8月9日妥当レンジ 13,350円~15,400円
妥当レンジ下限に近接、ここからは押し目買いか!?

2013/08/13

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<(明確な)根拠なき株価下落続く>
■先週もまた日本株は大きく下落した。為替が円高方向に振れていることが要因として挙げられる。円高の根拠については、(米国市場混乱による)リスク回避の円高、サマーホリデーの閑散相場を狙った投機筋の仕掛け、円安ポジションの巻き戻し、などの説明がなされているが、いずれもシックリくるものではない。
■12日(月)に4-6月GDP速報が内閣府から発表された。年率換算で前期比+2.6%増と市場予想(+3%以上)を下回った。これにより消費税引き上げに対する懐疑論が浮上し、それが市場を不安を拡大させている。

<コンセンサス予想EPSは弱含み続く>
■8月9日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、いずれの対象期間(今期、来期、再来期)も予想EPSは、前週比マイナスとなった。今期予想ベースでは4週連続、来期・再来期予想ベースでは2週連続であった。日経平均妥当レンジを引き下げる。
■主要企業の決算発表はほぼ終わっている。これまで指摘してきたように1Qのファンダメンタル業績は、株価押し上げ材料にはならなかった。
■今回、妥当レンジを引き下げたが、日経平均株価の下落は大きく、現株価水準は下限値に近い。反転の切っ掛けとなるイベントを予測できないものの、押し目買いの水準と考える(少なくとも現水準からの見切り売りは避けた方が良いと思われる)。
■今回、GDP速報が株価変動要因であったように、アベノミクスに対する評価となる国内の経済指標には注意を払う必要がある。特に19日発表の貿易統計(7月)は数量面に注目したい。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,350円~15,400円 (前回 13,750円~15,900円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(8月9日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(8月9日)

今期予想EPS 788.64 (前週790.49円)
来期予想EPS 884.51 (前週885.25円)
再来期予想EPS 974.83 (前週975.21円)
今期予想PER 17.26 (前週 18.30倍)
来期予想PER 15.39 (前週 16.34倍)
再来期予想PER 13.97 (前週 14.83倍)
来期予想PBR 1.24 (前週1.31倍)
来期予想ROE 8.06% 前週8.00%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.84% (前週6.62%)

*8月9日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

妥当レンジも下方にシフトしているが、それ以上に日経平均株価の下落は大きく、下限に達しつつある。                  

 


期待リターンの上昇は市場センチメントの悪化を物語っている。 

  

 

 

 中小型株の下落が大きいものの、まだ大型株に対して優位(割安)と言うほどの水準ではない。

  

               

  

前週比で予想EPS(来期ベース)がプラスとなる企業数比率は50%前後で推移している。本格的な業績相場には比率が60%以上が必要と考える。

            

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
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株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
TIWマガジン「投資の眼」   株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。

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