4月22日妥当レンジ 16,800円~18,150円
日銀プレイの結末は? GWを控えて波乱の展開
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<28日の日銀政策決定会合後に波乱も>
■先週は、月曜日(18日)に大幅な下落があったものの、週末比較では日経平均株価は724円の上昇であった。27-28日に予定されている日銀金融政策決定会合での追加緩和期待から大きな巻き戻しが生じた。
■今週は、28日発表の政策決定を焦点として、神経質な展開が予想される。26-27日の米FOMCにおいては利上げは行われないと予想されているが、6月利上げの可能性を視野に報道発表に為替が揺さぶられることも注意したい。
■日銀の追加緩和の可能性は市場には強く織り込まれていると考えられるだけに、緩和が見送られた場合はもちろんのこと、緩和内容が市場の期待を下回った場合は、為替と株価は大きな調整が生じることも考えられる。ブルームバーク等の報道にあったような「金融機関の貸出しにもマイナス金利を適用する」ような政策が発表されても、効果が不透明であり、弊害も予想されるだけに1月の決定会合の後のような市場の動揺も予想される。GWを控えて国内投資家が動き難い中で、為替の変動リスクにも警戒が必要である。
■日銀の緩和策で円安と株高が大きく生じる場合は、今度は消費増税の延期に暗雲が立ち込める可能性もある。衆院補選(北海道)は辛勝だっただけに解散同日選挙の可能性が大きく後退した。
■3月期決算企業の発表はまだ始まったばかりであるが、まだ特段悪いという印象はないが、特に28日発表予定のソニー(6758)、村田製作所(6981)、パナソニック(6752)、アイシン精機(7259)、デンソー(6902)あたりは前半の山場として注目する必要がある。今年はカレンダーの関係から5月第2週に発表が集中していることもあり、前半発表企業の動静が強く影響しそうだ。
<コンセンサス予想EPSは再来期がプラスであるが>
■4月22日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今期が豊田通商(8015)の影響から大幅マイナスとなった。サンプル数が少なく、必ずしも傾向を正しく表しているとは言えないものの、好転の兆しは見られない。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
16,800円~18,150円 | (前回16,400円~17,750円) |
*「IFIS/TIWコンセンサス225」(4月22日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(4月22日)
今期予想EPS | 909.92円 | (前週 920.96円) |
来期予想EPS | 1084.62円 | (前週 1087.05円) |
再来期予想EPS | 1163.96円 | (前週 1163.78円) |
今期予想PER | 19.31倍 | (前週 18.29倍) |
来期予想PER | 16.20倍 | (前週 15.50倍) |
再来期予想PER | 15.10倍 | (前週 14.48倍) |
来期予想PBR | 1.12倍 | (前週 1.08倍) |
来期予想ROE | 6.94% | (前週 7.00%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
6.82% | (前週 6.95%) |
*4月22 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
来期予想ベースのプラス企業比率は、 45.1%→41.4%→43.4%→39.6%→33.3%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、48.8%→40.7%→40.6%→25.3%→37.3%。
サンプル数が極端に少ないものの、回復傾向は殆ど見られず。
[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
移動平均コンセンサスEPSに基づく妥当レンジでも先週末終値は下限を上回っており、妙味が低い。
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |