カクヤスグループ<7686> アフター/ウィズコロナを見据えた「三層物流」モデル構築の進捗に注目
自社で構築した店舗網及び物流・配達網を特徴とする酒類販売大手
アフター/ウィズコロナを見据えた「三層物流」モデル構築の進捗に注目
業種: 卸売業
アナリスト: 藤野敬太
1.会社概要
・カクヤスグループ(以下、同社)は、東京23 区をはじめとした大都市圏にて、料飲店等の業務用と、家庭用の双方への酒類販売を主な事業としている。
2.財務面の分析
・15/3 期以降20/3 期までは売上高はほぼ横ばいで推移し、経常利益も増減はあるものの、年率3.2%のペースで拡大した。しかし、新型コロナウイルス禍の影響が顕著であった21/3 期は、飲食店向けである業務用の売上高が落ち込み、経常赤字に陥った。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、創業家出身の社長のリーダーシップ(人的資本)である。これまで、危機的な状況になった際、同社は、事業モデルを大きく変えることを厭わずに大胆な変革を起こして乗り越えてきた。こうした変革の過程で、新しい事業モデルを確立するとともに、顧客を開拓し、新たな発展段階への移行を繰り返してきている。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題は、新型コロナウイルス禍への対応、財務基盤の安定、酒税法改正等の法律や規制の変化への対応、人員の確保である。
・新型コロナウイルス禍を機に「配達プラットフォーム企業への進化」という中長期戦略を前倒しで実践している。そのため、業務用のルート物流網(第1 層)、業務用の即配物流網(第2 層)、家庭用の即配物流網(第3 層)から構成される「三層物流」モデルへの転換を進め、業務用についてはコロナウイルス禍前の水準の売上高回復を、家庭用については配送の更なる拡大を進めていくとしている。
5.アナリストの評価
・証券リサーチセンターでは、幾度の危機を乗り越えてきた100 年企業の対応力を評価している。新型コロナウイルス禍という大きな危機を乗り越えた先に得られる、成長可能性に注目しているが、そのために必要な「三層物流」モデル構築の進捗に注目したい。