11月14日妥当レンジ 16,750円~19,500円
上場企業最高益に迫る??

2014/11/18

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<日経新聞集計1,654社の経常増益率は-0.1%>
■先週末に2Q決算が出揃った。日本経済新聞が集計した金融を含む1,654社の15/3期通期予想は、前期比で売上高+3.6%、経常利益-0.1%、当期利益+2.3%であった。繊維、機械、電機、精密といった輸出産業が好調な一方で、内需型のパルプ・紙、石油、非製造業が不振であり、円安によって大きく明暗を分ける結果となった。
■17日に発表された7-9月期のGDP速報では前期比で実質0.4%(年率換算1.6%)のマイナスとなった。民間最終消費支出が前期比0.4%のプラスに留まる中で、民間住宅投資が6.7%のマイナスとなった。4-6月が年率換算で7.3%のマイナスであったことから、2014年度GDPはマイナスに陥る可能性が強まっている。
■17日の東京株式市場では、景気が予想外に悪いことが認識され、日経平均株価が17,000円を割り込む大幅な下落。ただし、消費税率引き上げ延期の可能性が強まったことから、下落は一定の歯止めがかかるものと考えられる。今後の企業業績動向と為替(円安)を睨んだ神経質な展開が予想される。

 

<コンセンサス予想EPSは全期間プラスだが>
■IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、今期・来期・再来期ベースのいずれもがプラスとなった(前週の値がイレギュラーな可能性もある)。日経平均は特定の企業の影響が強いことや、グローバル企業のウエイトが高いことからマーケットの企業全体(=日本経済)を必ずしも反映していない面もある。市場替えの影響もあるので一概には言えないが、日経予想から逆算で算出したJASDAQの今期予想EPSは5月時点を下回っている(5/16時点と11/14時点のEPSの対比は、東証1部72.85→73.89円、2部26.03→26.62円、JASDAQ43.28→40.45円)。
■妥当レンジは引き上げるものの、長期金利が低く抑えられていることが、理論株価を押し上げている点には注意を要する。期待リターンや配当利回りではやや警戒水準にある点には留意すべき。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

16,750円~19,500円 (前回 16,350円~18,950円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(11月14日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(11月14日)

今期予想EPS 916.60 (前週 911.38円)
来期予想EPS 1016.82 (前週 1011.71円)
再来期予想EPS 1114.00 (前週 1108.17円)
今期予想PER 19.08 (前週 18.52倍)
来期予想PER 17.20 (前週 16.68倍)
再来期予想PER 15.70 (前週 15.23倍)
来期予想PBR 1.34 (前週 1.30倍)
来期予想ROE 7.77% 前週 7.79%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.70% (前週 6.77%)

*11月14日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

図1 

妥当レンジは2009年以降、最高水準を更新中。 

 

 図2

来期予想ベースのプラス企業比率は、44.8%→57.1%→46.3%→59.5%。 再来期予想ベースは48.9%→58.4%→45.9%→57.1%。決算発表終了から今後はトレンドが出てくると考える。

 

図3 

投資家の期待リターン(要求利回り)は10月の下落前の水準より低下しており、センチメントの変化により、株価が大きく振れる可能性が強い。 

 

図4

NT倍率の上昇は、相場の加熱感を示す傾向が強いが、日経平均が輸出企業のウエイトが高いことも要因である。 長期トレンドではNT倍率は上昇傾向にあるが、ここは一旦収束(NT倍率低下)か。 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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