来週の金融市場見通し(2020年2月3日~2020年2月7日)

■来週の見通し

世界保健機関(WHO)は1月30日、感染が拡大している新型コロナウイルスによる肺炎について、「国際的な公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。中国との取引や渡航の制限は勧告しないとしましたが、経済や金融市場への影響が懸念されます。しばらくは、日米の決算発表に加え、新型肺炎の感染拡大の影響を確認していくことになります。感染拡大が収束するめどが立つまでは、不安定な動きが続きそうです。

◆株価 :小幅な反発を予想

日本株は、小幅な反発が予想されます。新型コロナウイルスへの懸念からアジア株は一旦大幅に下落したものの、やや過剰反応とみられます。ウイルスによる経済への打撃を見極めるには時期尚早であり、各国の取組みが効を奏し、感染拡大は今後抑制される可能性もあります。ただ、2月3日に休場明けとなる中国市場の動向が警戒されること、および、日本企業の決算発表が精彩を欠いていることなどが、日本株の上値を抑える見通しです。

◆長期金利 :新型肺炎にらみ

新型肺炎の拡大による世界景気への先行き不透明感が広がり、安全資産とされる国債を買う動きが強まりました。31日には長期金利は一時マイナス0.07%と昨年12月2日以来2か月ぶりの水準まで低下しました。米連邦公開市場委員会(FOMC)は現状維持で、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、当面は政策金利を据え置く方針を示しました。新型肺炎の感染拡大や米長期金利をにらみながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 : レンジ継続

中国で発生した新型肺炎の感染が拡大しており、その影響を懸念し、世界的に株価が調整しています。それに合わせドル円もリスク回避の円買いが出やすい状況で、ドル円の頭を抑えています。一方で米中貿易協議が部分合意に達しており、基本的にはドル円の下値は限定的と思われます。したがってドル円は引き続き狭いレンジの中、新型肺炎の拡散状況や景気への影響を見極めながら、ヘッドラインに振らされる展開が続くと思われます。

◆Jリート :上昇余地を探る

新型肺炎の感染拡大で観光客などが減るとの見方から、ホテル関連のリートが大きく下落する場面があったものの、相対的な利回りの高さを背景にした先高観は根強く、総じて買いが優勢。長期金利が低下する中、東証REIT指数も2,200ポイントを上回り、2か月ぶりの水準まで上昇しました。Jリートの予想分配金利回りは3.5%弱と、依然として魅力的な水準です。利益確定売りに押されながら、上昇余地を探ることになりそうです。

来週の注目点

家計調査(12月) 2月7日(金)午前8時30分発表 

家計調査によると、実質消費支出(二人以上の世帯)は10月に前年比5.1%減となった後、11月は同2.0%減と減少幅が縮小しました。ただ、消費税増税前の駆け込み購入の反動減が引き続き消費を圧迫しています。

12月の実質消費支出も、前年比減少が見込まれます。駆け込み購入の反動減は徐々に和らぐとみられますが、実質賃金が前年比マイナス基調で推移するなど、所得環境は精彩を欠いています。そのため今年も、消費は力強さを欠く状況が続くと予想されます。

米雇用統計(1月) 2月7日(金)午後10時30分発表

昨年12月の米雇用統計において、非農業部門就業者数は前月比14万5,000人増と市場予想を下回り、今後のインフレ動向を占う上で重要な平均時給は前年比2.9%上昇と、2018年半ば以来の低い伸びとなりました。一方、失業率は3.5%と1969年以来の低水準を維持しています。

労働市場は現時点で、堅調さを維持しているものの、その勢いに陰りが見え始めた可能性があります。また、平均時給の伸びもインフレ圧力の高まりを感じさせません。1月の非農業部門就業者数は前月比15万人程度の増加、平均時給は前年比3.0%程度の上昇を想定しています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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