9月15日妥当レンジ 20,750円~22,450円
米FOMCに向けて円安・株高の流れが続く

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<米消費者物価好調が強いインパクト>

■14日発表の米消費者物価(8月:総合)は、前月比+0.4%と予想(+0.3%)を上回って好調、15日発表の米小売売上高(8月)は前月比▲0.2%とマイナスとなったものの、こちらはハリケーン「ハービー」の影響と看做されたことから、市場は消費者物価の好調を評価してドル高・NY株高で推移している。
■19-20日の米FOMCでは、バランスシート縮小の決定が既成事実化しており、ほぼ計画通り(国債60億ドル、MBS40億ドル)に再投資縮小が決定される模様である。これについては既にマーケットでは織り込み済みと考えられるものの、今回はドットチャート(政策金利見通し)が示される予定で有り、前回と同様に2018年3回、2019年3回の利上げが示されれば、米長期金利の上昇期待を通じて、日本株へのプラスのインパクトが期待できると考える。
■15日に北朝鮮は弾道ミサイルの発射を行ったことから引き続き警戒が必要と考えられる。しかし、これ以上の威嚇行動は米国はもとより、中国・ロシアの姿勢変化を促す可能性が強いだけに沈静化するとの見方が有力である。
■18日に報道各社が「28日招集の臨時国会冒頭にも安倍首相が衆院解散を宣言し、衆院選を10月22日投開票とすることで調整中」と報じた。2019年10月の消費税率10%引上げに関して使途の見直し(子育て支援や教育無償化)を公約とする模様である。野党が瓦解しているため与党優勢と見られているが、今後の動向を見守りたい。

<コンセンサスDI はやや鈍い状態>

■9月15日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今期・来期が前週比マイナス。コンセンサスDI(=予想EPSの前週比プラス比率)は、全期間で50(中立水準)を維持したが、やや鈍い動きにあり、翌週移行を見守る必要がある。
■短期的には、米FOMCを視野に、妥当レンジ内(下限20,750円)への回帰を視野に株価は強い騰勢が期待できるが、FOMCで一旦材料出尽くしになる可能性には注意したい。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

20,750円~22,450 (前回20,450円~22,100円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月15日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月15日)

今期予想EPS 1160.62 (前週 1163.83円)
来期予想EPS 1282.87 (前週 1283.30円)
再来期予想EPS 1428.19 (前週 1424.82円)
今期予想PER 17.15 (前週 16.56倍)
来期予想PER 15.52 (前週 15.02倍)
再来期予想PER 13.94 (前週 13.53倍)
来期予想PBR 1.19 (前週 1.16倍)
来期予想ROE 7.67% 前週 7.73%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
7.28% (前週 7.42%)

9月15日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出




図1北朝鮮リスクの織り込みと、債務縮小の決定が見込まれる米FOMCを前に妥当レンジ内への回帰の動きが続くとみる。

 

 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 65.958.2%→54.7%→55.4%→50.0
再来期予想ベースのプラス企業比率は、55.2%→59.9%→52.5%→62.551.5%。
プラス比率は鈍化したが、前々週の円高の影響か??

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。