ブラジルの金融政策(5月)~今後の政策スタンスとレアル相場の展望
- 政策金利は6.5%で据え置きでした。安定したインフレ率の下で、景気重視のスタンスが続きます。
- 中銀は、安定したインフレ環境が維持され、中長期的には利上げを想定するも緩やかと想定しています。
- 年金改革の進展は通貨レアルに追い風も、緩慢な景気回復の下、方向感のない展開が予想されます。
利上げはより緩やかに
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、7-8日のCopom※で、政策金利のSELIC◇金利を6.5%に据え置きました(全会一致)。18年3月での利下げを最後に、9会合連続、1年2ヵ月間据え置かれています。
3月CPIは前年同月比+4.58%と、2月の同+3.89%から上昇しました。景気回復の下でインフレ率が緩やかに上昇する中、中銀は2019年末のインフレ率見通しを、前回会合の+3.9%から+4.1%へ上方修正し、2020年末は+3.8%で据え置きました。いずれもインフレ目標の中心(それぞれ+4.25%、+4%)を下回り、安定したインフレ環境が続くとしています。これを受け、2019・2020年末の政策金利の想定を、それぞれ6.5%(前回会合比据え置き)、7.5%(同じく7.75%から下方修正)とし、利上げ幅はより緩やかになると見込んでいます。
4月23日、年金制度改革法案が下院の憲法法務委員会で可決されました。今後、議会で審議されますが、構造改革が一歩を進展したといえます。中銀も、インフレ体質の改善には構造改革の推進が必要と、声明文で再三指摘しており、年金制度改革が成立すれば、低金利が維持される可能性が高まると共に、ブラジルの国際的信用の向上が期待されます。
低成長、政治リスクが足かせ
レアル相場は対ドル、対円共に上値の重い展開です。ここに来て構造改革が進展したことは、レアルにとって追い風になると思われます。しかし、景気回復傾向が定着しつつも+1%程度の低位な経済成長にとどまり、低金利が長期化するとの観測がレアルの足を引っ張っていると見られます。
燃料値上げへの政治介入が取り沙汰されるなど、政治的な落ち着きのなさも、市場のレアル敬遠の一因になっている面があるほか、景気の盛り上がりも期待しにくく、レアルは当面方向感を見出しにくい展開になると考えます。
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