日本株は「危うさ」を乗り越えてさらに上を目指せるか?
今週の国内株式市場ですが、日経平均はこれまでのところ戻り高値を試す展開が目立っています。週初の6日(月)に「窓」を空ける格好で28,000円台に乗せ、9日(木)には28,500円台を超える株価水準で取引を開始しています。
足元の株価の戻り基調は先週後半から始まったわけですが、そのきっかけとなったのは、3月21日から22日にかけて開催される米FOMC(連邦公開市場委員会)を前に、タカ派で知られるアトランタ連銀のボスティック総裁が「0.25%の利上げ幅に賛成」と発言したことです。市場で警戒されていた0.5%の利上げ幅への拡大懸念が後退し、日米の株式市場が反発に転じました。
とはいえ、米国株市場については、今週7日(火)に行われた、パウエル米FRB(連邦準備理事会)議長の議会証言によって、再び0.5%の利上げ幅拡大懸念が浮上し、同日の米主要株価指数が大きく下落しました。ただ、この米国株市場の流れを受けても、日本株は上昇を続けており、戻り高値を視野に入れている日本株と、まだ本格的な戻りを探っている米国株といった具合に、日米の株式市場に温度差が感じられます。
こうした日本株の強さについては、為替市場の円安傾向をはじめ、4月から始まる日銀の新体制でも金融政策の基本的な方針が変わりそうにないことへの安心感、さらなるコロナ規制緩和(水際対策やマスク着用、5類から2類への引き下げ等)による国内経済のリオープン期待、低PBR改善に向けた取引所の取り組み期待などに、週末10日(金)に控えるメジャーSQへの需給的な思惑が加わったことが要因になっていると思われ、一応、日本株を「買える」材料は確認できる状況ではあります。
米国では今週末の10日(金)に雇用統計、翌週(3月13日週)には、14日にCPI(消費者物価指数)、15日に小売売上高といった2月分の経済指標の発表が相次ぎ、株式市場はFOMCに向けて臨戦態勢となっていきます。「米国のインフレ動向と景気のスピード感、それに対する金融政策への思惑」という相場の構図自体は変わっておらず、今後発表される経済指標の結果次第で、相場のムードが簡単に覆されやすく、日本株はさらなる株価の一段高もあり得る一方、米国株市場の軟調さが際立ってきた場合には、さすがに日本株もリスクオフとなることが予想され、足元の株価上昇は「危うさ」を抱えているともいえます。
中長期的に見た日経平均は、昨年(2022年)が26,000円~28,000円、一昨年(2021年)が28,000円~30,000円といった具合に、2,000円ほどの値幅レンジでの推移が続いていましたが、2021年のレンジに戻すことができるのか、それとも昨年のレンジがまだ継続するのかを探る展開が今後の焦点となりそうです。
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