1月19日妥当レンジ 23,150円~25,000円
米経済成長期待の高まりを受けて24,000円台定着へ

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<IMFは世界経済見通しを上方修正>

■18日に発表された中国の各種経済指標は好調であった。4Q(10-12月)のGDPは前年同期比+6.8%と予想(+6.7%)を上回り、2017年は前年比+6.9%の成長となった。12月の鉱工業生産も前年同月比+6.2%と予想(+6.0%)を上回った。ただし、小売売上高は同+9.4%と予想(+10.1%)を大きく下回り、借入コスト上昇や信用リスク抑制等の影響が表れた。
■マーケットの懸念材料であった米連邦予算の失効問題は、22日に上院で2月8日までのつなぎ予算が可決し、 NY株式の高値更新に見られるように市場に安心感を齎している。
■22日にはIMFが世界経済見通しの改定を発表し、2018年の成長率は世界全体で+3.9%と10月から0.2ポイント上方修正された。大型減税の実施による米景気の上振れによって、日本の外需を押し上げるとし、両国の成長率が大きく改定されている。23日の東京市場では、こうした背景から日経平均は24,000円台を終値で確保できそうな動きとなっている。
■今週は、注目イベントが目白押しである。日銀金融政策決定会合(22-23日)、ECB理事会(25日)が開かれるほか、23-26日の日程で世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が開催される。26日には日本の消費者物価(12月)、米GDP速報値(10-12月)の発表が予定されている。日銀においては展望レポートの公表や出口戦略に関連した黒田総裁のコメントが注目される。また、ダボス会議のテーマは「分断された世界における共通の未来の創造」であり、米国第一を掲げるトランプ大統領の講演(26日)に注目が集まりそうだ。

<IFIS/TIWコンセンサス225は、全期間で前週比プラス>

■1月19日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は3週連続で全期間において前週比プラスとなった。コンセンサスDI(前週比プラスになった企業数の比率)も高水準を維持。今週後半から本格化する3月期決算企業の3Q決算発表には強い期待が集まるだろう。
■突発的な地政学リスクの発生等がなく、世界経済の拡大が堅調に推移するのであれば、年前半にも日経平均株価は25,000円台に乗せると考える。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

23,150円~25,000 (前回23,050円~24,900円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月19日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月19日)

今期予想EPS 1207.41 (前週 1197.19円)
来期予想EPS 1351.00 (前週 1350.49円)
再来期予想EPS 1529.46 (前週 1527.82円)
今期予想PER 19.72 (前週 19.76倍)
来期予想PER 17.62 (前週 17.51倍)
再来期予想PER 15.57 (前週 15.48倍)
来期予想PBR 1.31 (前週 1.30倍)
来期予想ROE 7.42% 前週 7.41%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.81% (前週 6.83%)

1月19日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出





図1妥当レンジ推計モデル上での長期金利上昇の影響は、0.1%に対して約300円。
現状(0.20.3%の上昇)は予想EPSの増加トレンドによって影響はかなり相殺されると考えている。


 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 61.950.0%→64.766.757.8%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、64.151.6%→61.166.362.7
堅調なプラストレンドが続く。

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。