8月12日妥当レンジ 16,500円~17,800円
夏枯れから方向感に乏しいが、中小型の出直りに期待
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<7月の米小売売上高は前月比横ばい>
■週明けの東京市場は、先週末(12日)発表の米小売売上高(7月)が、前月比横ばいに留まったことから、為替が円高・ドル安となった。また、朝方に発表された4-6月の国内GDP速報が予想を下回ったこともあり、株式市場は上値の重い展開となった。
■12日発表の米小売売上高(7月)は、前月比▲0.0%(市場予想は+0.4%)、前年比+2.3%であった。自動車、オンライン販売は好調であったものの、ガソリン販売、衣料品、スポーツ・娯楽等が減少となった。これを受けて利上げ期待がやや後退し、為替はドル安となった。ただし、この結果に対しては、4-6月の反動、ガソリン価格下落、民主党・共和党の党大会の影響であり、拡大基調には変化がないとの見方もある。
■15日発表の4-6月国内GDP速報は、実質で前期比+0.0%(年率換算+0.2%)と低調に留まった。個人消費は堅調なものの、設備投資や輸出が鈍化した。
■今週は、7月の米消費者物価(16日)、7月の貿易統計(日本・18日)の発表があるだけで目立った統計発表はない。17日のFOMC議事録公表が注目される。
<コンセンサス予想EPSの低下トレンドはほぼ終息>
■8月12日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今期ベースは前週比プラスであったが、来期・再来期はマイナスであった。ただし、来期・再来期は特定銘柄(ソフトバンク)のマイナス影響を強く受けている。前週比プラスとなった銘柄の比率は来期46.5%、再来期51.2%と前週からは若干低下したものの、比較的安定している。決算発表も一巡したことから、(さらなる円高進行がなければ)下方トレンドは終息したと考える。
■妥当レンジとの対比では現株価水準はやや割安感が強い。しかしながら、NT倍率を見るとやや日経平均採用銘柄が突出しているように見受けられる。日銀のETF買入の増額が影響しているとも言われている。全体相場が堅調に推移するなら、夏枯れ相場が終わる頃には、中・小型銘柄の巻き返しが期待できると考える。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
16,500円~17,800円 | (前回16,200円~17,500円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(8月12日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(8月12日)
今期予想EPS | 996.73円 | (前週 993.76円) |
来期予想EPS | 1073.30円 | (前週 1081.92円) |
再来期予想EPS | 1184.90円 | (前週 1191.36円) |
今期予想PER | 16.98倍 | (前週 16.36倍) |
来期予想PER | 15.76倍 | (前週 15.02倍) |
再来期予想PER | 14.28倍 | (前週 13.64倍) |
来期予想PBR | 1.11倍 | (前週 1.07倍) |
来期予想ROE | 7.03% | (前週 7.12%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.93% | (前週 7.08%) |
*8月12 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
まだ上昇余地はある。閑散相場で短期的に振れやすい点には注意。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 38.0%→33.3%→43.2%→48.0%→46.5%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、32.7%→31.4%→47.3%→53.4%→51.2%。
再来期ベースは50%台を維持。為替次第だが底打ち感は強まる方向へ。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |