1月22日妥当レンジ 16,400円~17,700円
週末の日銀政策決定会合への注目高まる

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<一旦底入れであるが、ここからの反発は小さいだろう>
■21日(木)のECB理事会後のドラギ総裁の記者会見において、次回の理事会(3/10)において追加緩和実施を検討するコメントからマーケットに安心感が広がった。ドル円も116円割れから118円台に。原油価格も32ドルを回復した。
■26-27日の米FOMCでも利上げに関して慎重な声明が出てくる可能性がある。今週前半はマーケット心理の回復を受けて緩やかな上昇が期待される。
■28日:商業動態統計、29日:消費者物価指数、家計調査、鉱工業生産など12月の国内主要統計の発表が続く。28-29日には、日銀金融政策決定会合が開催されると同時に1月展望レポートが発表される。ドラギ総裁発言を受けて、日銀の追加緩和期待も高まってきている。この点に関してはやや要注意である。マーケットが過剰に反応した場合には、追加緩和の見送りあるいは小規模に留まった場合の反落(=失望売り)も予想される
■外部要因の大きなマイナスが無い限り、3Q決算発表を織り込みつつ、2月は緩やかに株価は回復すると思われる。しかし、1月の米国統計には寒波の影響が出てくる可能性も考えられることから再び円高に振れる局面もありそうである。フルインベストメントは、未だここでは控えたい。
■25日発表の12月の貿易統計は2カ月ぶりに貿易収支が黒字となったものの、原燃料安によって輸入が減少したことが要因であり、輸出は引き続き弱い状態が続いている。輸出金額は前年同月比▲8.0%(数量▲4.4%)。米国向け輸出が16ヵ月ぶりにマイナスとなった。

 

<前週比プラス企業比率はアベノミクス後の最低水準>
■1月22日時点のIFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、3週続けて全期間マイナスであった。しかし、前週比で予想EPSがプラスになった銘柄の比率は、44.4%(来期ベース・変化なし銘柄を除く)とやや改善しており、3Q決算発表を直前に控えて織り込みが進んでいることが覗える。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

16,400円~17,700円 (前回16,800円~18,100円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月22日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月22日)

今期予想EPS 1001.41 (前週 1004.56円)
来期予想EPS 1118.78 (前週 1120.90円)
再来期予想EPS 1220.29 (前週 1221.97円)
今期予想PER 16.93 (前週 17.07倍)
来期予想PER 15.16 (前週 15.30倍)
再来期予想PER 13.90 (前週 14.03倍)
来期予想PBR 1.09 (前週 1.12倍)
来期予想ROE 7.18% 前週 7.29%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.77% (前週 6.85%)

*1月22 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

図1企業業績見通しの下方トレンドから妥当レンジの下方シフトが株価の下げより大きかった。

 

図2来期予想ベースのプラス企業比率は、 51.2%→51.9%→41.1%→31.9%→44.4%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、48.8%→49.0%→38.5%→35.2%→47.9%。

業績修正の織り込みは進んだのか?

[注:4~5月は例年、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]

 

 

図3今期予想EPS1000円割れ間近に


 

 図4予想PER12ヵ月フォワード予想ベース)は、昨年9月を下回り割安感強い。


 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

 

株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。