1月6日妥当レンジ 18,800円~20,350円
大統領就任式を前に模様眺めの展開も、強気スタンスで

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<米国・中国ともに経済指標は好調>

■大発会(4日)は大幅高となったが、その後のトランプ次期大統領による個別企業を名指しした自粛を促す発言や、英国のメイ首相がテレビインタビュー(8日)において単一市場(EU)へのアクセスよりも移民管理と立法権限の回復を優先する発言(市場は「ハードBrexitの可能性を警戒)を行ったことなどによって市場はやや揺さぶられる展開となっている。
■1月20日の大統領就任式を控えて、11日にはトランプ氏の記者会見が予定されており、目先的には模様眺めの展開が予想される。
■年明けに発表された経済指標(12月分)は、米ISM(製造業及び非製造業)、米雇用統計、中国財新・マークイット製造業PMIなどいずれも好調な内容を示すものであった。米雇用統計においては、非農業部門雇用者数の増加が15.6万人増と市場予想(17.8万人増)を下回ったものの、時間当たり平均賃金は前年同月比+2.9%と高い伸びとなった。
■日本株に関しては、2017年度は国内景気の浮揚と企業収益の改善を受けて上昇基調が続くという見方には変わりない。1)2017年度業績は、日経平均が20,946円を記録した2015年8月時点の業績見通しを超える、2)配当利回りから見ると2015年度に比べてかなり割安感が強いことによる。ただし、トランプ政権の不透明感や通商政策への懸念等から輸出関連はボラティリティの高い展開も考えられる。しかし、上昇トレンドの中での調整局面は押し目買いの好機になると考える。

 

<コンセンサス予想は来期・再来期プラスが続く>
■1月6日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)はサンプル数が極点に少ないながらも来期・再来期ベースは前週比プラスのトレンドを維持した。今期はマイナスとなったが、これは東芝(6502)の減損の影響によるもの。 「225コンセンサスDI」(前週比プラスとなった銘柄数の比率)は来期・再来期ともに70%台となっており、トランプ大統領就任でマーケットに弱気が台頭しても強気のスタンスを維持すべきと考える。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

18,800円~20,350円 (前回18,550円~20,050円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月6日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月6日)

今期予想EPS 1009.82 (前週 1010.48円)
来期予想EPS 1101.22 (前週 1100.15円)
再来期予想EPS 1210.05 (前週 1208.90円)
今期予想PER 19.27 (前週 18.92倍)
来期予想PER 17.67 (前週 17.37倍)
再来期予想PER 16.08 (前週 15.81倍)
来期予想PBR 1.30 (前週 1.27倍)
来期予想ROE 7.34% 前週 7.30%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.78% (前週 6.79%)

*1月6 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

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妥当レンジは2015年夏の水準に向けて上昇傾向が続くと考える。

 


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来期予想ベースのプラス企業比率は、 64.0%→70.3%→72.7%→65.5%→73.8%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、67.7%→68.9%→68.2%→69.8%→73.5%。

サンプル数はかなり少ないものの、70%台!!

 

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 

 

 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。