2月21日妥当レンジ 14,350円~16,600円
来年度を視野に押し目では強気のスタンス

2014/02/26

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<1月の貿易統計は過去最高の赤字>
■20日(木)発表の1月の貿易統計は2兆7,900億円の赤字となった。ただし、同日に発表された中国の製造業景況感指数(HSBC、2月)が下振れしたこともあり、為替は一時的に大きく円高に振れた。これだけでは評価は難しい面があるものの、貿易赤字はこれまでは円安→株高要因と捉えてきたが、株価にとっては今後はマイナスに働く可能性も出てきている。
■米国株式市場が米国の経済指標が寒波の影響から思わしくない中でも堅調に推移しており、日本株も当面は米国株に連動して底堅く動くことが予想される。

 

<4月の消費税率引き上げの影響と年度替わりをどう見るか>
■2月21日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、前週比で今期・来期・再来期ともにしっかりしたプラスとなった。今回は妥当レンジをやや上方に引き上げる。ただし、ここから修正発表が出て来る3月下旬頃まではコンセンサスにあまり変化の無い展開が続くと考えられる。
■4月の消費税率引上げによる影響が最大の懸念事項であるが、他方で企業業績見通しも年度替わりが見込まれるだけにマイナスとプラス要因がここからの3ヵ月間は混在する。先週の日銀政策決定会合では追加量的緩和は見送られたが、消費税引き上げ前後の切り札としては温存されている。
■上値には慎重に構えつつも押し目は強気のスタンスが望ましいことは言うまでもないだろう。来年度ベースの妥当レンジは15,400~17,900円である。下限の15,400円を下回る現水準はまだ強気を維持できると考える。

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

14,350円~16,600円 (前回 14,000円~16,250円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月21日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月21日)

今期予想EPS 768.26 (前週 764.52円)
来期予想EPS 891.79 (前週 887.30円)
再来期予想EPS 990.34 (前週 987.46円)
今期予想PER 19.35 (前週 18.72倍)
来期予想PER 16.67 (前週 16.13倍)
再来期予想PER 15.01 (前週 14.49倍)
来期予想PBR 1.32 (前週 1.28倍)
来期予想ROE 7.93% 前週 7.96%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.76% (前週 6.84%)

*2月21日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 

 

 

 

 

図1 

株価は依然として妥当レンジの下限付近にあり、底堅い展開が期待される。 

 

 

図2 

期待リターンは7.35%に低下。 

 

 図3

 ここから3月下旬まではコンセンサスEPSの大きな変化は生じ難い。 

 

 

 図4

NT倍率からみて日経平均の割高感はない。。 

 

 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。