11月25日妥当レンジ 17,600円~19,000円
一時的な調整は押目買いの好機とみる

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

 

<OPEC総会での減産合意は見送りか?>

■サウジアラビアがOPEC総会(30日)の事前協議への参加を見送ったことから原油価格が下落した。イラン、イラクが減産に消極的であるところにサウジの変節によって合意が不透明な状況となっている。28日にはサウジのファリハ・エネルギー相が「OPECは必ずしも減産に踏み切る必要は無いと示唆した」と伝えられた。30日の総会では増産凍結について合意が示されたとしても具体性の無いものに留まることも考えられます。
■米国ではトランプ大統領の誕生によって、シェールオイル採掘の環境規制が緩和されるとの見方も有る。原油価格の下落は中東及びロシアへの影響が大きく、再び地政学的な不安定を生じさせる可能性には留意しておく必要が有るだろう。
■目先は、OPEC総会とイタリア憲法改正に関する国民投票(12/4)がリスクイベントとして認識される。他方で、今週は、米主要統計の発表が続く予定である。特に米雇用統計(2日)で好調な労働環境が再確認されれば、12月13-14日のFOMCでの利上げをマーケットが織り込む展開と予想される。
■リスクイベントは利益確定の切っ掛けとはなるものの、株式の上昇トレンドが終わったわけではないと考えている。したがって、深押しでも限定的で、押し目狙いはあまり期待しないほうがいいかも知れない。全国消費者物価や有効求人倍率など国内景気回復を示唆する指標が徐々に増えてきたこともあり、内需系の好業績・高成長銘柄の持続保有を推奨したい。

 

 

<今期・再来期のコンセンサス予想EPSはマイナスだが>
■11月25日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は今期・再来期が前週比マイナスとなった。再来期においては建設、不動産、セメント、資源関連などのマイナスが目立っている。プラスは、自動車、通信、商社など。前週比プラスとなった銘柄数の比率も、今期・再来期で50%を下回ったが、足もとは50%を挟んだ小幅な上下動を予想する。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

17,600円~19,000円 (前回17,250円~18,650円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月25日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月25日)

今期予想EPS 1004.85 (前週 1007.97円)
来期予想EPS 1073.82 (前週 1072.85円)
再来期予想EPS 1179.13 (前週 1179.66円)
今期予想PER 18.29 (前週 17.83倍)
来期予想PER 17.12 (前週 16.75倍)
再来期予想PER 15.59 (前週 15.23倍)
来期予想PBR 1.22 (前週 1.19倍)
来期予想ROE 7.13% 前週 7.12%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.71% (前週 6.73%)

*11月25 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

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妥当レンジの上方シフトが続く。12ヵ月移動平均予想EPSからの妥当レンジは、18,190円~19,670円。

 


%e5%9b%b32
来期予想ベースのプラス企業比率は、 48.9%→45.9%→46.3%→56.5%→50.8%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、54.7%→40.0%→47.4%→53.3%→48.4%。

50%前後の水準が続きそうである。

 

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 

 

 出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。