SANKO MARKETING FOODS(2762) 水準の売上高までの回復を見込む
![]() 長澤 成博 社長 |
株式会社SANKO MARKETING FOODS(2762) |
![]() |
企業情報
市場 |
東証スタンダード市場 |
業種 |
飲食店運営、水産業 |
代表者 |
長澤 成博 |
所在地 |
東京都新宿区高田馬場1-28-10 三慶ビル2F |
決算月 |
6月 |
HP |
株式情報
株価 |
発行済株式数(期末) |
時価総額 |
ROE(実) |
売買単位 |
|
106円 |
29,362,949株 |
3,112百万円 |
– |
100株 |
|
DPS(予) |
配当利回り(予) |
EPS(予) |
PER(予) |
BPS(実) |
PBR(実) |
0.0円 |
– |
4.91円 |
21.6倍 |
11.97円 |
8.9倍 |
*株価は3/6終値。各数値は24年6月期決算短信より。
業績推移
決算期 |
売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
当期純利益 |
EPS |
DPS |
2021年6月 |
2,102 |
-1,747 |
-1,426 |
-1,817 |
– |
0.0 |
2022年6月 |
2,410 |
-1,097 |
-305 |
-439 |
– |
0.0 |
2023年6月 |
7,119 |
-748 |
-749 |
-784 |
– |
0.0 |
2024年6月 |
9,328 |
-683 |
-683 |
-711 |
– |
0.0 |
2025年6月(予) |
10,837 |
159 |
171 |
133 |
4.91 |
0.0 |
*予想は会社予想。単位:百万円、円。2022年6月期より連結。2021年6月期までは非連結決算。
(株)SANKO MARKETING FOODSの2025年6月期上期決算概要などをご紹介致します。
目次
今回のポイント
1.会社概要
2.2025年6月期上期決算概要
3.2025年6月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
今回のポイント
- 25/6期上期の売上高は前年同期比4.9%増の46億31百万円。水産事業においては、同社の直営店舗に多段階流通を経ずに卸す試みを始めて1年が経過した。綜合食品の売上高は回復傾向。SANKO海商ではECサイト等での販売も開始した。飲食事業においては、業績回復が著しい「アカマル屋」が成長を続けている。また、水産6次産業化の強みを活かした新業態として、まぐろ専門店「マグロ*リスペクト」など様々な新業態で出店した。こうした取り組みの結果、飲食事業として、コロナ禍の影響が漸次的に薄れた23年以降売上が回復し、事業ユニットとして安定的な黒字計上が続いている。営業損失は3億45百万円(前年同期は3億8百万円の損失)。利益面では、売上総利益率が前年同期30.9%から34.8%へ改善したものの、販管費率は前年同期37.8%から42.2%へ上昇した。販管費の増加は飲食産業PMIコスト、SANKO船団形成コスト等によるもの。
- 通期予想に修正はなく、25/6期は売上高が前期比16.2%増の108億37百万円、営業利益は1億59百万円を計画する。水産と飲食の両軸経営により、19/6期(107億)水準の売上高までの回復を見込む。事業構造の転換を進めながら水産事業を育成し、オンリーワンビジネスモデルで黒字転換を果たしていく考え。外食事業部門が直営店57店舗体制まで回復している。水産事業部門では綜合食品の売上回復が見込まれる。水産6次産業化を武器にした独自の商品開発を付加価値の源泉として進めていく。飲食事業では、「アカマル屋」業態の業績は順調に推移しており新規出店を進める。また、経費の徹底的見直しを行うことで、先行投資による経費増加のインパクトを縮減していく考え。
- 上期は前年同期に続き損失となったが、アカマル屋などが好調に推移しているものの東海エリアで苦戦している模様。現在立て直しを進めている。水産6次産業化への取り組みは着実に進んでいる。今後はその取り組みをしっかりと利益に結び付けたいところ。豊洲の大卸である綜合食品は業績回復が軌道に乗ってきた。特に海外輸出においてはマーケットが大きく円安に伴う割安感を活用して拡大させたい。18年9月に就任した長澤社長は、現在はこれまでに例を見ない水産6次産業化という大改革の真っただ中。これだけの大きな改革を進めるには、時間のかかることはやむを得ない。6次産業化は本格化しつつある。値上げについても浸透しやすい環境にあり、今後の業績の改善動向を注視していきたい。
1.会社概要
居酒屋の運営が主力事業。現在を「第二創業期」と位置付けている。漁業生産者でありながら、流通、加工、飲食店までをつなぐプラットフォームを構築する、極めて稀有な企業となっている(経緯などは【1-1 沿革】を参照)。「とる(獲る)、うる(売る)、つくる(創る)」のすべてを顧客に提供することができるオンリーワンのビジネスモデルを展開し、漁業者に還元するオリジナルの循環を創造する。

(同社資料より)
【1-1 沿革】
居酒屋店舗の運営を創業来行ってきた。03年にジャスダックへ新規上場。上場時は個室居酒屋「東方見聞録」を主軸に展開してきたが、09年から低価格・全品均一の居酒屋業態「金の蔵jr.」の展開が始まる。11年からは日常食業態「東京チカラめし」の拡大もあわせて行ってきた。14年には現在の主軸ブランドである「アカマル屋」を開発した。
年 月 |
概要 |
|
1975年 | JR神田駅のガード下に1号店「三光亭」を開業 | |
1985年 | 居酒屋店舗の運営 | |
1998年 |
12月 |
初の個室居酒屋「東方見聞録」の誕生 |
2002年 |
10月 |
「株式会社三光マーケティングフーズ」へ社名変更 |
2003年 |
3月 |
株式公開(ジャスダック上場) |
2004年 |
9月 |
東証二部上場 |
2009年 |
5月 |
低価格・全品均一の居酒屋業態「金の蔵jr.」の展開 |
2011年 | 日常食業態「東京チカラめし」の拡大 | |
2014年 | 次世代ブランド「アカマル屋」の開発 | |
2020年 |
9月 |
沼津我入道漁業協同組合との提携開始 |
12月 |
同漁協の組合員となる | |
2021年 |
5月 |
沼津市内で自社加工場が稼働 |
8月 |
沼津魚市場での買参権を取得 | |
10月 |
「株式会社SANKO MARKETING FOODS」へ社名変更 | |
11月 |
水産仲卸・加工業者である株式会社SANKO海商(静岡県浜松市)をグループ化し、
沼津の水産事業、都内店舗との連携 |
|
2022年 |
7月 |
豊洲の大卸である綜合食品株式会社をグループ化し、水産流通のサプライチェーンの礎が完成 |
2023年 |
4月 |
新業態である「漁港産直 積極魚食『サカナタベタイ』MEGAドン・キホーテ本八幡店」を開店 |
5月 |
同社所有の漁船「辨天丸」が下田漁港より初漁 | |
6月 |
子会社である株式会社ジーエスが清掃事業を営む株式会社サンヘイを子会社化 | |
12月 |
東海エリア大型商業施設内フードコート9店舗の水産6次化業態の運営開始 | |
(株)ガリュウトレーディングとの合弁会社である(株)SANKO INTERNATIONALを設立し子会社化 | ||
2024年 |
5月 |
HOANG SON INVEST AND CONSULTANCY LIMITED COMPANY(ベトナム ホーチミン)との合弁会社
AKIKO SERVICE AND TRADING JOINT STOCK COMPANY(ベトナム ホーチミン)を設立 |
18年9月に現・長澤社長が就任。事業が大きな転機を迎える。長澤社長は就任後に都心繁華街・大型空中階にあった「金の蔵jr.」の不採算店舗の撤退に取り組んだ。こうした中、襲いかかったのが20年からの新型コロナ感染拡大。「金の蔵jr.」の撤退(一部業態転換)を一気に推し進めた。17年6月に87店舗あった「金の蔵」ブランド店舗は、24年6月には池袋の1店舗となっている。
そしてコロナ禍が明けてから「アカマル屋」で出店攻勢を進めている。20年9月に沼津我入道漁業協同組合との提携を開始したことをきっかけに、21年8月には沼津魚市場での買参権を取得し漁業に参入することとなる。さらには、21年11月に水産仲卸・加工業者である株式会社SANKO海商をグループ化、22年7月には豊洲の大卸である綜合食品株式会社をグループ化することにより「第二創業期」である現在の事業の確立を進めている。
【1-2 経営方針】
グループ理念・ビジョン
生産者とともに歩む、“産地活性化プラットフォーマー”
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わたしたちは、沼津の漁師の皆様が抱える問題点や課題点を伺うなかで、わたしたちが運営する飲食店は、もちろん一つの販路として産地のお役に立てると考えましたが、わたしたちができることは、これだけにとどまりません。 漁師の皆様のビジョンをわたしたちが現地に入り、共に汗を流し具現化していくことで、共に働く仲間の成長とともに将来的には、日本の漁業ひいては日本の文化を守り、地域全体を活性化させることができると考えています。また、こうした取り組みを世界に向けて発信し、産地と世界の架け橋となることを願っています。
①価値ある食文化の提案 ②産地及び生産者への貢献 ③全従業員の物心両面の幸福の追求
|
(同社資料より)
【1-3 事業内容】
概要
水産6次産業化をビジネスモデルとしていることからセグメントは単一。
飲食事業
「アカマル屋」ブランドを主軸に郊外/高効率型店舗で事業展開。

(同社HPより)
この他、下記のブランドでも展開。「東京チカラめし」では海外でライセンスビジネスも行う。
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宮益坂下酒場。渋谷駅から徒歩3分、宮益坂の交差点直ぐというアクセスしやすい場所にあり鮮魚に注力。水産事業への取り組みも活かし、一匹の魚を余すことなく美味しい料理に仕立てる。 |
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寿司屋居酒屋。沼津港から毎日、旬を映すぴちぴちの鮮魚や珍しい魚を入荷している。島国日本に住む幸せを享受し、漁師が釣った美味しい魚の提供に真剣に向き合っている。 |
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湘南台酒場。湘南台駅西口から徒歩1分、地元の方に愛されるようにとの願いを込めて地名を冠し、宮益坂下酒場に続き誕生。沼津港から直送される新鮮魚介を提供している。 |
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豊洲市場から厳選した新鮮なマグロを使用し、希少部位を贅沢に楽しむ焼肉スタイルを提供している。ミノやほほ肉など、鮮度が命の食材を絶妙な焼き加減で味わえる。 |
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鮮度の高い魚の本当の美味しさが味わえる。美味しい食で明日への活力を養い、今日が吉(良き)日となるように、吉今の名を店名にした。 |
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韓国の屋台文化をそのまま再現した、活気あふれるサムギョプサル専門店。まるでソウルの屋台街に迷い込んだようなワクワク感と、ガツンと旨い本場の味を楽しめる。 |
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旨い肉をお腹いっぱいに食べたい!そんな要求を満たす食べ放題メニューでも、職人が丁寧に手切りする、肉にこだわった焼肉ブランド。肉問屋直送で品質も良い。 |
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1996年新宿にパスタ専門店として創業。定番メニューから和風、オリジナルまで多彩なバスタを揃える。細麺を茹で上げており、来店客を待たせせずに直ぐにご提供できるのも強み。 |
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「旨い・安いをお客さまのために」をコンセプトにした大型居酒屋。大人数にも対応。安さだけでなく、旨いもので満足できる料理を提供している。 |
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国産有機農産物や全国の特産品を積極的に使用する霞が関官庁初の食堂。環境に配慮した食材、被災地産食材を積極的に使用したメニュー開発を行っている。一般客も利用可能。 |
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魚食離れ阻止に挑戦し、飲食と水産事業の強みを最大限活用した鮮魚店。自分たちで獲った魚や目利きした水産商品、同社料理人監修のサカナ惣菜で、サカナをもっと身近なものとしている。 |
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“ニッポン全国からのおいしい食材と出会ふ”をコンセプトに、国産にこだわり全国各地の生産者から直送される野菜や肉、魚を使用したこだわりのメニューや、ご当地の名産品を提供する。 |
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フードコートで漁港から仕入れた鮮魚を手軽に食べられるお店。厚切りのお刺身がのった海鮮丼、揚げたてのフライ、こっくり煮付けた煮魚など、海の幸が楽しめる。 |
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『チカラが出るめし』で日本を元気に!をブランド名に冠し、焼き牛丼からスタート。現在はライセンスビジネスとして、香港3店舗、タイ1店舗と海外への進出やFC出店なども行っている。 |
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日本を「東京から元気にしたい!」という想いのもと誕生したブランド。食堂の日替わりの定食メニューを加え、新しいスタイルにて、「東京チカラめし」が都内に復活。 |
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富士山麓の水で循環式陸上養殖・無投薬で育った『JAPAN SALMON 桜』は味わいにも驚かれる商品。食べ歩きもできる海鮮出汁天ぷら串など、魚を手軽に楽しめるメニューも揃える。 |
水産事業
漁業、水産加工、水産卸で展開。同社独自の6次産業化を図るべく、飲食事業との両軸で進める。
漁業者の生活の安定と向上とお客様満足の両立を目的として、23年9月に下田の漁業者か ら、漁獲、魚種、相場に関わらず全量買取りする取り組みを開始。この取り組みをSANKO船団と称し、自社専用船とともに朝獲れの新鮮な魚介類を同社直営店舗へ多段階流通を経ずに卸す。SANKO船団は、24年12月末日時点で自社船を含めて計4隻(月間漁獲高目標値3トン)となっており、顧客からも好評を得ている。浜松市場の仲卸である株式会社SANKO海商は、「仲卸からの脱却」を経営方針として掲げ、強 みであるマグロ加工と商品開発力を生かし、「マグロ餃子」「マグロメンチ」「マグロコロッケ」などの新商品を投入するなど、水産加工メーカーとして利益体質への転換を進めている。豊洲市場の大卸である綜合食品株式会社は、グループ入りしたシナジー効果を意味出している。また、新たに水産物の海外輸出を強化している。
その他事業
主に飲食店向けのトータルサポートを展開する。子会社である株式会社ジーエスは、消毒・除菌、空気清浄機販売、ビルメンテナンス清掃を手掛ける。長期にわたり飲食事業に携わってきた経験をもとに「誰もが安心して生活できる社会」の実現をミッションとした、「衛生と清掃に関するお困りごと」を解決するチームを結成。顧客視点と飲食店店長経験者の視点から、安心・安全を提供する。
2.2025年6月期上期決算概要
【2-1 連結業績概要】
24/6期 上期 |
構成比 |
25/6期 上期 |
構成比 |
前年同期比 |
|
売上高 |
4,416 |
100.0% |
4,631 |
100.0% |
+4.9% |
売上総利益 |
1,365 |
30.9% |
1,610 |
34.8% |
+17.9% |
販管費 |
1,673 |
37.9% |
1,956 |
42.2% |
+16.9% |
営業利益 |
-308 |
– |
-345 |
– |
– |
経常利益 |
-308 |
– |
-314 |
– |
– |
中間純利益 |
-325 |
– |
-334 |
– |
– |
*単位:百万円。
*中間純利益は親会社株主に帰属する中間純利益。
増収も、損失が継続
売上高は前年同期比4.9%増の46億31百万円。水産事業においては、同社の直営店舗に多段階流通を経ずに卸す試みを始めて1年が経過した。綜合食品の売上高は回復傾向。SANKO海商ではECサイト等での販売も開始した。飲食事業においては、業績回復が著しい「アカマル屋」が成長を続けている。24年10月には累計15店舗目となる「アカマル屋」小岩店を新規出店した。「アカマル屋鮮魚店」では、SANKO船団の漁獲の最大活用、原価の抑制を図る。また、水産6次産業化の強みを活かした新業態として、まぐろ専門店「マグロ*リスペクト」を出店した。24年9月には「魚と野菜と土鍋ごはん 吉今」を新規出店した。23年12月より大型商業施設内フードコート等で飲食店9店舗を承継し運営を開始した。官公庁等を中心とする食堂施設の運営受託事業は、産地活性化への挑戦と食堂利用の顧客満足を官民一体で両立させる取り組みを推進した。運営受託部門では、「新宿三丁目テラス」を24年9月に新規出店した。こうした取り組みの結果、飲食事業として、コロナ禍の影響が漸次的に薄れた23年以降売上が回復し、事業ユニットとして安定的な黒字計上が続いている。
SANKO MARKETING FOODS単体での売上高は前年同期比3億20百万円増加し20億97百万円。綜合食品の売上高は同2億16百万円増加し20億88百万円、SANKO海商の売上高は同2億53百万円減少し7億60百万円。
飲食事業、店舗数の推移と出店状況
上期に直営店2店舗を新規出店。
これにより、直営店57店舗(含、運営受託店舗12店)、FC4店舗(海外2店舗/国内2店舗)体制となる。

(同社資料より)
営業損失は3億45百万円(前年同期は3億8百万円の損失)。利益面では、売上総利益率が前年同期30.9%から34.8%へ改善したものの、販管費率は前年同期37.8%から42.2%へ上昇した。販管費の増加は飲食産業PMI(M&A後の統合プロセス)コスト、SANKO船団形成コスト等によるもの。SANKO MARKETING FOODS単体においては、人件費増などで1億56百万円、店舗地代家賃が63百万円、水道光熱費が30百万円増加した。
営業外収益に補助金があり、経常損失は3億14百万円(前年同期は3億8百万円の損失)。四半期純損失は3億34百万円(前年同期は3億25百万円の損失)。
【2-2 財政状態】
◎財政状態
24年6月 |
24年12月 |
増減 |
24年6月 |
24年12月 |
増減 |
||
流動資産 |
1,135 |
1,330 |
+195 |
流動負債 |
1,180 |
1,389 |
+209 |
現預金 |
454 |
565 |
+110 |
仕入債務 |
401 |
475 |
+74 |
売上債権 |
410 |
454 |
+44 |
固定負債 |
874 |
919 |
+45 |
固定資産 |
1,247 |
1,238 |
-9 |
負債合計 |
2,055 |
2,309 |
+253 |
有形固定資産 |
563 |
565 |
+2 |
有利子負債 |
428 |
670 |
+242 |
無形固定資産 |
46 |
39 |
-7 |
純資産 |
327 |
258 |
-68 |
投資その他の資産 |
638 |
633 |
-5 |
利益剰余金合計 |
-782 |
-460 |
+322 |
資産合計 |
2,383 |
2,568 |
+185 |
負債・純資産合計 |
2,383 |
2,568 |
+185 |
*単位:百万円。有利子負債にはリース債務を含まない。
上期末の総資産は、前期末比1億85百万円増加し25億68百万円となった。現預金の増加などによるもの。
負債は社債の増加などにより同2億53百万円増加して23億9百万円となった。
純資産は、中間純損失を計上した反面、転換社債型新株予約権付社債の行使があり同68百万円減少し2億58百万円となった。
自己資本比率は前期末より3.9ポイント低下し9.7%。
【2-3 25/6期の取り組み】
飲食事業・・・既存店の概況
商品価格の適正化が進捗し、一時客数は前年を下回るも足元では回復基調。

* 既存店は開店から13ヶ月以上経過した店舗と定義。 * 当期店舗数の中には小売店舗の「サカナタベタイ」も含む。

(同社資料より)
堅調なアカマル屋
アカマル屋はコロナ前19年対比でも大幅に増加、高い利益率も維持されている。

(同社資料より)
既存ブランドの刷新
アカマル屋をはじめ、各ブランドにて商品価格設定の見直し、刷新を行う
飲食事業・・・一次産業の活性化支援
➢ 水産物・農作物の国内生産を維持するために「産地活性化プラットフォーマー」として、農林水産省「あふ食堂」を中心に官公庁食堂群を活用。

(同社資料より)
6次産業化への戦略
Outputごとに船団を活用する。
①高級魚・養殖魚は市場流通ないしは高付加価値店舗への卸売り
② SANKO店舗には未・低利用魚の加工を経て店舗で付加価値販売
~未・低利用魚/廃棄部位の積極活用~

(同社資料より)
綜合食品、3つの成長要因
① SMFグループインフラの最大活用
② 産地と販売先の開拓
③ 海外輸出
他の豊洲の卸と比較して規模は小さいながらも売上はコロナ前(20/3期)を上回り、高成長を実現。

A社、B社、C社、D社は綜合食品と同業である豊洲市場の大卸
(同社資料より)
補完事業・・・日本から海外へ
グループの強み + 円安を背景とした成長市場への先行投資を行う

(同社資料より)
株式会社SANKO OCEAN WORKSの設立
水産6次産業化をより強力に推進していくにあたって、より自由度が高く賛同者との連携・ 連帯が図ることができる組織づくりを目的として、新会社である株式会社SANKO OCEAN WORKSを設立した。
漁業および水産養殖業、水産物の加工・冷凍および売買等を行い、他漁業従事者の減少、水産資源の減少、食糧自給率低下などの諸問題の解決への取り組みを進める。
グループ体制

(同社資料より)
3.2025年6月期業績予想
【3-1 業績予想】
24/6期 |
構成比 |
25/6期(予) |
構成比 |
前期比 |
|
売上高 |
9,328 |
100.0% |
10,837 |
100.0% |
+16.2% |
営業利益 |
-683 |
– |
159 |
1.4% |
– |
経常利益 |
-683 |
– |
171 |
1.6% |
– |
当期純利益 |
-711 |
– |
133 |
1.2% |
– |
*単位:百万円。
連続の2桁増収、黒字転換を見込む
通期予想に修正はなく、25/6期は売上高が前期比16.2%増の108億37百万円、営業利益は1億59百万円を計画する。
水産と飲食の両軸経営により、19/6期(107億)水準の売上高までの回復を見込む。事業構造の転換を進めながら水産事業を育成し、オンリーワンビジネスモデルで黒字転換を果たしていく考え。
外食事業部門が直営店57店舗体制まで回復している。水産事業部門では綜合食品の売上回復が見込まれる。水産6次産業化を武器にした独自の商品開発を付加価値の源泉として進めていく。飲食事業では、コロナ禍脱却後の新たな日常生活に対応した「アカマル屋」業態の業績は順調に推移しており新規出店を進める。安定した運営を行う官公庁等を中心とする食堂施設の運営受託事業は全国各地の食材とコラボ企画を行うなど独自の運営モデルを構築していく。東海エリアの大型商業施設内フードコート飲食店が上期は苦戦したが、水産6次産業化による独自の強みを活かした新メニューを各店舗へ展開していく。
また、経費の徹底的見直しを行うことで、先行投資による経費増加のインパクトを縮減していく考え。
売上高・営業利益率の推移
➢ 飲食事業と水産事業の両軸経営により6次産業化とV字回復の達成を目指す

(同社資料より)
【3-2 事業別予想】
25/6期の事業別売上高・営業利益予想
24/6期 |
構成比/利益率 |
25/6期予想 |
構成比/利益率 |
前期比 |
|
水産事業 |
5,594 |
60.0% |
5,912 |
54.6% |
+5.7% |
飲食事業 |
3,468 |
37.2% |
4,543 |
42.0% |
+31.0% |
その他事業 |
266 |
2.9% |
382 |
3.4% |
+43.6% |
売上高 |
9,328 |
100.0% |
10,837 |
100.0% |
+16.2% |
水産事業 |
-322 |
– |
39 |
0.6% |
– |
飲食事業 |
161 |
4.6% |
637 |
14.0% |
+295.7% |
その他事業 |
-522 |
– |
-517 |
– |
– |
営業利益 |
-683 |
– |
159 |
1.4% |
– |
*単位:百万円。
*その他事業は、本社の間接費及びEC事業、茅場町FACTORY、法人営業等を含む。
株主優待制度
株主優待制度が拡充された。毎年6月末日および12月末日の同社株主名簿を基準として年2回実施する。
12月末日の株主優待の詳細は以下より
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2762/tdnet/2539398/00.pdf
4.今後の注目点
上期は前年同期に続き損失となったが、アカマル屋などが好調に推移しているものの東海エリアで苦戦している模様。現在立て直しを進めている。水産6次産業化への取り組みは着実に進んでいる。今後はその取り組みをしっかりと利益に結び付けたいところ。豊洲の大卸である綜合食品は業績回復が軌道に乗ってきた。特に海外輸出においてはマーケットが大きく円安に伴う割安感を活用して拡大させたい。
18年9月に就任した長澤社長は不採算店舗の改革などに取り組んでいた中でコロナ禍が発生。むしろ思い切って改革を進める転機となり、現在はこれまでに例を見ない水産6次産業化という大改革の真っただ中。これだけの大きな改革を進めるには、時間のかかることはやむを得ない。
6次産業化は本格化しつつある。値上げについても浸透しやすい環境にあり、今後の業績の改善動向を注視していきたい。
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
◎組織形態及び取締役、監査役の構成
組織形態 | 監査役設置会社 |
取締役 | 7名、うち社外2名 |
監査役 | 3名、うち社外3名 |
◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2024年9月27日)
基本的な考え方
当社グループは、次の企業理念及び経営理念を掲げ、社会からの信頼を確立するために、当社グループの持続的成長及び企業価値向上のため、次の基本的な考え方に沿って、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。
(1)当社グループは、株主の権利を尊重し、株主が権利を適切に行使することができる環境の整備と株主の実質的な平等性の確保に取り組んでまいります。
(2)当社グループは、「食」を通じて社会に貢献することを理念の中心に据え、「安心・安全」であることの重要性を認識し、株主、顧客、従業員、取引先及び当社グループを取り巻く地域社会や、その他のステークホルダーとの適切な協働に努め、高い自己規律に基づき健全に経営する企業文化、風土を醸成してまいります。
(3)当社グループは、ステークホルダーとの建設的な対話を行う基盤を構築するために、非財務情報を含む会社情報の適切な開示と、企業運営の透明性の確保に努めてまいります。
(4)当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、ステークホルダーとの間で建設的な対話を行います。
【企業理念】
「価値ある食文化の提案」
【経営理念】
「全従業員の物心両面の幸福の追求」
【コーポレートガバナンス・コードの各原則を実施しない理由】
【補充原則1-2-4】(株主総会における権利行使)
当社は、現在外国人株主数とその比率がそれぞれ低いことから、招集通知の英訳は行っておりません。今後、外国人株主数の比率等を勘案しつつ検討してまいります。
【補充原則3-1-1】 当社は、経営理念を当社ホームページ上にて公表しております。以下のURLをご参照ください。
http://www.sankofoods.com/company-2.html
また、当社グループは、2024年6月期- 2026年6月期を対象とする、中期経営計画を策定いたしました。詳細につきましては、以下のURLをご参照ください。
https://www.sankofoods.com/ir/management/plan/
【補充原則3-1-2】(情報開示の充実)
当社は、当社における外国人株主数とその所有比率がそれぞれ低いことから、決算短信、決算説明会資料等について英文での作成は行っておりません。今後、外国人株主数の比率等を勘案しつつ検討してまいります。
【コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示】
【原則1-4】(政策保有株式)
当社は、政策保有株式について、その保有の意義が認められる場合を除き、保有しないことを基本方針としており、現時点では、政策保有株式を保有しておりません。ただし、今後、事業戦略上の重要性、取引先との事業上の関係の維持・強化を目的として保有する場合があります。その場合は、株式保有は必要最低限とし、毎年取締役会で見直しを行い、企業価値向上の効果等が乏しいと判断される銘柄については、市場への影響やその他事業面で考慮すべき事情にも配慮し、売却を行うことで十分に政策保有株式の縮減につながると考えております。議決権行使に当たっては、投資先企業の中長期的な企業価値、株主価値の向上につながるかの観点等から検討し、総合的に判断した上で適切に行使します。
【補充原則2-4-1】(多様性の確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針、その状況)
当社では、従来から性別や国籍に関係なく、能力や実績を重視する人物本位の人材登用を実施しております。
この事業構造の転換、経営環境の多様化にあたり、持続的な成長と企業価値の向上を実現させるためには、多様な視点や価値観を尊重することが重要と考え、経験・技能・キャリアが異なる人材を積極的に採用しつつ、これらの人材が活躍できる職場環境を整備いたします。
当社では、2019年9月株主総会にて、女性社外取締役を選任し、2021年10月には内部昇格により、女性執行役員を登用いたしました。また、2024年3月末までに、常用雇用労働者の女性の割合を35%以上にすることを目指し、中長期の目線で、女性が活躍する環境づくりを進め、ダイバーシティの推進に取り組み、人が活躍できる機会と場を提供してまいります。
【原則3-1】(情報開示の充実)
(1)当社の経営理念、経営戦略については、当社ホームページおよび決算短信等で開示しております。
(2)当社のコーポレートガバナンスに関する基本的な考え方および、基本方針については、当社ホームページに掲載しております。
(3)当社の取締役の報酬については、基本報酬と賞与から成り立っております。取締役及び監査役の報酬等については、社内規程において決定に関する方針を定めており、株主総会の決議による取締役及び監査役それぞれの報酬総額の限度内で、会社の業績や経営内容、経済情勢等、職務の難易度を考慮し、社外取締役、社外監査役が出席した取締役会及び監査役会において、取締役の報酬は取締役会の決議により決定し、監査役の報酬は監査役会の協議により決定しております。なお、業務執行から独立した立場である社外取締役及び監査役は、基本報酬のみの支給としています。また、役員退職慰労金制度は、2013年9月25日開催の第37期株主総会の日をもって廃止しました。
執行役員の給与については、社内規程に基づき、会社の業績・経営内容、実績、経験、取締役報酬を考慮し、社外取締役、社外監査役が出席した取締役会にて決定しております。
(4)取締役・監査役候補の指名にあたっては、社内外から幅広く候補者を人選し、優れた人格・見識と高い経営能力を有する候補者の中から、取締役は取締役会で、監査役は監査役会で決定しております。社外取締役は、各分野における豊富な経験・知見を有し、中長期的な企業価値向上に向けて、専門的かつ客観的な視点からその役割・責務を果たすことができる方を指名しております。社外監査役は、各分野における豊富な経験・知見を有し、経営全般を監査して取締役会の透明性を高めるとともに、企業価値の向上に貢献いただける方を指名しております。
(5)新任候補者、社外取締役候補者及び社外監査役候補者の選任理由は、株主総会招集通知にて開示しております。
【補充原則3-1-3】(サステナビリティについての取組み)
当社では、中長期的な企業価値向上に向けて、サステナビリティへの取り組みは重要な経営課題であると認識し、基本的方針を策定し、その基本方針に則った取り組みを推進してまいります。 当社のサステナビリティ基本方針は当社ホームページにて公表しています。
https://www.sankofoods.com/company-6.html
【原則5-1】(株主との建設的な対話に関する方針)
当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のためには、株主・投資家との積極的且つ建設的な対話が必要不可欠と考え、株主及び投資家の皆様との建設的な対話に努めております。
・当社のIR活動はIR担当役員が担い、財務経理部が担当する体制となっております。IR活動に必要な情報はIRに関連する他部署から収集し、グループ経営推進室がとりまとめ、投資家からの問い合わせに対応しております。なお、株主及び投資家の皆様との対話にあたっては、インサイダー情報を伝達しないことを方針とし、伝達する内容については、IR担当部署が、事前に法務等の関連部署や外部専門家と適宜確認することとしています。
・グループ経営推進室にて個別面談に積極的に対応するとともに、株主・投資家・アナリスト向けに第2四半期・期末に決算説明会を開催し、代表取締役社長又はIR担当取締役が直接説明しております。
・重要なIR活動結果及びそのフィードバック及び株主異動等の情報については、毎月開催される定時取締役会へ報告を行い、取締役や監査役との情報共有を図っております。

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