2月14日妥当レンジ 14,000円~16,250円
円安株高のトレンドが試される時

2014/02/18

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<10-12月のGDP(日本)は実質1.0%に留まる>
■17日(月)発表の10-12月GDP(日本・前期比年率ベース)は、市場予想の2.6~2.8%を大きく下回り、実質1.0%に留まった。4-6月の3.9%から7-9月1.1%に続いて失速が明確になった。現在の株価下落は、新興国や米国量的緩和縮小の影響が短期的にはあるものの、日本経済の中期的停滞に対する懸念の表れとの見方も台頭しつつあると考える。
■トレンドの変化を占うのが、20日(木)発表の1月の貿易統計。貿易収支の赤字は2013年1月に記録した1兆6335億円を大幅に上回る過去最高の赤字が見込まれている。これまでの市場の反応は、貿易赤字拡大→円安→株高、であった。このトレンドが維持されるのかどうかが注目点である。

 

<ほぼ決算は出揃ったが>
■2月14日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、前週比で今期・来期・再来期ともに若干のプラスであった。しかし、11月の四半期決算の終了時点と比較すると今期はマイナスであり、来期、再来期のプラスも小幅である。市場の期待を上回るというほどの水準にはなっていない。

図1
■今回は日経平均の妥当レンジを据え置く。円安効果が織り込まれた後の企業業績の変化には大きくは期待できない。また、国内景気動向も不透明という点で、積極的に株価が上昇する展開は期待し難い。しかし、日経平均株価は妥当レンジの下限近くにあることからダウンサイドリスクは大きくないと思われる。下落局面において輸出関連銘柄も下げるようであれば押し目として注目したい。米国、欧州の景気は2014年度は上向きにあり、グローバル企業においてはそのメリットを享受できると考える。 

 

 

◇日経平均妥当水準(レンジ)

14,000円~16,250円 (前回 14,000円~16,250円)

*「IFIS/TIWコンセンサス225」(2月14日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(2月14日)

今期予想EPS 764.52 (前週 764.41円)
来期予想EPS 887.30 (前週 885.06円)
再来期予想EPS 987.46 (前週 986.05円)
今期予想PER 18.72 (前週 18.92倍)
来期予想PER 16.13 (前週 16.34倍)
再来期予想PER 14.49 (前週 14.67倍)
来期予想PBR 1.28 (前週 1.29倍)
来期予想ROE 7.96% 前週 7.91%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
6.84% (前週 6.76%)

*2月14日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

 

 

 

 

 

 図1

株価は妥当レンジの下限付近にあり、ダウンサイドリスクは限定される水準にある。 

 

 

 図2

期待リターンは7.43%に上昇(割高感解消)。

 

 

図3 

 向こう12ヵ月の移動平均予想EPSは緩やかな増加トレンド。 

 

 

 図4

日経平均VIは昨年5月頃に比べれば穏やか。 

 

 

 

 

出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。