【TIWモデルポートフォリオ】
『TIWモデルポートフォリオ』の月間レポート(4月)
■『TIWモデルポートフォリオ』は、成長性があるにもかかわらずマーケット平均に対してバリューエーションで割安な銘柄をピックアップすることを基本方針とし、その投資手法の実証を行うための参考(仮想)ポートフォリオである。
■2013年4月度のパフォーマンス結果(月間)は、絶対パフォーマンスは+19.39%、対TOPIX(差異)では+6.79%、対日経平均(差異)では+7.59%と年初から4ヵ月連続してインデックスのリターンを上回った。年初からの絶対パフォーマンスは+67.66%、対TOPIX(差異)では+32.15%、対日経平均(差異)では+34.32%であった。
■4月中は1銘柄を除外し、新規に2銘柄を採用した(4頁を参照)。4月の月間パフォーマンスへの寄与が大きかったのは、トランザクション(7818)、きちり(3082)、DVX(3079)、藤森工業(7917)、JCU(4975)、富士重工業(7270)、ショーワ(7274)、オーデリック(6889)。
■参考までに累計(2011/12/27からの16ヵ月間)は、絶対パフォーマンスでは+117.09%、対TOPIX(差異)では+56.21%、対日経平均(差異)では+52.87%である。
TIWモデルポートフォリオ」の基本的考え方
TIWは、“個人投資家が株式投資においてプラスのパフォーマンスを得るにはどのような投資戦略を採ることが望ましいのか”、を考えることからスタートしました。その議論の中で、次の3つを実現することを目指しました。
◇ 金融・経済について専門知識がなくても株式投資が楽しめるようにする。
◇ 投資に関して膨大な時間を費やさなくても投資成果を期待できるようにする。
◇ ポートフォリオの構築後は、銘柄入替は余裕を持って行えるようにする。
日々、海外経済、国際金融市場の話題が市場を駆け巡るようになりました。10年以上前に比べて株式投資は難しくなっているように感じます。マーケットの動きに振り回されている投資家の方も多いのではないかと思います。
個別企業の株価変動は、企業個別要因と、マーケット要因が含まれています。これを或る程度、正確に捉えてゆくことが重要だと考えています。企業の個別要因だけを切り出して考える方法として、「Fモデル」という理論株価の算出方法を作成いたしました。
「Fモデル」はその時点のマーケットにおける割安度合いを算出する手法です。変動するマーケットに対して、割安・割高の度合いを常に相対的に考えることを基本としています。ニュートラルな感覚を身に着けることによって、マーケットの動きを冷静に見ることが可能になると考えています。
「TIWモデルポートフォリオ」では、「Fモデル」において割安な銘柄を採用し、割安でなくなった銘柄を除外することを原則的に行っております。もちろん、「Fモデル」も万能ではありませんから、個々の企業に対してある程度は個別に考える必要はあります。また、分散効果を得るために、企業規模、業種、グローバル度合いなどから特定のタイプに集中しないように心がけることも重要です。
いずれにしても、「Fモデル」の考え方をベースとして投資成果が期待できることを実証することを目的にしております。
「TIWモデルポートフォリオ」の前身は、2011年12月に発行した「2012年のTOP PICK10」でした(銘柄を固定)。「TIWモデルポートフォリオ」として2012年5月に衣替えをし、現在のように銘柄入替を行うように致しました。現時点では決して恥ずかしくないパフォーマンスが得られていると考えております。
TIWでは、株式投資に対する考え方、背景となる理論、あるいは「Fモデル」が誰でも利用できる方法、などについて不定期に勉強会を行っております。 TIWホームページまたはTIW発行のメールマガジンをご覧いただければ幸甚です。
TIWモデルポートフォリオの採用銘柄ならびに銘柄入替は同時的に全て、TIWストラテジーコメントとして公開しております。弊社レポート提供先でご閲覧下さい。オンラインではマネックス証券ならびにGMOクリック証券においてログイン後ご覧いただけます。また、TIWのFBページ( https://www.facebook.com/AnalystReport )においてデイリーのパフォーマンスを算出・公開しております。 |
「Fモデル」について
「Fモデル」(Fertilize Fundamental Framework )は、株式会社ティー・アイ・ダヴリュ(以下、T.I.W.)のチーフ・ストラテジー・アーキテクトである藤根靖晃が考案した妥当株価水準を推計する上での簡便法である。「理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(=国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される」という考え方を土台に、ROE値と成長性を一定の数値(インプライドの要求リターン)で割引き財務価値を加減することによって妥当PBR水準を算出するものである。具体的には下記の算式によって求める。
妥当PBR=〔 今期予想ROE×(1+来期EPS成長率)÷割引率〕-ネットD/Eレシオ×(負債コスト÷割引率)
割引率は、来期ベースの日経平均の要求リターン(10年国債利回り+インプライド・リスクプレミアム)を一律用いている。負債コストは暫定的に2%を適用する。ネットD/Eレシオがマイナスの場合(実質無借金)は、(負債コスト÷割引率)は1を適用する。
「Fモデル」に有用性があると考えるのは次の点である。
◇要求リターンに対するROE水準を測ることを基本にしており、単純且つ理解しやすい構造にあること
◇単純な構造であることからバリュエーション作成者の恣意性が排除できること
注意事項をご理解いただいた上で、あくまでも参考指標として利用いただきますようお願いします。
【注意事項】
1)「Fモデル」の妥当性に関しては、過去1年以上にわたってTIW企業レポートを用いて行ってきた結果、適応する事例が適応しない事例を大きく上回った。しかしながら、以下のようなケースには不適応であるか、または、(修正を加えない限り)単純に適応できない。
・下地となるアナリストの業績予想の確からしさが低い場合
・金融、不動産、公益など資産に対する捉え方が通常の企業と大きく異なる業種
・子会社等でファイナンス事業を営んでいる企業・BS上には表れない含み資産等の影響が強い企業
・設備投資に対する回収期間が極めて長期である産業
・割引率を大きく上回る成長率が再来期以降も継続する企業
2)一定の割引率(インプライドの要求リターン)を用いるのは、①現状のマーケットの投資家のリスク許容度を反映させること、②株価ベータを用いた一般的な資本コストは過去の実績であり将来価値を測るには妥当でないという考え方、に基づく。しかしながら、本来的には割引率には企業の事業の継続性・安定性や株式流動性(流動性プレミアム)などを織り込むべきであることは言うまでもない。単純に算出された結果を利用するのではなく、理論値と実績値の乖離について考察することが肝要である。