9月26日妥当レンジ 15,700円~18,250円
短期は強気、中長期は円安・株高の構図崩壊が懸念材料

2014/09/30

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<米国株はやや売られるものの、日本株は堅調>
■先週末に米国株は9月12日の押し目を下回る水準まで下げた。これは潜在的に米長期金利の上昇に対する懸念が残っていることと、債券運用で世界有数のPIMCOのビル・グロース氏の移籍が、26日に発表されたことが影響していると考えられる。一方で週明けの日本株市場は小幅ながら日経平均が反発したのは、109.40円台にドル円が上昇したこと、GPIFの運用改革への期待感が強くあることが背景にあると考えられる。
■8月の個人消費は、コンビニの既存店売上高(前年同月比)は7月の0.7%減から8月は2.4%減へと悪化したのに対して、スーパー売上高(店舗調整後・前年同月比)は2.1%減から0.1%減へと改善した。台風や気温の影響を受けやすいコンビニに対して、スーパーは食料品が消費増税後ではプラスに転じたことが貢献している。
■今週は週末(10/3)に米雇用統計の発表を控えるが、国内も30日に有効求人倍数・失業率、鉱工業生産、1日に日銀短観が発表される。仮に国内統計が景気に対して思わしくない場合でも金融緩和期待や財政出動期待などから株価は下支えされるものと考えられる。米雇用統計もどちらに転んでも日本株には影響は小さい(雇用統計が悪ければ金利引き上げ時期が遠のき米株式市場にはプラス、その逆であればドル高が進む)。しかし、これは円安=株高の構図が維持されている限りである。円安による消費者物価の上昇と賃金上昇との乖離による景気後退感が高まれば維持されない可能性も十分に考えられる。

 

<コンセンサスEPSは全期間で大きくプラス>
■IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、全期間で大きくプラスとなった。前週比プラス企業比率はサンプル数が時期的に減少したものの来期ベースで59.1%と強いトレンドが表れている。今回も妥当レンジを若干引き上げる。
■日経平均株価は依然としてレンジ下限付近にあり、上昇余地は大きい。インプライド・リスク・プレミアム(来季ベース)も予想EPSの増加を受けて若干上昇した。高ROE銘柄に対する物色が続きそうである。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

15,700円~18,250円 (前回 15,650円~18,150円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(9月26日)来期予想ベースEPSをもとに算出

◇IFIS/TIWコンセンサス225(9月26日)

今期予想EPS 891.03 (前週 885.05円)
来期予想EPS 998.70 (前週 996.07円)
再来期予想EPS 1092.02 (前週 1088.18円)
今期予想PER 18.21 (前週 18.44倍)
来期予想PER 16.25 (前週 16.39倍)
再来期予想PER 14.86 (前週 15.00倍)
来期予想PBR 1.26 (前週 1.27倍)
来期予想ROE 7.76% 前週 7.76%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.77% (前週 6.70%)

*9月26日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

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日経平均妥当レンジはさらに上方にシフト。レンジ中央値は16,975円。

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 来期予想ベースのプラス企業比率は、51.8%→51.4%→56.1%→59.1。再来期予想ベースは53.8%→48.2%→52.9%→61.5%。上向きトレンド継続。

 

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 コンセンサスEPSの上向きトレンド継続。来期予想EPSの伸びは、ファナック(6954)、ホンダ(7267)、トヨタ自動車(7203)、TDK(6762)などが寄与。

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 配当利回りと10年国債利回りのスプレッドは0.92%とトレンド的には悪くない水準にある。企業が配当性向を高めれば株価上昇余地はまだ十分ある。

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。