1月14日妥当レンジ 28,738円~31,055円
来週(25-26日)の米FOMCを控えて膠着状態続く
【「IFIS/TIWコンセンサス225」によるマーケットの妥当レンジの推計】
<米FRBの“タカ派”スタンスを探る展開>
■11日のパウエルFRB議長の上院公聴会の後に米株式市場は上昇した。「おそらく年後半に保有資産の縮小を始めるだろう」とのパウエル議長の発言は、市場が見込んでいたQT(量的引き締め)の開始時期よりも遅くなる可能性が示唆されたことによると考えられる。12日に発表された12月の米消費者物価指数は前年同月比+7.0%と39年ぶりの水準であったが、市場予測通りであり、株価への影響は限定的であった。ただし、そうした楽観も一時的であり、金融引き締めの影響に株式・債券・為替市場は揺れ動いている。パウエル議長は公聴会においてQTの決定は今後2~4回のFOMCで行うと示唆しており、最短で3月のFOMCでQTが決定される可能性もある。
■来週25-26日に予定されている米FOMCでは政策決定がなされる可能性は低いものの、市場はFRBのスタンス(=タカ派度合い)を窺うために株式市場は上値が押さえられる膠着した展開が続くと予想する。特に金利上昇に対して敏感なハイテク・高成長銘柄にはまだ逆風が続きそうだ。
■国内では12月の企業物価指数(14日発表)が前年同月比+8.5%となった。11月(+9.2%)よりは低下したものの高水準が続いている。こうした状況から消費者物価指数も携帯電話料金の値下げの影響がなくなる4月以降に大きく上昇するとの見方がある。しかし、本日(18日)公表された日銀の「展望リポート」においては、22年度の物価上昇率は上方改定されたとは言え+1.1%(前回は0.9%)に留まった。賃上げが鈍いことが理由である。原油価格など資源価格は再び騰勢にあり、値上げの難しい業界・企業においては今後の業績に影響が及ぶ可能性が示唆される。
■国内ではオミクロン型の広がりから「まん延防止等重点措置」が適用される地域が広がることが予想される。ただ、グローバルでは新規感染者数のピークは越えた可能性があることや死者・重傷者も前回のピークを大きく下回ると予想されることから金融市場への影響は比較的軽微と思われる。
■懸念材料は北京五輪(2/4~20)を控えた中国が強固なロックダウンを取る可能性であり、サプライチェーンへの影響は注視する必要があると考える。
◇日経平均妥当水準(レンジ)
28,738円~31,055円 | (前回28,958円~31,273円) |
「IFIS/TIWコンセンサス225」(1月14日)来期予想ベースEPSをもとに算出
◇IFIS/TIWコンセンサス225(1月14日)
今期予想EPS | 1646.15円 | (前週1646.62円) |
来期予想EPS | 1781.01円 | (前週1780.08円) |
再来期予想EPS | 1876.62円 | (前週1879.67円) |
今期予想PER | 17.08倍 | (前週17.30倍) |
来期予想PER | 15.79倍 | (前週16.00倍) |
再来期予想PER | 14.99倍 | (前週15.15倍) |
来期予想PBR | 1.21倍 | (前週1.22倍) |
来期予想ROE | 7.68% | (前週 7.64%) |
来期予想 インプライド・リスク・プレミアム |
7.05% | (前週 7.01%) |
1月14日 日経平均終値より、PER、PBR、ROE等を算出
オミクロン型の国内感染はここからが本番。重篤化する患者数が低くてもまん防条例の発動など規制強化によって外食・旅行などの業種は再び影響を受けるとともに、心理的に影響が強まるだろう。それ以上に中国での感染拡大が心配である。サプライチェーンへの影響から製造業への影響が心配。
来期予想ベースのプラス企業比率は、 47.5%→47.2%→51.6%→39.1%→59.6%→50.5%。
再来期予想ベースのプラス企業比率は、48.9%→48.9%→54.8%→31.7%→52.7%→46.4%。
引き続き方向感に乏しい状況。
[注:例年4~5月は、対象決算期変更の影響があるのでイレギュラーな値になることに留意]
出所:IFISコンセンサスを基にTIW作成
いずれも2014年1月から表示
「IFIS/TIWコンセンサス225」について IFIS/TIWコンセンサス225」は、株式会社アイフィスジャパンが集計しているアナリストコンセンサス・データ等を原データとして、2009年4月より株式会社ティー・アイ・ダヴリュが東証株価指数(日経225)に対応するように構成銘柄のEPSを算出・集計したものである。今期予想EPS、来期予想EPSの変化を追うことによって、マーケット全体の業績見通しを確認する。 理論上では株価は、自己資本配当率(ROEと配当性向の積)、EPS成長率、無リスク証券の利回り(国債利回り)、リスクプレミアムの4要素で決定される。株価をこれら構成要素に分解することによって、株価変動の要因について考察するとともにファンダメンタルからの妥当な株価(マーケット)水準を思量する。なお、リスクプレミアムを正確に計測することは、一定期間を経た後でないと困難なことであることから、当レポートではインプライド・リスクプレミアム(株価と他の構成要素からの逆算値)を使用している。 4つの構成要素の内、株価の短期的な変動に最も影響を与えるのがリスクプレミアムである。リスクプレミアムは、無リスク証券の金利に対して投資家が要求する上乗せ金利と定義されるが、投資家心理(マーケットセンチメント)、他の投資対象(金融商品)との利回り格差の変動などによって変化する。長期的な見通しの変化が無い中では、インプライド・リスクプレミアムは一定のレンジ内で推移する傾向にある。日経平均株価の妥当水準を算出には、インプライド・リスクプレミアムの一定レンジからの逆算によって行っている。 〔今期予想ベースEPS、来期ベースEPSにおける“今期”、“来期”の取扱い〕 会計上の業績計測期間ではなく、本決算発表を基準とする。例えば、2011年4月30日現在では、2011年3月期は決算発表前であれば今期、決算発表が行われていれば前期、となる。 〔予想EPS増減社数〕 今期ベースならびに来期ベースを示している。週間(週末値)のデータを基に、前週末に比べてEPSが増加・変化無し・減少した企業の数。 〔予想PBR(今期末)〕 前期末BPS(1株純資産)に今期予想EPSを加えて、予想DPS(1株配当)を控除した値(=予想BPS)で株価を除した数値。中間配当は考慮していない。 〔予想ROE(来期ベース)〕 前述の予想BPSで来期予想EPSを除した値。 〔リスクプレミアム〕 特に断りの無い限りインプライド・リスクプレミアムを表す。計算式は、{ 1-予想配当性向×(1-予想B/Pレシオ)}×予想ROE-無リスク証券利回り |