ライスカレー(195A)個人向け事業で蓄積したSNS活用ノウハウを用いて企業顧客拡大を目指す

2024/06/24

SNSデータを活用し、企業向けマーケティング支援と個人向け商品販売を展開
個人向け事業で蓄積したSNS活用ノウハウを用いて企業顧客拡大を目指す

業種:サービス業
アナリスト:鎌田良彦

◆ SNSマーケティングを活用し、企業と消費者向けにサービスを提供
ライスカレー(以下、同社)グループは、同社と子会社1社からなり、主にInstagramやTikTok等のSNS利用者で共通の価値観や興味関心を持つコミュニティを対象に、企業のマーケティング支援や、自社ブランドの商品販売等を行っている。

同社の事業は、コミュニティデータプラットフォーム事業の単一セグメントであるが、企業向けのエンタープライズ領域、消費者向けのコンシューマ領域の双方で事業を展開している。

24/3期の売上高構成比は、エンタープライズ領域が65.0%、コンシューマ領域が35.0%であった(図表1)。

エンタープライズ領域、コンシューマ領域に共通するデータ基盤及びデータ分析のツール群として、「CCXcloud」がある(図表2)。CCXcloudはInstagram等のSNSサービスとAPI連携注1しており、顧客企業や、消費者の行動等に影響力を持つインフルエンサー、同社が消費者向けに展開するブランドサービスのSNSアカウントの行動データ、及び同社のECサイトでの購買データ等が蓄積されている。

CCXcloudのデータを活用した主要ツールとしては、自己や競合SNSのアカウント分析やクチコミトレンド分析等が行える「CCXsocial」がある。CCXsocialはCCXcloudとアカウント連携した顧客企業やインフルエンサー等に、無料で提供されている。

◆ エンタープライズ領域
エンタープライズ領域は、主に消費財や食品、日用品等を扱う大企業向けにマーケティング支援を行う「マーケティング・DX」と、中小企業向けに低額の月額課金でSNS広告やGoogle広告の出稿が行える「アドスタbyCCXcloud」を中心とする「データクラウド」に分類される(図表2)。

大企業向けのマーケティング・DXでは、SNSアカウントの運用代行、同社が組織化したインフルエンサーによるPR商品の利用体験等の情報発信等によりマーケティングを行うインフルエンサーを選定するインフルエンサーキャスティング、SNSでの広告運用等、様々なソリューションを提供している。売上高としてはインフルエンサーキャスティングが多い。

同社はコンシューマ領域の顧客層と重なる、10~40歳くらいの女性向けのマーケティングに強みを持っている。インフルエンサーは、フォロワー数が数千から数万人規模の「マイクロインフルエンサー」を中心に5,000人超を組織化しており、インフルエンサーの投稿に対するフォロワーの反応等をマーケティングに活用している。

データクラウドではアドスタbyCCXcloudの売上高が大きい。アドスタbyCCXcloudは、マイナビバイトを運営するマイナビ(東京都千代田区)を通じた販売が、24/3期に急拡大している(図表3)。マイナビバイトを利用する顧客が、SNS広告やGoogle広告により応募者を募る手段として利用している。

◆ コンシューマ領域
コンシューマ領域では、同社が運営する様々な領域のメディア運営によって形成されたコミュニティに対するマーケティング活動を行い、ブランドの開発や商品の販売を行っている。売上高は自社ブランド商品の販売によるものである。

主力ブランドとしては、歯のホワイトニングジェル等のオーラル美容ブランドの「MiiS(ミーズ)」、22年7月に買収により子会社化したZ世代向けアパレルの「RiLi(リリ)」がある。この他、ゲーム愛好者等を対象とした、マタタビ配合のエナジードリンク「HICAT(ハイキャット)」、20代から30代の女性向けアパレルブランド「RANCLIC(ランクリック)」、眠りのためのインテリアブランド「SUYALI(スヤリ)」を展開している。

MiiSの商品開発では、開発初期に美容関連の自社SNSメディアの「MiiLab(ミーラボ)」やインフルエンサーを通じて、消費者の課題やニーズに関するデータを収集・分析し、美容コミュニティにおける「オーラルケアx美容」のニーズとマーケットポテンシャルを検証した後に、商品投入を行っている。商品の販売は、自社ECサイト、モールECサイト、海外ECサイト、卸店舗等、多様な販売チャネルを通じて行っている。デンタルクリニックのプロデュースといったサービスの提供も行っている。

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一般社団法人 証券リサーチセンター
ホリスティック企業レポート   一般社団法人 証券リサーチセンター
資本市場のエンジンである新興市場の企業情報の拡充を目的に、アナリスト・カバーが少なく、適正に評価されていない上場企業に対して、中立的な視点での調査・分析を通じ、作成されたレポートです。

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