮小しました。
来週は、日米の金融会合を確認しながらの、一進一退の動きが続きそうです。高市新政権が物価高対策を優先し、緩やかな利上げを許容するとの見方は金利を押し上げる可能性があります。日銀会合は利上げ見送りとみられますが、利上げに前向きな姿勢が示されるかが注目されます。FOMCで利下げを継続する姿勢が示されると、国内金利にも低下圧力がかかることとも想定されます。
◆Jリート :底堅い展開か
今週のJリート市場は、自・維連立政権が誕生し、国内の政治不安が後退したことや長期金利が落ち着いた動きをしていることも安心材料となり、上昇しました。また、上値を抑えていた東証REIT指数(配当なし)1,950を突破したことも上昇に弾みを付けました。今週末の分配金利回りは4.603%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。
来週は、日銀会合後の植田総裁の発言や長期金利の動向をにらみつつ、底堅い展開を想定しています。東証REIT指数(配当なし)2,000ポイント付近では達成感から戻り売りが出ることが見込まれます。とはいえ、不動産市況は良好で、値下がりした局面では下値を拾う買いや4%台半ばの分配金利回りに着目した買いも期待されることから下値も限定的になると見込んでいます。
◆為替:上値の重い動き
今週のドル円相場は、ドル高・円安が進行しました。積極財政を志向する高市新政権下での財政悪化懸念が広がったほか、今月の日銀会合での利上げ期待が後退したことにより、円売り圧力が強まり、1ドル=153円前後までドル高・円安が進行しました。
来週のドル円相場は、上値の重い動きが予想されます。今月の日銀会合については、市場では現状維持が見込まれているため、利上げが見送られたとしても、円安の進行余地は限定的とみられます。FOMCについては、0.25%の利下げが確実視されていますが、追加で量的引き締め(QT)の終了が決定されると、ドル安・円高が進行する可能性があります。また、米国の対中関税の延期期限が近づくなかで、米中貿易摩擦への懸念が強まれば、ドル売りが加速するリスクもあります。
◆米国株 :不安定な動きか
今週の米国株は、堅調な動きとなりました。30日に米中首脳会談が行われることが決まり、米中対立が緩和するとの期待から買いが優勢となりました。また、幅広い業種で好決算が相次いだことも株価を支えました。
来週は、重要イベントを受けて、不安定な動きになることが予定されます。来週は、FOMCが予定されているほか、マイクロソフトやアルファベットなどの主要ハイテク企業の決算発表も相次ぎます。FOMCでは、パウエル議長が今後の利下げに前向きな発言をするかどうかが注目されます。ハイテク企業の決算は、好決算になることが見込まれますが、先行きの業績見通しが注目点です。加えて、30日に予定されている米中首脳会談も株価を動かす材料になりそうです。輸出規制の緩和で合意した場合、株式市場を押し上げることが予定されます。
■来週の注目点
東京都区部・消費者物価指数(10月)10月31日(金)発表
9月の東京都区部・消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比2.5%上昇と、前月と同じ伸び率でした。エネルギー価格がプラスに転じた一方、東京都で開始された所得制限なしの第1子保育料無償化が物価の押し下げに寄与しました。
10月の東京都区部のコアCPIの伸びは小幅に拡大すると予想されます。年度下期の価格改定期にあたる10月は、食料品を中心に多くの品目で値上げが予定されており、物価の高止まりが続く可能性があります。
ユーロ圏GDP統計(25/7-9月期、速報値)10月30日(木)発表
4-6月期のユーロ圏の実質国内総生産(GDP)成長率は前期比+0.1%と、7四半期連続でプラス成長となりましたが、前期から伸びは減速しました。国別にみると、ドイツやイタリアがマイナス成長となった一方、フランスやスペインがプラス成長になりました。
7-9月期の実質GDP成長率は前期比+0.1%程度と予想されています。米国の関税政策の影響で輸出が減少したとみられるほか、記録的な猛暑が内需の逆風となり、低成長が続いた模様です。
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