来週の金融市場見通し(2025年11月3日~2025年11月7日)

2025/10/31

■来週の見通し

米連邦準備理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を2会合連続で引き下げました。ただ、パウエル議長が利下げにやや慎重な姿勢を示したことから、12月会合での利下げを見送るとの見方も出てきています。他方、日銀は金融政策決定会合で政策金利を据え置きました。日銀は早期利上げに前のめりにはなっていないものの、年内の利上げ観測もくすぶります。来週は、内外の経済指標や企業の決算発表に加え、FRB高官の発言なども確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

 

◆株価 :国内主要企業決算発表に注目

今週の日本株は、堅調な動きとなりました。28日に決算を発表したアドバンテストが通期業績予想を上方修正したことで大きく上昇したことが、指数を押し上げました。加えて、金融政策決定会合で日銀の植田総裁が早期の利上げに慎重な姿勢を示したことで、円安が進行したことも株価の押し上げ要因となりました。半導体株は、アドバンテストに加えて、米主要ハイテク企業の好決算を受けて、大きく上昇しました。

 

来週は、国内の主要企業の決算発表が注目されます。来週は、トヨタ自動車などの決算発表が予定されています。関税引き上げの影響が限定的であることが明らかにになれば、市場は好感しそうです。ただし、高値警戒感が強まっていることから、利益確定売りに押され、上値の重い展開となる可能性もあります。

 

◆長期金利 :方向感を探る

今週の長期金利は、1.6%台半ばでの一進一退の動きが続きました。日経平均株価が初の5万円台に乗せたことで投資家心理が強気に傾き、安全資産とされる債券が売られ、長期金利は上昇して始まりました。その後は、米利下げ期待から低下に転じたものの、日銀の利上げが意識されたことなどから、やや上昇する動きになりました。

来週は、引き続き1.6%台で方向感を探る動きになりそうです。植田日銀総裁が会合後の記者会見で、追加利上げに慎重な姿勢を示したことは、国内金利を押し下げそうです。とはいえ、輸入物価を押し上げる円安が一段と進行した場合には、日銀に利上げ圧力がかかることも想定されます。FRB高官から12月会合での米利下げを一旦見送るとの示唆があると、米金利とともに国内金利の低下を抑制する可能性があります。

 

◆Jリート :底堅い展開か

今週のJリート市場は、小幅に下落しました。週前半は、東証REIT指数(配当なし)2,000ポイント付近で戻り売りが出たものの、日米、米中首脳会談において、両国の関係強化や貿易問題の解決に向けた合意がなされ、リスク選好的な流れとなったことから週後半に下げ幅を縮小しました。今週末の分配金利回りは4.626%(東証上場REITの予想分配金利回り、QUICK算出)となりました。

来週は、日米の金融政策や長期金利の動向をにらみつつ、底堅い展開を想定しています。引き続き一定の戻り売りが出ることが見込まれるものの、日銀が利上げを急がない姿勢を維持していることは安心材料です。値下がりした局面では下値を拾う買いや4%台半ばの分配金利回りに着目した買いも期待されることから下値も限定的になると見込んでいます。

 

◆為替:上値の重い動き

今週のドル円相場は、ドル高・円安が進行しました。週初は、ベッセント米財務長官が日銀の金融政策に言及したことでドル安・円高が進行しました。週後半は、パウエルFRB議長が今後の利下げに慎重な発言をする一方、植田日銀総裁が早期の利上げに慎重な姿勢を示したことを受けて、ドル買い・円売りが優勢となりました。

来週のドル円相場は上値の重い動きが予想されます。日本の財政悪化懸念を背景とする円売りの動きは一服しているほか、日米金利差からのドル安・円高圧力が強まる可能性があります。政府統計の公表が滞るなかで注目が集まる米ADP雇用報告が雇用の減速を示唆する結果であれば、FRBの追加利下げに対する期待が強まる可能性があります。

 

◆米国株 :決算発表に注目

今週の米国株は、底堅い動きとなりました。30日に実施された米中首脳会談で、米国が中国製品に対する関税の引き下げを表明するなど、米中対立が緩和したことから買いが優勢となりました。また、幅広い業種で好決算が相次いだことも株価を支えました。半導体株は、主要企業の決算が相次いで市場予想を上回ったことから、堅調な動きとなりました。

来週は、決算発表が相場を動かす材料となりそうです。来週は、半導体大手のAMDやマクドナルドなどの決算発表が予定されています。AMDの決算が好調な内容であれば、半導体関連株を一段と押し上げることが期待されます。また、マクドナルドなどの消費関連企業の決算が良好であれば、米景気は底堅いとの見方が広がり、株式市場は好感するとみられます。

 

来週の注目点

毎月勤労統計調査(9月)11月6日(木)発表

毎月勤労統計調査によると、8月の実質賃金は前年比-1.7%と、8か月連続で減少しました。春闘での高水準での賃上げが適用されたことで、名目賃金は同+1.3%増加したものの、物価の伸びに追いつかない状況が続いています。

9月の実質賃金は、物価の高止まりが続くなかで、マイナス圏での推移が続く見通しです。最低賃金の大幅な引き上げがパートタイム労働者の賃金を押し上げる要因となるとみられますが、今年は例年より適用時期を遅らせる地域が多いことから、9月時点での影響は限定的とみられます。

 

米ADP雇用報告(10月)11月5日(水)発表

ADP雇用報告によると、9月の民間雇用者数は前月差-3.2万人と、2か月連続での減少となりました。関税政策の影響などを様子見するために、企業が新規採用に慎重になるなかで、雇用者数は減速傾向が鮮明となっています。

10月の民間雇用者数は力強さを欠く動きが続く見込みです。求人サイトを運営するIndeed 社が公表する求人件数は減少が続くなど、企業は消極的な採用姿勢を維持しているとみられます。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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