4月13日妥当レンジ 21,750円~23,500円
日米首脳会談通過で良くも悪くも織り込み進む
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<為替が激しく変動する可能性には注意>
■14日未明(現地時間)に米英仏の3カ国はシリアの兵器関連施設へミサイルによる軍事攻撃に踏み切った。ロシアとの対峙を深めるものとして危機感が広がったものの、トランプ大統領が「任務完了」を宣言したことから、市場のリスク懸念は過度に広がることはなかった。ただし、シリアへの化学兵器使用疑惑を巡って米国はロシア企業への制裁を検討しており、引き続き注意が必要である。
■13日に米議会に提出された為替報告書において、日本は引き続き為替監視国に指定された。従来からの「実質実効レート」だけでなく、「名目レート」でも円安を指摘されており、日銀の金融政策に対する制約が強まることも懸念される。
■17-18日に予定されている日米首脳会談において、米側は日米の2国間FTAを要求してくる可能性が強く、韓国同様に為替条項を求められることも懸念される。日本側も8年ぶりに日中経済対話(16日)を開くなど米国への牽制を行っており、通商・外交面での正念場が今しばらくは続くものと考えられる。
■為替に関しては円高・円安ともに大きく振れる可能性には注意したい。
<IFIS/TIWコンセンサス225:来期・再来期は小幅プラスだが>
■4月13日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今期はマイナスであったが、来期・再来期は小幅プラスであった。しかし、「コンセンサスDI」(前週比プラスになった企業数の比率)は、来期・再来期ベースともに50%割れであった。
■3月期決算企業の決算発表が来週から本格化する。企業側の業績見通しは例年以上に慎重である可能性が指摘される一方で、対象決算期が移行することによって、日本株の割安感は一段と強まることも予想される。このギャップは何処かで本格的な株価上昇によって埋められると考えるが、外交、国内政治、等のリスク要因が強調されるようであれば、後ずれすることも考えられる。しかし、日米首脳会談において対米リスクが表面化したとしても、市場の織り込み(下落?)が進むことにより上昇に向けた下地が形成されると考える。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
21,750円~23,500円 | (前回21,600円~23,350円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月13日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月13日)
今期予想EPS | 1322.66円 | (前週 1326.46円) |
来期予想EPS | 1392.39円 | (前週 1391.67円) |
再来期予想EPS | 1579.60円 | (前週 1578.78円) |
今期予想PER | 16.47倍 | (前週 16.26倍) |
来期予想PER | 15.64倍 | (前週 15.50倍) |
再来期予想PER | 13.79倍 | (前週 13.66倍) |
来期予想PBR | 1.14倍 | (前週 1.13倍) |
来期予想ROE | 7.30% | (前週 7.30%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.99% | (前週 7.01%) |
4月13日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
日経平均株価は、妥当レンジ下限付近に張り付いた状態が続いている。予想の下ブレの可能性(マイナス要因)と対象決算期移行(プラス要因)の狭間にあるが、割安なだけにダウンサイド・リスクは小さいと考える。国内外の政治情勢によっては5月一杯割安な状態に放置されると考えるが、一転急上昇の可能性も孕む。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 46.8%→53.2%→44.8%→51.6%→47.7%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、45.9%→59.1%→51.2%→47.7%→44.6%。
「コンセンサスDI」は再び来期・再来期ともに50%割れ。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |