6月20日妥当レンジ 14,850円~17,200円
NY株高に連動した相場展開続く

2014/06/24

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<FOMCは緩和姿勢を継続、イラク情勢は大きな動き無し>
■米FOMC(17~18日)は予定通り資産購入額を月間450億ドルから350億ドルに減額された。イエレン議長は出口戦略の方向性を年内に示すと表明したが、利上げの時期については経済情勢次第であると述べるに留まった。
■イラク情勢は、米国が空爆など軍事関与に慎重姿勢を示していることにより、硬直した状態にある。シリアやイランなど周辺国の動き次第であるが、中東全域への拡大が危惧されたが、現状ではイラク内に留っている。
■5月の貿易統計(18日発表)は、貿易収支の赤字額は9,089億円に留まったものの、輸出額は前年同月比2.7%減少し、15ヵ月振りの減少となった。日系自動車メーカーの海外生産の拡大による自動車の減少が影響した他、国内の人材不足がボトルネックになっている可能性がある。今後の経済成長に不安を残す内容である。

 

<大型インデックス銘柄に優位性>
■IFIS/TIWコンセンサス225(日経225のコンセンサスEPS)は前週比で僅かであるが全期間において減少した。前週比プラス企業数とマイナス企業数はほぼ50%で均衡しているが、決算発表後のアジャストメントは終了したようである。今回は、長期金利の低下などから妥当レンジは引き上げとなる。
■FRBが緩和姿勢を継続するスタンスを堅持したことから米長期金利は再びやや低下傾向にあり、その結果、ドル円も101円台後半と膠着している。ただ、目先的には米国景気、米株式市場に日本株式は追従しており、米国市場次第の展開が続きそうである。外部環境の動きによって小幅な調整は生じるものの、引き続き妥当レンジ中位より下の水準にあり、緩やかな上昇基調は保たれると考える。
■NT倍率、日経平均/日経JASDAQ平均の水準から大型インデックス銘柄に優位性は残ると考える。

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

14,850円~17,200円 (前回 14,650円~17,000円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(6月20日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(6月20日)

今期予想EPS 882.68 (前週 883.45円)
来期予想EPS 980.67 (前週 981.41円)
再来期予想EPS 1074.34 (前週 1075.18円)
今期予想PER 17.39 (前週 17.09倍)
来期予想PER 15.65 (前週 15.38倍)
再来期予想PER 14.29 (前週 14.04倍)
来期予想PBR 1.21 (前週 1.20倍)
来期予想ROE 7.76% 前週 7.77%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.77% (前週 6.79%)

*6月20日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 図1
妥当レンジは年初の水準を上回る。株価の割安感は引き続き強い。 

 

図2

プラスの変化は弱まわっている。ほぼ50%を維持しているが今後の動向には注意。 

 

 

図3

NT倍率は低下傾向が続く。大型株に想定的優位性あり。 

 

図4

日経VIの低下傾向強まる。大きな上昇のシグナルか?はたまた下降の前触れか? 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。