7月25日妥当レンジ 15,100円~17,500円
米経済指標を睨みつつ、上昇局面入りか!

2014/07/29

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<週末の雇用統計を視野に積極的に動く局面か>
■今週は、8/1(金)の米雇用統計発表を視野に膠着した展開も予想されるが、雇用統計が著しくコンセンサスを下回らない限り、ポジティブな流れが続くと考える。
■29日~30日に米FOMCが予定されているが、QE3の縮小が予定通り行われるだけで基調の変化はないと思われる。
■先週24日に6月の貿易統計が発表され、注目の輸出数量は前年同月比1.7%の減少であった。貿易収支は8,222億円の赤字であり、6月としては過去最悪となった(1979年以降)。
■米国長期金利(10年国債利回り)は、先週末2.469%と低水準が続いているが、ドル円相場は101円台後半とやや円安に振れており、リスク回避の円高が一服した状態にある。ガザ地区ならびにウクライナでは混乱が続いているものの、国際金融市場に影響を与えるものではないとの判断が広がっているものと考える。

 

 

<コンセンサスEPSは決算前の非アクティブ状態であるが>
■IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は、2週続けて前週比で今期ベースは若干プラスとなったものの、来期・再来期ベースではマイナスとなった。決算発表直前で全体的に非アクティブ化(変化企業数のウエイトが低下)が顕著であった。特定銘柄のコンセンサス予想EPSが減少したことで来期・再来期ベースのコンセンスEPSの押し下げに繋がったが、前週比プラス企業比率は50%超に回復した。今週は3月期決算企業の1Q決算発表の前半の山場となる。基本的には前週も述べたとおり、日本株市場には割安感が強く、会社計画通りの進行であればポジティブな反応を示すと考える。
■米アップル社のiPhone6に関して9月発売の観測が高まっている。9月発売を前提にすれば、8月のどこかの時点では正式なアナウンスメントが行われると考えるべきであろう。iPhone関連銘柄として、携帯キャリア、携帯販売各社、コネクター・タッチパネル・セラミックコンデンサーなど電子部品各社、アクセサリー関連、ゲームなどコンテンツ会社に要注目。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

15,100円~17,500円 (前回 14,900円~17,300円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(7月25日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(7月25日)

今期予想EPS 880.91 (前週 880.07円)
来期予想EPS 983.35 (前週 983.69円)
再来期予想EPS 1078.63 (前週 1082.36円)
今期予想PER 17.55 (前週 17.29倍)
来期予想PER 15.72 (前週 15.47倍)
再来期予想PER 14.33 (前週 14.06倍)
来期予想PBR 1.22 (前週 1.20倍)
来期予想ROE 7.78% 前週 7.79%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.83% (前週 6.85%)

*7月25日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

図1 
妥当レンジの上方へのシフトが続く中で、日経平均株価は引き続きレンジ下限近くの割安な水準。

 

図2 

 プラス企業比率は非アクティブながらも58.1%に回復。

 

図3

 新興市場には相対的割安感が低下している。 

 

図4

日経VIは、14.78にまで低下。上昇相場の前兆か??

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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