6月14日妥当レンジ 13,000円~15,000円
米FOMCを睨んだ神経質な展開続く

2013/06/18

【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】

<18-19日の米FOMCを睨んだ神経質な展開>
■米経済回復傾向を受けたFRBの資産買入プログラム縮小に対して神経質なマーケット状況が続いている。緩和縮小による米国金利の上昇によって米株式市場の下落と同時にリスクマネーの縮小が懸念されている。米国投資家の対外投資が萎縮することによって新興国などに強いマイナス・インパクトを齎すとの見方である。
■一般的に米国金利の上昇は、円安要因であるものの、リスクマネーの縮小による円売りポジションの解消から一時的に円高に向う可能性も懸念されており、疑心暗鬼のマーケット展開が続きそうである。19日のバーナンキFRB議長の会見で警戒感を和らげることが出来るかどうかにマーケットは注目している。

<「期待リターン」を見れば衆議院解散前の水準>
■6月14日時点の「IFIS/TIWコンセンサス225」は、全期間(今期・来期・再来期)において小幅にプラスであった。ただし、個々の動きは小さく、プラス面ではデンソー(6902)、KDDI(9433)、マイナス面ではジェイテクト(6473)がやや目立った程度であった。日経平均の妥当レンジは今回変更は無い。
■14日時点の日経平均株価(12,686.52円)は、妥当株価レンジの下限よりも低位にある。来期ベースの期待リターン(=投資家の要求利回り)は、7.75%に上昇しており、昨年11月の野田総理の衆議院解散発言の前の水準にほぼ等しくなっている。
■TIWでは、日本株は既に割安水準と考える。ただし、前回も申し上げたが、中小型株全般はまだ1部市場に比べて相対的な割安感が低い。輸出大型株に優位性がある展開が続くと考える。

◇日経平均妥当水準(レンジ)

13,000円~15,000円 (前回 13,000円~15,000円)

  *「IFIS/TIWコンセンサス225」(6月14日)来期予想ベースEPSをもとに算出

 

◇IFIS/TIWコンセンサス225(6月14日)

今期予想EPS 799.20 (前週796.65円)
来期予想EPS 886.87 (前週884.27円)
再来期予想EPS 980.51 (前週977.29円)
今期予想PER 15.87 (前週 16.16倍)
来期予想PER 14.30 (前週 14.56倍)
再来期予想PER 12.94 (前週 13.18倍)
来期予想PBR 1.15 (前週1.16倍)
来期予想ROE 8.07% 前週7.94%)
来期予想
インプライド・リスク・プレミアム
 
6.93% (前週6.76%)

*6月14日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出

 

 

妥当レンジ下限を日経平均は下回る状態。企業業績が下ブレする可能性の低いタイミングだけに売られ過ぎと判定できるだろう。

                

  
 株価下落により期待リターンが上昇。予想ROE(来期ベース)もやや改善。 期待リターンの水準は昨年11月の衆議院解散前と同レベル。     

  

 

 

予想ROE(来期ベース)の改善にはBPSの増加抑制が必要。

            

  

予想配当は大きく積み増される見通しであるが、今期予想をベースにすれば配当性向は大きく低下する。順調に業績が推移すれば増配の可能性も高いということだろうか?  

        

         出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成 
     いずれも2012年1月から表示

「IFIS/TIWコンセンサス225」について
IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。
理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。
4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。
〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕
会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。
〔予想EPS増減社数〕
今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。
〔予想PBR(今期末)〕
前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。
〔予想ROE(来期ベース)〕
前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。
〔リスクプレミアム〕
特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り

    
 
株式会社ティー・アイ・ダヴリュ
独立系証券リサーチ会社TIWのアナリスト陣が、株式市場における時事・トピックスや業界動向など、取材に基づいたファンダメンタル調査・分析を提供するともに、幅広い視野で捉えた新鮮な情報をお届けします。