12月22日妥当レンジ 22,650円~24,450円
2018年も株高トレンドは継続する
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<米税制改革法案成立、上昇トレンドは続く>
■米税制改革法案は、20日に米下院・上院の採決を経て、22日にトランプ大統領が署名し成立した。約30年ぶりの大幅な税制改正となる。また、つなぎ予算案(1月19日まで)も成立し、政府機関の閉鎖も回避された。
■日銀金融政策決定会合(20-21日)では現状維持を決定。景気判断も小幅に引き上げた。国内各種経済指標も好調である。26日発表の完全失業率(11月)は前月比0.1ポイント低下し、2.7%と24年ぶり、有効求人倍率は前月比0.01ポイント上昇し、43年10ヵ月ぶりの水準となった。全国消費者物価(11月)もコア総合で前年同月比+0.9%と2ヵ月連続で上昇している。
■欧米市場のクリスマス休暇と年末を控えて株式市場は閑散としているが、企業業績見通しの良化が続いていることから日本株には割安感が再び強まりつつある。半島情勢に対する警戒感の強まりから上値の重い展開となっているが、年明けの米国・中国の経済指標が堅調であれば、年初に大幅高となる可能性も期待できる。発表予定は次の通り:中国製造業PMI(12/31)、中国財新マークイット製造業PMI(1/2)、ISM製造業景気指数(1/3)、ADP雇用統計(1/4)、ISM非製造業景気指数・米雇用統計(1/5)。
<IFIS/TIWコンセンサス225 は来期・再来期プラス続く>
■12月22日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今期ベースはややマイナスとなったものの、来期・再来期ベースは前週比プラス(12週連続)。コンセンサスDI(前週比プラスとなった企業の比率)も来期ベースでは60超を6週連続維持した。
■年を越すことで、2018年度が大きく視野に入ってくる。現時点での2018年度の日経平均株価の妥当レンジは、24,700円~26,850円であり、強い上昇トレンドが継続すると考える。引き続き半導体・電池関連に加えて、耐久消費財の買い替えサイクルに入ってくることから自動車販売・家電量販などの内需企業にも注目が集まるものと考える。
■いずれにしても地政学リスクには十分注意を払いたい。末筆ですが本年も拙い文章をお読みいただき有難うございました。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
22,650円~24,450円 | (前回22,250円~24,050円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(12月22日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(12月22日)
今期予想EPS | 1192.11円 | (前週 1192.13円) |
来期予想EPS | 1342.48円 | (前週 1341.20円) |
再来期予想EPS | 1515.22円 | (前週 1512.39円) |
今期予想PER | 19.21倍 | (前週 18.92倍) |
来期予想PER | 17.06倍 | (前週 16.82倍) |
再来期予想PER | 15.12倍 | (前週 14.91倍) |
来期予想PBR | 1.27倍 | (前週 1.24倍) |
来期予想ROE | 7.44% | (前週 7.38%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.92% | (前週 6.91%) |
12月22日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
妥当レンジはもう一段、上方にシフト!
再び割安感が強まりつつある。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 65.1%→69.0%→64.9%→60.4%→61.9%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、68.2%→68.4%→61.4%→53.3%→64.1%。
年末年始を控えてサンプル数は少ないが、来期ベースは6週連続60%超。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |