1月26日妥当レンジ 23,150円~25,000円
米金利上昇による調整も次のステージへの底固め

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<米財務長官発言を機に円高加速>

■黒田総裁(23日)、ドラギ総裁(25日)ともに金融政策決定会合後の記者会見において出口戦略に関して牽制的な慎重なコメントに終始したにもかかわらず、ムニューシン米財務長官のドル安を歓迎する(と捉えられる)発言(24日)や、米GDP速報(10-12月期・26日発表)が市場予想を下回ったことなどから、ドル安基調に歯止めがかからない。また、米長期金利が2.725%と急上昇したこともあり、日本株市場は底値固めの展開となっている。
■米GDP(10-12月速報値)は、前期比年率+2.6%と7-9月期の同+3.2%から減速。市場予想(+3.0%)も下回った。しかし、減速の主因は在庫投資ならびに純輸出(輸出-輸入)の押し下げによるものであり、個人消費、設備投資は堅調であり表面上の数字より実態は悪くはない。
■トランプ大統領のダボス会議での講演(26日)は、「米国第一主義」を掲げるものの、自由貿易を支持する内容であったことから好意的に受け止められた模様である。
■今週は月末月初となることから経済指標の発表をはじめイベントが目白押しである。29日:米PCEデフレーター(12月)、30日:日本・家計調査・失業率・有効求人倍率(12月)、欧州GDP(10-12月)速報値、米トランプ大統領一般教書演説、30-31日:米FOMC、31日:米ADP雇用統計(1月)、中国製造業PMI(1月)、2月1日:ISM製造業景気指数(1月)、中国財新製造業PMI(1月)、2日:米雇用統計(1月)。
■株式市場にはポジティブな統計発表が続くと予想するが、欧州のGDPが予想(+0.5~+0.8)を上振れた場合のユーロ及び円高のリスク、中国地方政府の経済統計の水増しを修正する影響、にはやや注意が必要かもしれない。

<IFIS/TIWコンセンサス225は、全期間で前週比プラス継続>

■1月26日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は4週連続で全期間において前週比プラスとなった。コンセンサスDI(前週比プラスになった企業数の比率)もサンプル数が限定的であったが50超を維持した。3Q決算発表でのコンセンサス予想EPSの上乗せに期待する。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

23,150円~25,000 (前回23,150円~25,000円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月26日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月26日)

今期予想EPS 1212.46 (前週 1207.41円)
来期予想EPS 1356.00 (前週 1351.00円)
再来期予想EPS 1532.71 (前週 1529.46円)
今期予想PER 19.49 (前週 19.72倍)
来期予想PER 17.43 (前週 17.62倍)
再来期予想PER 15.42 (前週 15.57倍)
来期予想PBR 1.30 (前週 1.31倍)
来期予想ROE 7.44% 前週 7.42%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.86% (前週 6.81%)

1月26日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出





図1対象決算期の移行を視野に置けば、割安感は顕著。


 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 50.0%→64.766.757.8%→55.9%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、51.6%→61.166.362.755.9%。
サンプル数少ないもののプラストレンド維持。

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。