英国政府は、「EU残留」の働きかけ開始(欧州)

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英国のキャメロン首相は、2月20日に「EU(欧州連合)残留」の是非を問う国民投票を6月23日に実施することを決断しました。それ以降、首相は国民に「EU残留」の働きかけを始めました。一方、「EU離脱」への支持も根強く、国民投票を前に、経済や金融の不透明感が高まる可能性もありそうです。

【ポイント1】大企業は「EU残留」支持

中小企業経営者などは「EU離脱」支持
■6月23日の国民投票に向けて、「EU残留」、「EU離脱」の両派のかけひきが活発化するなか、大企業を中心とする産業界は「英国残留」を支持する姿勢を鮮明にしました。金融、自動車、航空、IT業界の大企業は、従業員らに雇用への懸念を材料に、「EU残留」への同調を求める働きかけをしたとされます。

■一方、英国の主権回復や移民の流入抑制を求める「EU離脱」への支持は、中小企業経営者などを中心に広がっています。EU統合による恩恵の受け方の違いが、支持の違いにつながっている面も見られます。

【ポイント2】「離脱で経済に打撃」か

政府に2つの報告書提出の義務
■政府は国民投票実施の10週間前までに、判断材料となる情報として、2つの報告書を議会に提出する義務があります。それらは、①EUとの交渉結果とそれに対する政府の所見、②英国がEUに残留することで生じる権利と義務、並びに、EUに加盟せずEUと取り決めを結んでいる国の実例、についてです。

■政府はこれらに先立ち、英国がEUを離脱した場合の貿易に対する検証結果を公表しました。それによると、「EU離脱」の場合、ノルウェーやスイスにならった場合でも、経済は打撃を受けるとされました。

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【今後の展開】金融市場の変動性の高まりに注意が必要

世論調査は、両派の拮抗に大きな変化なし
英国がEUを離脱した場合の悪影響は貿易のみならず、対英直接投資の減少、ロンドンの国際金融市場の地位低下、グローバル企業の英国撤退など、幅広い分野に及ぶと見られます。直近の世論調査では、両派の拮抗状態に大きな変化はなく、約2割強を占める態度保留者の判断が注目されます。

英ポンドは、実施決定後変動が拡大
為替市場では、英ポンドが国民投票の実施日決定直後、対ドルで急落し、その後反発するなど、変動が高まりました。国民投票までまだ3カ月以上あり、両派のかけひきが活発化することも予想されます。今後は、金融市場の不透明感が高まる可能性に注意が必要と見られます。

(2016年3月9日)

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